「MOTHERシリーズ」のドキュメンタリーがアメリカで制作中、糸井重里氏へのインタビューも
任天堂のゲーム「MOTHERシリーズ」はコピーライターの糸井重里氏がゲームデザインを手がけ、その独特な世界観が好評を得て、最新作「MOTHER3」の発売からかなりの年月が経った今なお、プレイヤーから高い評価を受ける日本の代表的なRPGです。アメリカにも魅了されたファンがたくさんいますが、アメリカでは1995年に「MOTHER2(英題:EARTHBOUND)」が発売されて以降、2013年にWii Uでバーチャルコンソール版としてMOTHER2が発売されたのみで、初代の「MOTHER」や「MOTHER3」は公式にリリースされていません。
アメリカの熱心なMOTHERファンは、ファン交流サイトを立ち上げ、MOTHER3のアメリカでの発売実現を訴える署名運動などを展開しています。そんなアメリカのMOTHERファンのコミュニティサイトが協力して「EARTHBOUND, USA」という「いかにしてアメリカのMOTHERファンが同ゲームを国内で広めたか」の裏側に迫ったドキュメンタリーを制作中で、糸井氏へのインタビューを実施しています。
EARTHBOUND, USA
http://earthboundusa.com/
「EARTHBOUND, USA」の監督を務めるのはジェフリー・ベンソン氏というアメリカ人男性。ベンソン氏はUbseyMoviesという、自主映画を制作するグループに属しています。ベンソン氏の代表的な作品はMOTHERを映画化した「EarthBound Saga」という作品で、MOTHERのファンコミュニティサイト「Fangamer」でDVDを購入できるほか、YouTubeでも配信されています。
ベンソン氏率いる「EARTHBOUND, USA」の撮影チームは2014年3月に来日して糸井氏へのインタビューを実施しました。
糸井重里氏へのインタビューはドキュメンタリーの中で使用されるため、内容は公開されていませんが、糸井氏はインタビューが行われた後に以下のようなツイートをしています。
『MOTHER2』のアメリカのファンたち(http://t.co/g4DXhTS0UU)が、取材にやってきた。小学生とかだった人たちも、結婚したりこどもができたりして、まだこのゲームのことを愛してくれている。いろんな仕事したけど、このゲームってのはなんか特別なものだなぁ。
— 糸井 重里 (@itoi_shigesato) 2014, 3月 26
ドキュメンタリーの制作に主に関わっているのは「Fangamer」と「STARMEN.NET」というMOTHERのファンコミュニティサイトで、MOTHERシリーズに関するイベントを開催するなどしてアメリカで活動中。実は、両サイトと糸井氏の交流は今回が初めてというわけではありません。
STARMEN.NETは昨年MOTHERをテーマにしたチャリティー・イベントを開催。その中で、糸井重里氏のサイン入り「MOTHER2」が出品されたのですが、そこにはFangamerとSTARMEN.NET、そして糸井氏の心温まるストーリーがあり、その内容は下記のムービーから確認できます。
For James (ジェームズのため) - YouTube
Fangamerのベン・ビッグルさんには一緒に勤めていたジェームズという名前の友人がいました。
ジェームズさんは、ある日1000ドル(約10万円)以上するMOTHER2の新品をビッグルさんにプレゼントします。
ビッグルさんは「こんなのもらえないよ」と言ったそうですが、ジェームズさんは「いいから」と気前のいい一言をかけてくれたとのこと。
それから3~4年後のこと、ビッグルさんのもとに「ジェームズさんがガンにかかってしまった」というニュースが入ります。ビッグルさんが、そのニュースを聴いたときに一番最初に思い出したのがプレゼントとしてもらったMOTHER2でした。
MOTHERシリーズのテーマである「友情」や、ゲームの中で起きるネガティブなことをポジティブな態度で乗り越える主人公たちが、ジェームズさんを励ますにはぴったりだとビッグルさんは考えます。
そこでビッグルさんはSTARMEN.NETの掲示板に「医療費のために、例えば糸井さんのサイン入りの物をオークションで売ったりして、力になってくれませんか」と依頼することにします。
STARMEN.NETはビッグルさんのお願いを快諾。MOTHERのカセットにサインしてくれないか、と糸井氏と交流のあるリンジー・ネルソンさんに手紙を書いてもらい、糸井氏に送ることにします。
数日後、STARMEN.NETに糸井氏がカセットにサインしているところの画像が送られてきます。
こちらはカセットにサインをする糸井氏。
写真ではカセットに「to James」と書かれていて、STARMEN.NETでは「チャリティオークションにかけるものなのに、ジェームズに贈るものと糸井さんが勘違いしてしまった!大変だ!」となりましたが……
次の画像では「for James」に訂正されていました。
「そのちょっとした訂正には、心遣いを感じ取れて、ジェームズのためだし、ぴったりだ!」とみなさん喜んでいたそうです。
こちらが、糸井氏が実際にサインしたMOTHER2のカセット。
ビッグルさんは「ギーグとの最後の戦いと同じように、闘志さえあれば乗り越えられないものは何もない。ジェームズはギーグよりもはるかに恐ろしいものと戦っているけど、前向きな気持ちで戦ってほしい」と語っています。
糸井氏は上記ムービーを見て、MOTHERを作って本当に良かったと感想をツイートしています。
リンジー(@lindsayn )からメールが来た。例の動画に日本語をつけたって。 http://t.co/rQxcHAWniB なんていうか‥‥ぼくは、この『MOTHER(EARTHBOUND)』っていうシリーズのゲームをつくって、ほんとうによかったと思っているよ。
— 糸井 重里 (@itoi_shigesato) 2013, 11月 25
現在制作中の「EARTHBOUND, USA」は2015年に公開予定で、今後はクラウドファンディングのKickstarterでも出資を募るとのこと。アメリカのMOTHERファンの熱い思いがこもっており、日本のMOTHERファンにも見て欲しい作品です。
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in メモ, 動画, ゲーム, Posted by darkhorse_log
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