トンガ、フィジー、バヌアツ、ソロモン諸島、南太平洋の島国に楽園を見た
治安の悪さもあるので「全て良し」とは言えませんが、それでも忘れられない思い出となりました。広い広い太平洋にぽつんと浮かぶ小さな島。そんな場所でも、日々の生活を営む人たちがいる事実。素敵な場所に行ってきたので、是非とも紹介させてください。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。世界一周の最後に恋人と来ることを夢見ていた南の島。ただ、残念なことに相手が見つからず。その代わりに、連れてきたのが折りたたみ自転車でした。海を眺めながら、椰子の木の下を、のんびりと走った日。信じられない光景が飛び込んでくるから、テンションも上がります。
◆基本的なこと
・アクセス
やはり、飛行機でのアクセスとなりました。今回はマレーシアを基点に、オーストラリア、ニュージーランド、トンガ、フィジー、バヌアツ、ソロモン諸島、オーストラリア、シンガポールと8回もフライトを重ねています。航空券代の総額は、18万7392円という結果に。
内訳は
航空会社 | 日付 | 出発地 | 到着地 | 金額 |
---|---|---|---|---|
エア・アジア | 2015/07/09 | クアラルンプール | シドニー | 2万2998円 |
チャイナ・エアライン | 2015/07/13 | シドニー | オークランド | 2万859円 |
ヴァージン・オーストラリア | 2015/07/21 | オークランド | ヌクアロファ | 2万2031円 |
フィジー・エアウェイズ | 2015/07/24 | ヌクアロファ | スバ | 2万1170円 |
フィジー・エアウェイズ | 2015/07/31 | スバ | ポートヴィラ | 4万6680円 |
フィジー・エアウェイズ | 2015/08/04 | ポートヴィラ | ホニアラ | 〃(スバ→ポートヴィラと同時購入) |
ヴァージン・オーストラリア | 2015/08/06 | ホニアラ | ブリスベン | 3万3552円 |
スクート | 2015/08/08 | ゴールドコースト | シンガポール | 2万102円 |
となっています。オーストラリアは、一番最初に訪れた国で、今さら立ち寄る必要もなかったのですが、東南アジアとのLCCの発着が多いので、今回の旅でも訪れました。予定を早く決めたかったので、たいていのチケットを4月末に購入しています。
3度利用したフィジー・エアウェイズ。
南の島を繋いでいくフライト。
トンガとバヌアツの空港では、到着時に歓迎のセレモニーとして、陽気な音楽が鳴り響いていました。
・お金
どの国にもATMはありますが、一回の引き出しに500円程の手数料が必要という旅人泣かせの場所でした。トンガ、バヌアツ、ソロモン諸島は短い滞在だったので、オーストラリアで用意した豪ドルを両替。1週間となったフィジーは、手数料のかからないATMを見つけたので、そちらを利用しています。
フィジー・ドル。
ANZ銀行や、Westpac銀行とオーストラリアの銀行が幅をきかせる中で、手数料のかからなかったBRED BankのATM。
・宿泊
物価水準からすると、全般的に割高に感じました。東南アジアで同じ値段を出せば、もっと素敵な部屋に泊まれます。それでも、高い宿しかないカリブ海の島国よりは、やりやすかったです。フィジー、バヌアツでは、一つの部屋を数人で共有するドミトリーのある宿もあり。フィジーでは約1000円、バヌアツでは約1500円で、一泊しています。トンガにも、ドミトリーのある宿があるようです。シングルだと2000円~3500円の安宿に泊まっていました。
50パアンガ(約2800円)だったトンガの部屋。
フィジーのナンディで泊まった場所は、リゾートホテルの端にドミトリー部屋のある棟があり。一泊15フィジー・ドル(約900円)という値段。熱々のホットシャワーに、ビッフェタイプの朝食つき、共用エリア内でWi-Fiも繋がります。
ソロモン諸島の安宿は、予約時はドミトリーという表記でしたが、一人で泊まることができました。年季の入った古い部屋は、壁もボロッと欠けています。シャワーも水しか出ません。それにも関わらず、1泊3500円もするという悲しい現実。安宿の選択肢がない国は、なかなか厳しいものがあります。
・食事
観光客向けのレストランは高そうでしたが、一般的な食堂だと300円~400円程度で外食できます。コストパフォーマンスが良かったので、中国人が経営する食堂ばかりを利用していました。並々とご飯とおかずをついでくれます。
中国人が作るぶっかけ飯。
インド系の人たちが暮らすこともあって、フィジーではカレーも食べることできます。
