サイエンス

5年後にはコンピューターは「におい」から人の病気を判別するようになる

By Dennis Wong

IBMの研究によると、5年後にはコンピューターは人間が匂いを嗅ぐように、人間の息に含まれる分子などから病気を判別できるようになるとのことです。

IBM Research: IBM 5 in 5 2012: Smell
http://ibmresearchnews.blogspot.jp/2012/12/ibm-5-in-5-2012-smell.html


人間の息の中にはあらゆる種類の分子が含まれており、その中には体の状態を伝えるものもあるのですが、コンピューターがそれを捕らえることによって健康状態がチェックできるようになります。IBMで研究を行っているHendrik F. Hamannさんによると、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器にこのような機能を持ったセンサーを組み込めば、本人が自覚する前に持ち主が風邪をひいていることが察知可能になるとのこと。

こちらがHendrik F. Hamannさん。


息の中からアルコールを検知するアルコール検査機のように、携帯電話などのモバイル機器に組み込まれたセンサーは、検出したバイオマーカーから情報を読み取りデータを分析します。センサーの感度がどれほどのものになるかは機器の大きさや検出されるデータなど多くの要素に左右されますが、現在のところ、研究室では単分子のバイオマーカーを測ることができる比較的シンプルなセンサーシステムを使って多数のサンプルがとれることを実証しました。肝臓や腎臓、糖尿病や結核といった病気がこの機能によってわかるようになる可能性があるとのことです。


近年になってコンピューターは体系化されていない情報を処理し、根拠に基づいて結論を出し、成功や失敗から学ぶ、ということをますます可能にしてきており、人間の問題を解決する診断ツールとしても役立っています。

しかしこの「においをかぎ分ける機能」を実用化するためにコンピューターは無数の情報から古いものと新しいものを組み合わせ、絶えず学んでいく必要があります。それを効率的に行うためには新しいアーキテクチャと回路を持ち、データを並列で処理することのできる新しいコンピューターが必要であり、今後、この点が研究におけるカギとなってくると考えられています。

これまで医者は目に見える症状から診断を行うことがほとんどでしたが、センサーが機能すれば患者自身から発せられる化学物質が診断を行う糸口となり、非常に有用です。


なお、詳細は以下のムービーからも見ることができます。

Smell: 5 Future Technology Innovations from IBM - YouTube


これは「今後5年間で私たちの生活が変わるである5つのイノベーション」を報告するIBMのThe 5 in 5によるもの。The 5 in 5ではこの他にもスマートフォンを通してものの質感を感じ取れる研究や、雑音をカットして音声を届ける研究なども発表しています。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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