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ボードゲーム市場はクラウドファンディングの登場によって大きく変化した


かつてボードゲームは専門の小売店に行かないと入手できず、個人や小規模な企業が作ったゲームは特に流通しづらいものがありました。しかし、インターネット上でやりたいことや作りたいものを発表し、賛同してくれた人から広く資金を集める「クラウドファンディング」の登場で、個人や小規模な企業が作ったボードゲームも製品化されるようになりました。そんなクラウドファンディングによってボードゲーム市場が大きく変わりつつあると、海外ニュースメディアのNPRが指摘しています。

A Look Into The Wild Economy Of Tabletop Board Game Funding : NPR
https://www.npr.org/2020/07/05/887283058/a-look-into-the-wild-economy-of-tabletop-board-game-funding

個人や小規模な企業がボードゲームを商品化して販売するためにクラウドファンディングサイトのKickstarterを利用するケースはこれまでにもありました。Kickstarterに出資すれば、リターンとしてゲームの実物をゲットできます。また、出資額は小売店で通常購入するよりも安く設定されているため、出資者にとって大きなメリットがあります。また、ゲームを開発する側からみても、ゲームに対する需要がはっきりとわかるという利点があります。

ゲーム関連のニュースメディア・Polygonによれば、Kickstarterで「ゲーム」カテゴリーのプロジェクトへの出資金の総計は2億2100万ドル(約230億円)に上り、Kickstarter全体の34%を占めているとのこと。また、「ゲーム」カテゴリーで目標額を達成したプロジェクトへの出資金の総計のうち、およそ92%がボードゲーム関連のものだったとPolygonは報告しています。


しかし、2019年末から猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、ボードゲームの製造工場が閉鎖され、流通に大きな影響が出ました。2020年1月以降にリリースを予定していたボードゲームは延期され、イベントも延期。ボードゲームを取り扱う小売店も一時閉店を余儀なくされました。海外ニュースメディアのQuartzは、「COVID-19の混乱によって失業率が急上昇し、消費者がゲームにお金を費やさなくなってしまう可能性があり、Kickstarterを含めたボードゲーム市場が縮小してしまうことが予想された」と述べています

そんな中、重さ約9kg・プレイ時間推定100時間以上という超重量級RPGボードゲーム「グルームヘイヴン」の続編「フロストヘイヴン」が、2020年3月にKickstarterで出資を募ったところ、目標金額50万ドル(約5400万円)のところ、開始3時間で出資総額が目標金額を大きく超える300万ドル(約3億2000万円)を突破。最終的に1296万9608ドル(約14億円)というKickstarter史上最高額の出資額を集めて話題となりました。


海外ニュースメディアのNPRは、フロストヘイヴンの成功はボードゲーム業界の変化を如実に示していると指摘しています。従来の市場や流通経路がCOVID-19のパンデミックで混乱して縮小する中で、Kickstarterなどのクラウドファンディングプラットフォームによる市場はこれまで以上に成功を収めるということを、フロストヘイヴンが証明したというわけです。

グルームヘイヴンやフロストヘイヴンの作者であるCephalofair Gamesのアイザック・チャイルドレスCEOは「ボードゲームコミュニティには、Kickstarterで資金を集めるという文化があります。Kickstarterの利用は、ボードゲームのクリエイターを自動的にフォローしてくれる大きな道のようなものです」とコメントしています。


もちろんKickstarterは決して「楽してもうかる手段」ではありません。出資額が目標金額を超えてプロジェクト成功となった場合、クリエイターは責任をもってゲームを生産して出資者のもとに配送する作業を行う必要があります。大手おもちゃ会社は大規模な生産ラインを持っているのでスムーズな生産・配送が可能ですが、個人や小さな会社にとっては生産と配送が大きな負担になり得ます。Quartzによれば、あるプロジェクトではボードゲームの送料で計算ミスをしてしまったため、予想外の支出が発生し、自宅を売却する羽目になったとのこと。

「それでも、多くのクリエイターにとってプラス面がマイナス面を上回っています」とNPRは述べています。チャイルドレスCEOは「Kickstarterではなく、どうにかして自分で資金を調達して小売店で販売してもらう形だったら、誰も自分のゲームに注目してくれなかったと思います」と語りました。

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in ネットサービス,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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