ソロモン諸島でボリュームたっぷりの魚飯は、30ソロモン・ドル(約460円)でした。地元のおばちゃんが鉄板の上で、魚をジュウジュウと焼いています。これもまたすごい量で、これでもかというくらい魚を食べました。
・治安
私たちが抱く南国の穏やかなイメージとは裏腹に、注意が必要な場所でした。金網越しで品物に触れなかったり、シャッターの外を更に鉄格子で覆ってたりと、商店の警備の仕方も厳重です。フィジーの首都スバで泊まった安宿の部屋には「目の前の道で旅行者が襲われたこともあるので、十分に気をつけるべし」という注意書きもありました。
窓ガラスも金網で覆われていたフィジーの食堂。
ソロモン諸島の商店は、シャッターの外に鉄格子という厳重な警備となっていました。
特にフィジーとソロモン諸島は気を使いました。フィジーはフライト時間の変更があって、首都スバの空港に到着したのは夜の9時。極力使わないタクシーも、この時ばかりは仕方がありません。前もって調べてみても危なそうで、夜の街を自転車で走るなんて考えられませんでした。ソロモン諸島は、チャイナタウンの商店街が、日が暮れるともに店じまい。それと同時に、人々の賑いもスーッと引いていきます。これはヤバイと、明るいうちに所用を済ませていました。商店の佇まいも、危機感を煽るには十分です。
◆輪行袋の使用
折りたたみ自転車があったので、飛行機に乗る前のチェックインでは、大きな荷物を預ける必要がありました。カリブ海の島国を周った時に使っていた、タイで購入した特大プラスティックパックは、インド走行の邪魔になるので廃棄。その後も、フライトが数回あったのですが、米や豆とか入れるを特大のズタ袋を代用していました。ただ、次の南太平洋を周る旅では、8回のフライトが控えています。クアラルンプール滞在中に、何かいいものがないかと探してみたら、65リンギット(約2200円)の大きなバッグを発見。サイズが合うのか不安ながらの購入でしたが、ぴったし中に収まりました。
一見すると小さなバッグですが……
大きくなると、折りたたみ自転車が入ります。
サイズ調整の秘密は、バッグの側面にある3つのファスナーでした。フライトの際には、ファスナーを開けて、大きなサイズにして、折りたたみ自転車を入れます。自転車で走る際は、ファスナーを閉めて、コンパクトなサイズにして、荷台の上に載せちゃいます。
このキャスターに惹かれたのですが、折りたたみ自転車を入れた状態だと、重量もあってバランスも取れず、ほとんど役に立たなかったです。
カリブ海の島々を周った時は、ポンドを使用するアメリカの影響もあって、チェックインの際に50ポンド(22.67kg)まで預入ができたのですが、南太平洋の島々へのフライトは20kgまでと、条件が厳しくなりました。フライトが始まる前に、コップ、洗面器、パニアバッグと古いものは、次々と処分。それにも関わらず、常にギリギリの重さとなって、冷や汗をかいてばかりでした。道中で安テントも廃棄。古い服も捨てに捨てます。その結果、何とか超過料金の請求なしに。
自転車本体は、ここまで小さくなります。ペダルはクランクごと外していました。
チェックイン前の様子。
期待していたコロコロのキャスターは実用には遠く、いつものようにパッキングした後は、重い荷物を両手に抱えて歩いていました。まるで罰ゲーム、いや修行のような境地。超過サイズも心配だったのですが、これより大きなスーツケースを転がす人も多く、特に何も言われませんでした。バッグはフライトの度に、生地が破けたり、穴が空いたり、ファスナーが壊れたりと、だんだんと傷んでいくので、あくまで消耗品と割り切るのが良さそうです。
ある時の走行スタイル。
走行途中に、食堂に立ち寄り。
全行程で約1000kmほどでしたが、南太平洋の島国も自転車で走ることができました。自転車があれば、行動範囲が広がります。そこでしか見えないものがあるから、自転車の旅は止められません。
トンガでは、色とりどりの花に飾られたお墓に、南国を感じたり。
フィジーでは、透き通るほどの海を眺めながらの走行。
バヌアツでは、お化けのような巨大樹を見上げて、息を呑んでいました。
◆フィジーの市場
約90万人と、太平洋諸国の中では群を抜く人口を抱えていたフィジー。だからこそ、首都スバも多くの人々で賑わっていました。何もなかったトンガから一転して、何でも揃いそうだった商業地区。そんな街をぷらぷらと歩いていたら、フィッシュマーケットがありました。
道端の露店。
怪物のような姿に目を丸くした、巨大なイセエビ。地元の人ですら、驚きの声を上げていました。一匹が一万円位の値段になるそうです。
ヌメヌメとしたタコ。並べるのに、大きな葉っぱが使われていてエコロジーです。
