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個人の医療データは売買されており数千億円規模のお金が動いている

By Carl Glover

ハッキングなどにより個人情報が流出し、データがダークウェブ上で販売されるということがありますが、医療業界では患者の医療データが当たり前のごとく売買されており、その規模は数千億円にものぼることが明かされています。

Your private medical data is for sale – and it's driving a business worth billions | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2017/jan/10/medical-data-multibillion-dollar-business-report-warns


企業が個人の医療データを売り買いすることで数千億円をもうけていると暴露した書籍「Our Bodies, Our Data」の著者である社会科学者のアダム・タンナー氏によれば、患者がどのような病にかかっているかや、どのような手術を経験したことがあるかなど、医療に関するほとんどの個人情報は売り買いされているそうです。

しかし、ほとんどの場合、売り買いされる医療データからは名前など個人を識別できるような情報が削除されています。医療データのブローカーなどによると、例えば「ジーン・バルジーン」という名前の患者の医療データは、名前が削除されて単なる「24601」といった数字の羅列で識別されているとのこと。

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タンナー氏は「私は自分のかかりつけ医だけにしか、自分の医療情報を共有していません。にも関わらず、私の医療情報はデータとして売られていることがわかっています」と、匿名で医療データが売買されるている現状について語っています。タンナー氏によると、患者の医療データは「性別」「年齢」「症状」「居住地区」の4つの情報にまで絞られてから売買されているとのこと。

データマイニングを生業とするデータマイナーは、患者の医療データの他、ドラッグストアチェーンのRite AidCVSから「誰にどのような処方薬を販売するか」といったデータを入手するそうです。

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また、シンクタンクのThe Century Foundationが公開した新しい報告書にはCVSの副社長の「患者は(売買される)医療データの構成部分には加わっていません。なぜなら、患者の名前と処方薬などの情報は結びつかないようになっているからです」というコメントが書かれています。

しかし、フィットネスデバイスや検索エンジン由来の他の形式のデータの場合、完全に無規制なので「住所」などの個人を特定できるような情報が含まれます。そして、医療関連以外の個人情報と医療データという2つの異なるデータを相互参照することで患者の詳細な情報を推測する手法も流行しており、タンナー氏いわくこういった予測的なデータは「驚くべき程の正確さを持っている」とのこと。

なお、タンナー氏は医療情報の売り買いで利用されているデータや技術は医療保険の携行性と責任に関する法律であるHIPAA法に抵触しないとしており、「データ科学者たちはとても精巧な推測を行うことで、匿名化された患者の名前などを明らかにすることが可能で、この行為はHIPAA法を回避することができる」と語っています。

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多くの企業が医療データを売買しているそうですが、世界100ヶ国以上の医療業界に最先端の医療情報と高度なテクノロジー、サービスを提供するグローバル企業のIMS Healthもその中のひとつだそうです。

タンナー氏は「我々は議論する必要がある」と、医療データの売買について見直すべき時期に差し掛かっていると指摘しています。しかし、「医療データの売買は数千億円規模の取引となるので、データマイナーやデータブローカーはこれらの話題について話したがりません。また、彼らは医療データの売買が医療科学を進めるチャンスにもなっていると主張します」と、情報がなかなか出回らないことについても述べました。

しかし、タンナー氏は医療を進めるために医療データを売買するにしろ、個人情報の流出を恐れてよりデータの機密性を重視するにしろ、データをどのように扱うかの選択権は個々人が持っているべきであるのに、現在の我々はそういった選択肢を持ち合わせていないと語っています。

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in メモ, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article Individual medical data are sold and hun….