ボードゲーム市場がクラウドファンディングの出現で急成長を遂げ市場規模を拡大中

テレビゲームの人気やスマートフォンの登場により、アナログゲームの一種であるボードゲームは日本における人気がだんだんと減ってきています。しかしながら、アメリカやヨーロッパではボードゲームの市場規模が近年急激に拡大中で、そこにはクラウドファンディングの登場が大きな影響を与えているようで、FiveThirtyEightがその詳細に迫っています。

Crowdfunding Is Driving A $196 Million Board Game Renaissance | FiveThirtyEight
http://fivethirtyeight.com/features/crowdfunding-is-driving-a-196-million-board-game-renaissance/

1995年にドイツで伝説的ボードゲームの「カタンの開拓者たち」が発売され、その後アメリカに上陸し瞬く間に世界中で大ヒットを記録しました。カタンの開拓者たちの登場以降、それまでのボードゲームとは違った戦略的で、格式高いルール、そしてアートとしてもレベルの高いボードゲームが多く誕生したとのこと。プレイヤー人口も右肩上がりで、ボードゲームやカードゲーム、ペン＆ペーパーRPGなどゲーム機などのデバイスを一切使用しないゲームの祭典「Gen Con」は2015年の来場者数が約20万人で、6年連続で来場者数の記録を更新しました。

By 8one6

ボードゲーム市場も大きく成長していて、2015年の市場規模はアメリカとカナダだけで1億2500万ドル(約154億円)あり、2013年の1億ドル(124億円)から約30億円も増えています。

ボードゲーム市場の成長に大きく貢献しているのが、KickstarterやIndiegogoといったクラウドファンディングサイトです。例えば、Kickstarterでは2009年のサービス開始以降、出品されたボードゲームおよびカードゲームのプロジェクトの総数が3870件で、合計1億9600万ドル(約243億円)の出資が集められました。2015年8月時点でも168件のプロジェクトが出資を募っており、Kickstarterで最も出資を集めたプロジェクトの中には、第4位に子猫が大爆発すると死ぬカードゲーム「Exploding Kittens」が、第13位にゾンビのボードゲーム「Zombicide: Black Plague」が入っています。

FiveThirtyEightによると、クラウドファンディングはボードゲーム市場で2つの重要な役割を担っています。1つはクラウドファンディングのシステムにあり、ゲームデザイナーが自分で作ったボードゲームのアイデアを画像やムービーを使って公開し出資を募るというシステムは、デザイナー自身が「プレイヤーは自分が作ったゲームに何を求めているか」をきちんと理解することに貢献しているそうです。

クラウドファンディングがボードゲーム市場にとって重要であるもう1つの理由は民主主義的なツールであるということ。クラウドファンディングが登場したおかげで、ゲームデザイナーは自分が作ったゲームを自分で販売会社に売り込む必要がなくなり自由に販売することができるようになりました。販売会社に持ち込めばマーケティングキャンペーンやボードゲームのイラストなどは、デザイナーの手を離れてしまいますが、クラウドファンディングを通した個人販売であれば全てを管理することができます。

また、クラウドファンディングに呼応するようにボードゲーム向けのさまざまなウェブサイトが登場しています。Kickstarterでボードゲームを出品する際に注意するべきことやアドバイスを教授し成功するためのノウハウを公開しているサイトや、ボードゲーム専門のレビューサイトも複数登場しました。こういった要素がボードゲームデザイナーやボードゲーム市場の成長を後押ししているわけです。

Kickstarterで「Vikings of Dragonia」というボードゲームを出品した経験があるというMachさんは目標出資金を達成できませんでしたが、「今回の経験を踏まえてボードゲームをもう少し改良し、もう一度Kickstarterに出品するつもりです」と意気込みを語っていました。

なお、日本のボードゲーム市場はというと、日本玩具協会が発表した(PDF)2014年度国内玩具市場規模調査結果データでボードゲームが含まれる分野の市場が約129億円。前年比は94.1％で縮小傾向にあります。この中にはボードゲーム以外のアナログゲームも含まれているので、ボードゲームのみの実際の市場規模はもっと小さいと見込まれます。