視覚障害者でも楽しめる野球「Beep Baseball」とは?


視覚障害・聴覚障害の子どもたちでも遊べるスポーツはないものか、と考え出されたのが「Beep Baseball(ビープ・ベースボール)」です。その後、Beep Baseballは年齢も性別も関係なく楽しめるスポーツとなり、今では12歳から70歳まで、幅広いプレイヤーがいるとのこと。

Sound and Fury: Inside the Low-Tech Ballpark of Beep Baseball
http://www.popularmechanics.com/adventure/sports/a19761/beep-baseball/


どんなスポーツなのか、端的に分かるムービーがコレ。

"A Sight to See: Beep Baseball" by Adam Winkler on 10/31/12 - YouTube


参加している人たちの視覚障害の度合いはまちまちで、弱視の人から、光も感じない全盲の人まで、いろいろです。


「Beep」と名乗るだけあって、ボールからは音が出る仕組みになっています。


この音を頼りに、打球の方向を探って守るわけです。


ムービーを見ていると、打者は普通の野球のように、思いっきりスイングしています。


しかし、打者はアイマスクをしているので、ボールは見えていません。ボールの発する音を頼りに打っているわけです。


この人は1986年にオースティン・ブラックホークスを設立したKevin Sibsonさん。


守備は通常の野球とはちょっと異なり、野手が6人。


ベースもかなり異なっていて……


基礎から1mぐらいの円柱が立っているようなデザイン。クッション性のある素材でできていて、中から音を発してランナーに場所を知らせています。


フィールドはこんな感じ、マウンドはホームベースから20フィート(約6m)と、通常の野球だと60.5フィート(約18.4m)なので距離は3分の1という近さ。40フィート(約12m)のところにはファウルラインが引かれていて、ベースは100フィート(約30.5m)のところに左右1つずつ。守備につく野手は6人で、このほかにスポッターと呼ばれる人が2人立ちます。投手・捕手・打者は同じチームから出し、投手・捕手・スポッターは視力に問題のない人が務めます。


打者はボールを打ったら、一塁か三塁かどちらかへ走ります。もし、野手がボールを拾う前に打者がベースに触れば、攻撃側に1点が入ります。打ったボールが左右のベースラインより外へ飛ぶか、40フィートのファウルラインを越えなかった時はストライク判定。4ストライクでアウトになります。打者のベース到達以前に野手がボールを拾ってもアウト。ボールが地面やベースなどに当たる前に空中でキャッチしたら、そこでイニングは終わり、攻守交代です。

また、ボールがもし170フィート(約51.8m)以上遠くまで行ったらホームラン。ボールが音を出さなくなったときや、打球が投手に当たったときは「
ボールデッド」として、ストライク数をリセットして打席をやり直します。

外野は中央が「6」、そこから左右にそれぞれ鏡合わせに5から1までの数字が振られて、エリア分けされています。スポッターは、この数字分けされたエリアの中の事象についてだけ声出しが可能。また、2人配置されますが、同じプレーに対して2人のスポッターが声かけしてはダメで、これらの違反があると攻撃側に得点が入ります。なお、スポッターは、プレイヤーの衝突が起きたりしないかを確認する係でもあります。

Beep Baseballの試合は一般的に6イニングで行われ、延長戦ルールはメジャーリーグと同じ形のものが適用されます。変わったルールとしては「Twelve-run(トゥエルブ・ラン)」というものがあり、一方のチームが12点以上取った場合は、負けているチームがずっと攻撃を担当するイニングが設けられるとのこと。

リーグには多くのチームが参加していて「ワールドシリーズ」も開催されており、その様子はかなり古い時代のものからYouTubeに公開されています。

たとえばこれは1980年のワールドシリーズ。テキサス・レンジャーズの本拠地であるアーリントンスタジアムで行われました。

1980 Beep Baseball World Series Championship Game - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=

こちらは2015年のワールドシリーズ。

2015 Beep Baseball Championship Game One - YouTube


ちなみに日本には、国内最古の障害者スポーツ競技「グランドソフトボール」があります。1933年には盲学校(特別支援学校)の生徒たちが試合をしていたという記録があるというスポーツで、かつては全国の特別支援学校の高等部には、ほとんどグランドソフトボール部があったそうです。

グランドソフトボールの大会としては全日本グランドソフトボール連盟主催の「全日本グランドソフトボール選手権大会」が2001年から開催されています。

しかし、グランドソフトボールの「甲子園」ともいえる全国盲学校野球大会は、野球人気の低迷と少子化によって選手数が確保できず、また資金難もあって、廃止が決まっています。

視覚障害者の野球、存続ピンチ 「甲子園」は今夏で廃止:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASJ146RDYJ14UTIL02Q.html

最後の大会となる第31回全国盲学校野球大会北海道大会は、2016年8月23日(火)から25日(木)まで、はまなす国体記念石狩市スポーツ広場ソフトボール場で開催されます。

全国盲学校野球大会 グランドソフトボール|第31回 北海道大会
http://grand-softball.com/

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