地元の人たちは、真剣な表情で魚を選んでいました。
タチウオのように細長い魚。
野菜や果物が売られていたローカルマーケットも発見。南国らしい濃い色をした農作物が、印象に残っています。
こちらの見慣れない野菜は、タロイモでしょうか。
歩き疲れたので、0.5フィジー・ドル(約30円)の特製ジュースで糖分を補給。
◆バヌアツの海辺
インターネットで予約したバヌアツの首都ポートビラの宿は、中心街から4kmほど離れていました。その代わり、宿を出たらすぐに海。風の強い日ばかりで、泳ぎはしませんでしたが、浅瀬を歩くだけでも、それなりに楽しめます。
宿の前に広がる浅瀬。
かなりの透明度の海でした。
うんともすんとも言わない、ぷにぷにしたナマコらしき物体。
星のような形をしたヒトデが、岩の下に隠れています。
つんつんとしていたウニも発見。
変わった貝殻が落ちてないか浜辺を漁ってみたり。
白化した珊瑚。
こちらは島を一周したときでしたが、商店の前に巨大な貝殻が置いてあり目を疑いました。主人に「中身はどうだった、食べたの?」と訊くと、頷いていたのですが、生きていた頃の姿が気になります。
◆南太平洋の人たち
顔をくしゃくしゃにして笑うおばちゃんや、くりっとした大きな瞳でみつめてくる子どもたち。穏やかな気候を反映してか、住んでいる人たちの顔つきも柔らかでした。だからこそ、楽しかったと振り返られるのかも。英語でコミニケーションができたのも良かったです。
・トンガ
この国はポリネシアという区分になるようで、私たち東洋人の顔にも近い人たちが住んでいました。黒いストレートの髪の毛に、肌の色も似ています。ただ、くっきりとした二重まぶた、ぷっくりと大きな口唇と、どことなく南方の雰囲気でした。浦島太郎のような腰みのを、服の上から巻いた姿も衝撃的。伝統衣装となるようです。
豚がいっぱいだったトンガのエウア島は、不審な人間の心配は皆無?この位の子どもたちだけが、原っぱを走りまわっていました。
決めポーズがヒップホップ。
ちょっと仲良くなった女学生たち。トンガの女の子は三つ編みがトレンド。
・フィジー
老若男女問わず、一番挨拶をしたのがこの国でしょう。自転車で走っていも「bula(ボラッ)」と、すれ違い様に声をかけられます。心が弾むような軽い挨拶。東洋人にも似たポリネシア人から、アフリカにも近いメラネシア人への変化も驚きました。髪の毛がチリチリとなって、アフロヘアーのおばちゃんにもびっくり。
青とピンクの制服がいっぱい。
学校帰りの子どもを捕まえて。
思わず立ち止まってしまったバス停の一コマ。お母さまがたのたくましい様子と、子どもたちの宙ぶらりんの足に、引き寄せられました。
・バヌアツ
トンネル付きの滑り台。公園で遊んでいた子どもたちは元気いっぱい。
ちらちらと、こっちを見ていた女の子。
優しそうな雰囲気をしていた少年。
幸せな海辺。
学校からの帰り道。
・ソロモン諸島
ガダルカナル島で野外戦争博物館を探していたのですが、標識も何もないので道に迷ってしまいました。こりゃおかしいと、首を傾げながら進んで、ようやく見つけた一軒の家。道を尋ねようと近づくと、あどけない声が聞こえてきます。唄でも歌っているかのよう。合間にはさむ笑い声。しばらく立ち止まって、耳を澄ませたくなるほどでした。驚かせないように、顔を出すと、お母さんと4人の子どもの姿。粗末な家に住んでいて、豊かな生活には見えません。それでも、お金では買えない家族の温もりがあって、羨ましくて仕方がありませんでした。
憧れてしまった家族のかたち。
下校中の女学生。ソロモン諸島の女の子は、お団子ヘアーがトレンド。
こっちの人懐っこいおチビちゃんはかくれんぼ。
ようやく写真を撮れたけど、ちょっとはにかんだ笑顔でした。
こちらの子どもは、頑張ったのだけど、終始険しい顔に。
海辺で遊ぶ女の子。
男の子といったら……
ロープでターザンごっこして遊んでいました。木に上ってから、枝から吊るされたロープを手繰り寄せて、ア~ア ア~~っと。振り子のように往復する中で、逆さになってみたり、ロープの上を自由自在。スピードが緩やかになると、崩れ込むようにして浜辺に着地します。
楽園のイメージが重なったターザンごっこをするソロモン諸島の男の子 - YouTube
このように南太平洋の島々は、好奇心をくすぐられっぱなしでした。暖かな日差しに、柔らかな風が吹く国々。日本で少し疲れたときは、ゆっくりと羽根を休めそうな、素敵な世界が広がっています。
(文・写真@周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
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