「美しい男」100年の変遷を1分半のムービーにまとめるとこうなる

1910年代から2010年代にかけてのアメリカ人男性の「美しいとされる姿」を1分半のムービーにまとめたムービー「100 Years of Beauty」が公開されました。男らしさが強調されたスタイルから、近年に見られる美意識の高い男性まで、「美しい男」の変遷がよくわかるようになっています。

100 Years of Beauty - Episode 12: USA Men (Samuel) - YouTube


ムービーに登場したのは、山から出てきたようなモッサリした髪型とヒゲの男性。

この男性の髪型やヒゲを整えることで……

1910年代の美しい男に変身。きっちりと分け目が付けられ整えられた髪や、くるりんとカールしたヒゲが特徴。この時代の男性はドレスアップに非常に時間を掛けていたそうです。

さらに整えられていくと……

今度は1920年代の「美しい男」に。大恐慌がアメリカをおそった1920年代、男性たちは理髪店に行ってヒゲを整えることをやめ、自宅で定期的にヒゲをそるようになりました。

1930年代になると、再びヒゲの生えた男性が増えます。1920年代に引き続きキッチリと整えた髪型ですが、前髪はオールバックではなく、ナチュラルに流すのが流行だったようです。

1940年代は水兵の帽子をかぶっています。これは、写真家のアルフレッド・アイゼンスタットが第二次世界大戦の終戦を祝いタイムズスクエアでキスする恋人たちを撮影した勝利のキスをモデルにしているため。

どんどんヘアメイクを進めていき……

続いては1950年代のスタイル。

特徴のある髪型はもちろんエルヴィス・プレスリーを意識したもの。この時代まで、前髪を膨らませた「ポンパドール」というスタイルは主に女性が好んでいましたが、エルビスをまねてポンパドールヘアにする男性が急増しました。

そして、今度はシャギーの入ったビートルズのようなマッシュルームカットに。これが1960年代の流行です。

1967年の夏にサマー・オブ・ラブが起こったことに加え、テレビコマーシャルの台頭により、一気にヒッピー文化が流行し始めます。

1970年はラブアンドピースのヒッピー文化の最盛期。ベトナム戦争に対する反対運動なども行われ、きっちり整えられた髪型よりも、無造作でワイルドなスタイルが好まれました。

1980年代になると、がらっと雰囲気が変化します。1980年代のアメリカ経済は楽観主義が幅を利かせており、1987年に公開されたウォール街という映画では冷酷で貪欲な投資銀行の姿が描かれました。アメリカの金融業界が大きな力を持った時代だとして、モデルの男性はオールバックにヒゲ無しという、ビジネスマンのスタイルです。

そして1990年代の「美しい男」のモデルは……

27歳でこの世を去ったニルヴァーナのボーカル、カート・コバーン。当時はヘヴィメタルがアメリカ音楽界を席巻していたのですが、ニルヴァーナに代表されるグランジ音楽はアメリカのロックチャートを塗り替え世界的なブームになったとのこと。

続いて2000年代になると、男性たちは自分のことを強い美意識を持つメトロセクシャルだと自称し始めます。

そして2010年代は……

再び長髪に。

ハリウッド俳優たちの間では「マンバン」というお団子ヘアが流行中だそうで、モデルの男性も緩く結ばれたお団子にされていました。

なお、ムービーの製作に関わった人類学者のクリス・チャン氏による解説は以下のムービーから確認できます。

100 Years of Beauty: USA Men - Research Behind the Looks - YouTube


ムービーではウィッグや付けヒゲを使わず、モデルの男性の自前の髪＆ヒゲなどで100年間にわたる「美しい男」が表現されました。そのため、撮影はかなり工夫がこらされており、以下のムービーから実際に撮影が行われた順序が確認できます。

100 Years of Beauty: USA Men (Samuel) - Alternative Order - YouTube


まずはもじゃっとしたヒゲや髪が特徴の2010年代。

続いて少しヒゲが整えられ、髪の量も減った1990年代の男性に。

マッシュルームカットの1960年代が撮影され……

1990年代。どんどんスッキリしていきます。

そして、1920年代、1940年代、1980年代などヒゲが全てそり落とされた写真は最後に撮影されたというわけです。