Twitterがヘッドホンメーカーに投資して進める取り組みとは？

TwitterがヘッドホンメーカーのMuzikに投資を行ったことがRe/codeの報道で判明しました。投資の額などは明らかにされていませんが、Twitterが本業とは異なる分野に投資を行ったことで臆測を呼んでいます。

Twitter Invests in Muzik Connected Headphone Company | Re/code
http://recode.net/2016/01/04/twitter-invests-in-muzik-a-high-end-headphone-startup/

Twitter Invests in Headphone Maker Musik - Fortune
http://fortune.com/2016/01/04/twitter-headphones/

Re/codeが報じた内容によると、アメリカ・ラスベガスで開催されるCES 2016の会場でTwitterによるMuzikへの投資が明らかにされたとのこと。Muzikはスマートフォンなどと使う「つながるヘッドホン(connected headphone)」を開発している企業で、2016年1月時点ではまだ実際に発売された製品を持っていません。

この投資は、Appleがヘッドホンメーカーの「Beats」を約3000億円で買収したものとは根本的に異なり、TwitterはあくまでMuzikに投資するパートナーの一つとして名を連ねている状態とのこと。とはいえ、ヘッドホンというハードウェアを開発する企業に投資を行うのはTwitterにとって初めての行為となっています。

Muzikはスマートフォンなどと接続して使うワイヤレスヘッドホンを開発する企業。ヘッドホン本体のサイド部分には静電容量方式のタッチパネルが搭載されており、指でスワイプするなどして音楽の再生をコントロールできる「つながるヘッドホン」を開発しています。さらに、音質にもこだわって作られたハイエンド商品として開発が進められているとのこと。

Muzik Convertible | Muzik Official

コントロール用のボタンは、SNSへのシェアを行うためのボタンとして利用することも可能。その時に聞いている音楽を、まさにTwitterなどのSNSに投稿することが可能なようで、CESの会場では実際にシェアする様子のデモが行われる予定になっているとのこと。しかし、すでにSpotifyやApple Musicといった音楽配信サービスのアプリや、スマートフォン純正の音楽アプリでもSNSへ投稿することは可能となっているため、Muzikのヘッドホンならではの機能性がどの程度評価されるのかは不明瞭と言わざるを得ない状況ではあります。

MuzikのCEOであるJason Hardi氏はこれらの機能を中心に製品の開発を進めており、2016年初頭の発売に向けて取り組みを続けているとのこと。一方のTwitterでは音楽との関わり方を模索していると言われています。その理由はTwitterで多くのフォロワーを獲得しているアカウントの多くがミュージシャンのものであるからです。

Twitterは収益の多くを広告収入から得ていると見られており、これはユーザー数に大きく左右されるものです。しかし、2015年2月にはユーザー数の増加率に大ブレーキがかかっていることも報じられており、安定した収益構造を作り上げることは大きな課題となっていると見られます。今回の投資が直接の収入につながるものになるのか、それともサービス全体としての付加価値を高めるものになるのかは現時点では不明ですが、ハードウェア業界への動きを見せた興味深い動きであることは確かなようです。

Muzikのヘッドホン「Muzik Convertible」は299ドル(約3万6000円)で2016年5月に発売予定とのこと。また、2016年夏明けのころにはイヤホン型の「Muzik Sport」を199ドル(約2万4000円)で発売する予定とのことで、その後も両社では双方のテクノロジーを投入した製品を送り出す計画となっている模様です。