iPhoneを超音波検査機に変えるデバイス「Butterfly iQ」で医師が自分自身をがん診断
Appleは医療機器分野への参入に力を入れています。そんな中、iPhoneと接続して使用するモバイル型超音波機器をテストしていた医師が、自分自身のがんを発見したことがわかりました。
This Doctor Diagnosed His Own Cancer with an iPhone Ultrasound - MIT Technology Review
https://www.technologyreview.com/s/609195/this-doctor-diagnosed-his-own-cancer-with-an-iphone-ultrasound/
A doctor used this iPhone ultrasound machine to diagnose his own cancer
https://www.digitaltrends.com/cool-tech/doctor-iphone-ultrasound-machine-cancer/
外科医のJohn Martin氏はチーフ・メディカル・オフィサーとして医療機器のスタートアップ「Butterfly Network」に携わっている人物です。Butterfly Networkは、iPhoneを利用することで超音波検査が可能になる小型デバイス「Butterfly iQ」を開発している企業。Butterfly iQは2000ドル(約22万円)という低価格で、設備が限られている場所でも迅速かつ精密な検査が可能になります。
Meet Butterfly iQ - Whole body imaging, under $2k
ある日、喉に違和感があったMartin氏が、Butterflyで喉をチェックしてみたところ、腫瘍を発見したとのこと。
以下のムービーに映っているのがMartin氏です。
It's about time: John Martin, MD (HD) - YouTube
Martin氏はがんを専門としていませんが、iPhoneに映し出された3センチほどの黒い物体から、自分の体に異変が起こっているとすぐに気づいたと言います。これまでなら検査を受けることにも時間がかかりましたが、Butterfly iQがあれば迅速な検査を受け、迅速な処置が望めるようになるとMartin氏は語りました。
以下がButterfly iQ。iPhoneと接続し……
目的の場所にジェルを塗ってButterfly iQをあてると、スマートフォンにモノクロの映像が映し出されます。
スマートフォンに表示される画像はこんな感じ。
通常、超音波検査機は水晶を振動させることで超音波を生み出しますが、Butterfly iQは半導体チップの上にある9000もの小さなドラムが刻まれることで振動が生み出されるのが特徴です。
2011年にButterfly Networkを創設したJonathan Rothberg氏は半導体テクノロジーを生物学に応用することのスペシャリスト。過去には半導体製造技術を用いてDNA塩基配列を解読する方法を開発しており、Butterfly iQの開発にあたって、Rothberg氏は1億ドル(約110億円)以上の出資を集めることに成功しています。
Butterfly iQは既にアメリカ食品医薬品局の認可を受けており、2018年からアメリカで発売される予定。現段階のButterfly iQは一般人ではなく医療関係者に向けて開発されていますが、今後は一般個人に向けたデバイスを開発することも考えられているとのことです。
また、一方で、超音波検査をするだけでなく、人工知能と組み合わせて検査結果が何を示すのかを教えてくれるソフトウェアも開発中。デバイスが検査を行った上で、どのくらいの血液を心臓が送り出しているのかや、大動脈瘤の存在なども検知してくれるようになると見られています。
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