タトゥー11種類を1週間で1人の女性の体に彫ってタトゥー100年の歴史を振り返るムービー

「美しい男」や「ロシア美女」「美しいとされた化粧やヘアスタイル」など、さまざまなテーマについて100年の変遷を分かりやすくまとめたムービーを公開しているWatchCut Videoが、今度はアメリカのタトゥー100年の変遷についてムービーを作成しました。シールなどでタトゥーを再現するのではなく、なんと実際に1人の女性の体に1週間で11個のタトゥーを入れてしまう、という試みが行われています。
100 Years of Beauty - Episode 14: Americana Tattoo (Casey) - YouTube

ムービーに登場したのはアメリカ・オハイオ州出身のケイシー・ルービンさん。

ルービンさんは「1週間で11個のタトゥーを入れてみませんか?」という広告を見て「なんてクレイジーなんだろう!」と思って応募したそうです。「このプロジェクトに参加して体に歴史をきざめるなんて素晴らしい機会だと思った」と語っています。

タトゥーに必要な道具を用意し……

ケイシーさんの体毛をそって準備。

「わくわくする」と語っていたケイシーさんですが、やはりタトゥーを入れる直前には「どれくらい痛いんだろう?」と不安そうでした。

これがプロジェクトに参加する前のケイシーさんの体。どこにもタトゥーは見当たりません。

ということで、作業開始。11個のタトゥーは全て同じ彫り師の男性によって入れられていきます。

まずは右肩に絵を描いていきます。

いろんな体勢になりながら作業を続行。

ようやく完成したようです。

これが1910年を象徴するタトゥー。

1891年にニューヨークのタトゥーパーラーが電動入れ墨マシーンの特許を取得し、サーカスや見世物小屋では全身をタトゥーで覆った美女たちが人気を博します。美しい花の模様は1910~1920年代に活躍した彫師・チャーリー・ワグナー氏にちなんだもので、顧客に女性が多かったからか、優雅さが感じられます。

続いては、左腕にタトゥーが入れられていっている模様。

細かな模様が彫られていきます。

上から見るとこんな感じ。

着色がほどこされ……

2つめのタトゥーはアムンド・ディーツェル氏にちなんだもの。

女性の横顔が描かれています。

ディーツェル氏は船乗りとして旅をしている最中にタトゥーを学んだとのことで、図柄もどこかオリエンタル。

今度はイスに座り、右手にタトゥーを施されていくケイシーさん。

電動マシンでダカダカと彫られていき……

完成したのは、花を持つ手をモチーフにした、キャップ・コールマン氏にちなんだタトゥー。コールマン氏は「胃の上に乗った船」「膝小僧の上の太陽」など体のパーツをモチーフしたデザインを描いていたようです。

今度は右脇腹に彫りが入れられていきます。

肩越しにチラリと見えるタトゥーは……

後のタトゥー界に大きな影響を及ぼしたポール・ロジャーズ氏ちなんだ船のデザイン。ロジャーズ氏は多種多様なタトゥーのデザインを生み出しました。

今度は左二の腕の後ろ側にタトゥーが施されていきます。

これはコミカルでポップなデザインを好んだセイラー・ジェリー氏を象徴したデザイン。ジェリー氏はタトゥーインクの開発や衛生管理についても力を入れており、「1950年を象徴する」として入れられたタトゥーもカラフルなフクロウです。

今度は左手首辺りに彫りが入れられていきます。

痛むのか、ケイリーさんは顔を背けています。

手首から手の甲にかけて入れられた1960年代を象徴するタトゥーはライル・タトル氏にちなんだもの。タトル氏は現在も存命している伝説的な彫師で、ジャニス・ジョップリンを始めとする数々の有名人にもタトゥーを施し、1970年代にはローリングストーン誌にも掲載されました。


右二の腕の内側にタトゥーを施されていくケイシーさん。

カラフルなカラーリングが行われていきます。

描かれたのは人魚。セイラー・ジェリー氏の弟子であるドン・エド・ハーディー氏にちなんだデザインです。Wikipediaによると、ハーディー氏は現代アート風にアレンジされたアールヌーヴォー調のデザインや、日本の入れ墨に用いられるデザイン・彫師技術を取り入れているそうです。


再びイスに座ったケイシーさん。

今度は左肩にタトゥーが施されていきます。

1980年代を象徴するタトゥーは、生涯を通してタトゥーを世に広め続けたマイク・マローン氏にちなんだ鮮やかな小鳥柄です。

腰にもタトゥーを入れていきます。

赤い着色が行われ……

こんな感じに。全く何も描かれていなかった体が、今では色とりどりのキャンパスになっています。

1990年代を象徴するタトゥーはガイ・アイチソンに氏にちなんだもの。オリエンタルな雰囲気で、独特の色合いです。


再びベッドで作業が行われ……

帽子をかぶったドクロが描かれていきます。

2000年代を象徴するのはジャック・ルーディーのタトゥー。

そしてラスト、腕に入れられていくのは……


人物や動物の顔のタトゥーを彫るニッコ・ウルタード氏にちなんだタトゥー。

猫の顔が右腕に鮮やかに刻まれました。

これがタトゥーを入れる前のルービンさんの背中。

それが、一週間後にはこうなります。

前から見た様子。

横から見るとこんな感じです。

イギリスのニュースサイトDaily Mailがムービーについて報じたところ、「彼女は本当にクレイジーだ」「彼女の体で彼女が選択したこと。タトゥーアーティストの仕事は本当に素晴らしい」「タトゥーファンではないけれど、すごくセクシーだと思う」というものから、「なんてバカなことを」「個人の選択だというのは分かっているけれど、個人的にはタトゥーは女性らしさを失わせると思う。ファッションは過ぎ去るけれどタトゥーは永遠に残る。タトゥー除去産業は成長していくのではないのだろうか」というものまで、コメント欄での反応はさまざま。「もし11種類のタトゥーを1人の女性ではなく11人の人に入れていたら、もっと反応は違ったと思う」という見解や、「僕もタトゥーを入れているが、スーツを着てあなたたちに会ったら、きっと誰もネガティブな判断をしないはず」というコメントもありました。
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