乗り物

Googleの自動運転車に試乗してわかった6つのこと


2015年に入り、Googleが開発を進める自動運転車の公道実験がアメリカで開始されています。そんな中、自動運転車に試乗する機会を得たブロガーの「Oatmeal」ことMatthew Inman氏は、その感想を6つの項目に分けて語っています。

6 things I learned from riding in a Google Self-Driving Car - The Oatmeal
http://theoatmeal.com/blog/google_self_driving_car

◆1:人間の運転はとてもひどいもの
人間は運転中に居眠りしたり、メールを書いたり、また、あってはならないことですが、時にはお酒を飲んで運転してしまうこともある生き物です。そのようなことが原因で起こる交通事故により、日本では年間約4400人、そしてアメリカでは年間約3万1000人もの人命が失われています。また、アメリカにおける15歳から24歳の死因の1位が交通事故で、事故を起こしたドライバーのじつに40%はブレーキを踏んでいなかったという調査結果も出ています。

By Angelo Bianchetti

自動車はとても便利なものですが、一歩間違えば簡単に人の命を奪い去ってしまう凶器と化すことがあります。自動車が生まれて以来100年以上も人々を悩ませ続けてきた「ヒューマンエラーによる事故」を排除しようとするのが、Googleが開発を進めている自動運転車の目的の一つになっています。

◆2:Googleの自動運転車は「臆病者」
実際に自動運転車に乗ったInman氏によると、その走りっぷりはじつにゆっくりと、そして注意深いものだったとのことで、その様子を「他のドライバーに危害を加えるどころか、逆の意味でイライラさせる」ほど用心深いものだったと言います。自動運転の激しさはソフトウェアで調整が可能となっているのですが、人を乗せてGoogleの本拠地・マウンテンビュー市街地を走行する自動運転車は、まるで免許を取り立ての初心者ドライバーのようにおそるおそる走行していたそうです。

まだ実験用のコースを走っていた頃の自動運転車はもっと激しい運転も可能だったということですが、公道実験を行う車両についてはかなりおとなしめな走りにセッティングされている模様。いわゆる「実験室」レベルとは段違いにさまざまなドライバーが存在する公道では仕方がないことですが、Inman氏は「もっと激しい走りも味わってみたかった」と語っています。

◆3:けっこうかわいい
Googleがデザインした自動運転車は、意識的にかわいらしい外観を与えられているとのこと。人間の心理には、無機質に見えていたものに生き物らしさを感じた時、その対象物に対して崇敬の感情を抱くという傾向があることから、自動運転車にはあえて人間の顔を連想させるような造型が施されています。最先端の装置にわざとかわいらしいデザインを施すことで、Googleでは他のドライバーに「攻撃心」を抱かせないことを期待しているようです。

By smoothgroover22

Googleの自動運転車が実際に人を乗せて走っている光景が以下のムービーで公開されています。実際の公道実験に用いられているものとは異なるようですが、意外にかわいらしい車体がけっこうな速度で走行している様子を見ることができます。

A First Drive - YouTube


◆4:まだまだ開発途上、完璧にはまだ遠い
開発が進んでさまざまな状況に対応できるようになっている自動運転車ですが、それでもまだ「完璧」に至るにはさらなる開発が残されています。特に、信号が備わっていない交差点を通過する場合や、青から黄色への信号の変わり目など、人間でも判断に迷うことがあるようなシチュエーションは自動運転車にとっても難しいケースになる模様です。

Inman氏が自動運転車に試乗して街中を走っている時に、脇道から大通りへ合流する状況に遭遇。自動運転車に乗り合わせた全員が車の流れを確認し、大通りの車の流れが途切れて「さあ行こう」という状況になっても、自動運転車はまったく動かなかった事があったそうです。

周囲をよく見てみると、進行方向の先で道路の反対側に立っていた歩行者が、道路を渡るのかどうか微妙なしぐさで立っており、これが自動運転車の判断を難しくしてしまっていた様子。これは人間でも迷うことがよくあるケースで、お互いの出方を見守るばかりに全く身動きがとれなくなった経験がある人も多いはず。しばらく状況を見守った後に、自動運転車は「歩行者は道路を渡らない」と判断してソロソロと走り出し、本線に合流することができたとのことでした。


◆5:しかし本当に早く実現して欲しい
自動運転車に試乗したInman氏者は自身の考え方に「少しバイアスがかかっている」としながらも、早く自動運転車が実用化されることを望んでいるそうです。その理由についてInman氏は、自身の母親が少し前に心臓発作で倒れ、それがもとで脳に障害を負ってしまったことを明らかにしています。病気で倒れてからというもの、Inman氏の母親は自動車を運転することができなくなり、それまで送っていた元気な生活を送れずに社会との距離が遠くなってしまったそうです。

一般的に自動運転車については「価格はいくらになるのか?」や「これが我が家の車と置き換えられることになるのか」などのような質問が投げかけられるものですが、Inman氏はもっと「スマート」な考え方を忘れるべきではないと指摘。アメリカでは障害を持つ人の多くが社会に出て仕事をしていること、年老いた人の人生がテクノロジーによってより良いものになることについて考えるべきで、さらに自家用車の多くはずっとガレージに停められて動かされておらず、自動運転車が実現することでカーシェアリングが増えて駐車場の問題や二酸化炭素排出の問題が軽減される可能性について考えるべきであると提言しています。


◆6:自動運転車の試乗は「特別な体験」ではなかった。しかし逆にそれがよいことだった。
Inman氏は自動運転車の体験について「最初は物珍しさに目を奪われたものの次第に慣れてしまい、最後には自動車が勝手に動いていることを忘れてしまうほどだった」と語っています。コンピューターが信号を確認したり、歩行者や自転車の動きを予測するといった行動をまるで人間のように行っており、「人間が数百万年の進化の中で獲得してきた脳の働きが、わずか十年足らずのコンピューター技術によって成し遂げられている」と感銘を受けている様子。

公道での実験が進められているそれぞれの自動運転車はお互いの「経験」をデータとして共有するようになっており、そこから得られる経験値は人間とは比較にならないペースで増えているとのこと。すでに人間の40年分にあたるドライビング経験を積み重ねているのですが、この技術はまだ生まれたばかりの段階であり、今後はさらに発展していくものとも考えられています。Inman氏は自動運転車が普及する時代を心待ちにしていると語っています。

◆おまけ:Android Autoが動作している様子
2015年1月にラスベガスで開催された「CES 2015」では、Googleが開発を進めている車載用OSのGoogle Autoを搭載した車両のデモが行われていました。

Getting married in Vegas with Android Auto — CES 2015 - YouTube


画面にはGoogleマップが表示され、見た目はAndroidスマートフォンと非常によく似ています。マイクのアイコンをタップすると、音声入力モードがオンになりました。


「KISSのHotter than Hellウェディングチャペルまで」と話しかけると……


行き先が設定されました。


そのまま目的地へとドライブ。


走行中に表示されるメニューは、運転の際に必要とされる機能に絞られている様子。画面のUIデザインも最新のマテリアルデザインに沿って設計されている様子です。


無事に目的地に到着。ロックバンド「KISS」がテーマのド派手なチャペルが目的地でした。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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