アプリでユーザーの実名登録&過去2ヶ月分の行動履歴の保存が中国で義務化
By Vernon Chan
中国には政府に都合の悪い情報をブロックするためのネット検閲システム「グレートファイアウォール」が存在するように、多くの規制が敷かれています。2016年5月にはセクシーにバナナを食べるライブストリーミングが中国で禁止されたことで話題を呼びましたが、新たに、中国政府はアプリ使用時の携帯番号や実名の登録義務化を狙っていることが明らかになりました。
Real-Name Registration Now Required for App Users in China
http://english.cri.cn/12394/2016/06/28/3821s932321.htm
China is cracking down on mobile apps that peddle porn, violence and terrorism
http://www.neowin.net/news/china-is-cracking-down-on-mobile-apps-that-peddle-porn-violence-and-terrorism
中国政府のネット検閲を監督するCyberspace Administration of China(CAC)が、暴力やテロリズム、ポルノグラフィーや詐欺などの内容を含むモバイルアプリへの対策として、アプリ配信者(アプリ開発者とアプリストアの運営側の両方)に対して厳格な規制を敷くことを明かしました。
今後、中国の国内で動作するアプリを配信したい場合、アプリ配信者は以下の6つの規制を守る必要があります。
1:携帯電話番号や実名、その他の個人情報を入力させることで、ユーザーの身元を確認すること。
2:ユーザー情報を保護し、ユーザーの同意なしにそれらの情報を使用しないこと。
3:アプリ配信者は検閲を強化し、禁止されている情報を公表するユーザーに対しては、警告・サービスの停止・アカウントの閉鎖などの措置を執ること。
4:アプリ配信者はユーザーに対して「ユーザーの持つ権利」について周知し、ユーザーの位置情報や連絡先を秘密裏に確認しないこと。
5:アプリ配信者による競合製品の著作権を侵害するような行為は禁止。
6:アプリ配信者はユーザーの行動履歴を記録し、少なくとも60日間は保管すること。
CACによると、アプリの中には暴力やテロリズム、ポルノグラフィー、風説などを広めるために使用されているものや、ユーザーのプライバシーを侵害して金銭をだまし取るようなものがあるとのこと。このため、実地調査と国民の意見を踏まえた上で、「不適切なアプリの規制と健全な産業の発展を目指して」規制を強化することにしたと説明しています。
By bfishadow
新しい規制では、アプリストア側が「アプリをモニターすること」を義務化しています。これにより、アプリストアは開発者の正当性をより厳格にチェックするようになり、ユーザー情報や知的財産をより重要視するようになるはず、と海外ニュースサイトのNeowin。
なお、中国のモバイルインターネットユーザーの数は2015年末時点で推定約6億1900万人に上り、中国国内のインターネットトラフィックの実に90%に相当するとのこと。また、中国発のアプリストアでも、既に400万を超えるアプリケーションが配信されており、その数が急増していることが今回の規制につながったようです。
なお、CACによる新しい規制は2016年8月1日から施行されます。
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