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Amazonの創業者ジェフ・ベゾスの妻が酷評したAmazonノンフィクション本には一体何が書かれているのか?

By James Duncan Davidson

ベゾス氏の妻であるマッケンジー・ベゾス氏が「本の内容に間違いが多い」として「星1つ」の評価を付けていた、ジェフ・ベゾス氏のサクセスストーリーを描いたノンフィクション作品「The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon(日本では「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」)」。その気になる作品の内容の一部を著者のブラッド・ストーン氏がBusinessweekで公開しています。

Jeff Bezos and the Age of Amazon: Excerpt From ‘The Everything Store’ by Brad Stone - Businessweek
http://www.businessweek.com/printer/articles/158534-the-secrets-of-bezos-how-amazon-became-the-everything-store

◆ジェフ・ベゾス氏の生い立ち


2014年で設立20周年を迎えるAmazonはオンライン書店としてスタートし、今では年間収益約750億ドル(約7兆4000億円)、市場価値は約1400億ドル(約13兆8000億円)にもなり、通販サイトの中でもトップクラスの企業に成長。2013年にはインドでハイエンドのアート作品を販売するショッピングサイトを開設、新しいKindleやタブレット端末の販売を開始、さらに、デジタルコンテンツをテレビでストリーミング再生できる「TVストリーミングボックス」の発売計画も発表しています。創設当初のオンライン書店をはるかにしのぐ規模の巨大通販サイトを支えるのがCEOのジェフ・ベゾス氏(2013年現在49歳)です。

幼年期のベゾス氏は、そのほとんどの時間を母親のジャッキーと祖父母と一緒に過ごしたそうです。ベゾス氏の母親ジャッキーは、ベゾス氏が4歳の時にキューバからの移民であるミゲル・ベゾス氏と再婚。ベゾス氏が実の父親に関して唯一覚えていることは、病院での書類に家族構成を記入する際に実父の名前を書いたことくらい。実父を最後に見たのはベゾス氏が3歳の時で、実父に関しての情報は公に一切明かされていませんでした。

サーカスに所属していたベゾス氏の実父テッド・イエルゲンセン氏は、一輪車を得意としており、その腕はアルバカーキーでも随一。1961年、当時16歳であったテッドさんは、「最も万能な一輪車の名手」として地元の新聞に写真付きで紹介されています。


テッドさんは高校生の時、同高校の2年後輩であるジャッキー・ギーゼ氏と交際をスタート。テッドさんが18歳を迎えた頃、ジャッキーさんの妊娠が発覚し、2人は1963年6月19日に婚約します。ジャッキーさんは婚約の約1年後に当たる1964年6月12日に第1子を出産し、名前をジェフリー・プレストン・イエルゲンセンと名付けます。

順調に結婚生活をスタートさせたイエルゲンセン一家ですが、サーカス団に所属するテッドさんの稼ぎは多いとは言えず、生活はとても苦しかったとのこと。また、テッドさんには飲酒癖があり、家に帰ってこないこともしばしば。娘の夫を心配したジャッキーさんの父は、テッドさんを金銭的に援助して大学にまでいかせます。しかしながら、テッドさんは大学を中退してしまい、以降定職に就くことはありませんでした。

テッドさんの生活に嫌気がさしたジャッキーさんは、1965年6月に離婚を申請、裁判の結果テッドさんは養育費として毎月40ドル(当時のレートで約14000円)をジャッキーさんに支払うように命じられます。裁判時のテッドさんの月収は180ドル(約6万3000円)しかなかったそうです。テッドさんは、裁判後数年にわたりジャッキーさんを訪問しますが、養育費の支払いは滞っていました。

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ジャッキーさんは離婚後、ヒューストンに移り住み、ニューメキシコ銀行の簿記部で働き始め、大学生でありながら銀行で夜間バイトをしていたミゲル・ベゾス氏に出会います。2人は交際を経た後結婚を決意し、ジャッキーさんはテッドさんに結婚する旨を伝え、また、「養育費の支払いをやめ、もう二度と会いにこないで欲しい」と要求。ジャッキーさんの母親も、テッドさんに娘と孫に金輪際近づかないことを約束させました。ジャッキーさんは息子に新しい夫の名字を与え、ジェフリー・ベゾスと改名することにします。

◆ベゾス氏の実父テッド・イエルゲンセン氏の現在

「The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon」の著者であるブラッド・ストーン氏は取材を重ね、ベゾス氏の実父テッド・イエルゲンセン氏への接触に成功。テッドさんは、2013年現在アリゾナ州フェニックスの北部にある街で小さな自転車屋を経営していました。ストーン氏は、テッドさんに「あなたの息子であるジェフリーは、オンラインショップAmazonのCEOを務めている」と告げます。テッドさんは、混乱した様子を見せ「ジェフ・ベゾス氏という人については何も知らない」と返答しますが、ストーン氏がジャッキーとジェフリーについて話すと、ようやく信じ始め「ジェフリーはまだ生きているのか?」と聞いたとのこと。ストーン氏は「あなたの息子は地球上で最も成功している人物の1人ですよ」と返答し、ベゾス氏の現在の写真をテッドさんに見せます。その時にテッドさんは45年ぶりに息子の顔を見ることになりました。

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その後、ストーン氏はテッドさんと現在の妻であるリンダさんと共に食事をし、離婚後の人生についていろいろと聞いたそうです。テッドさんは離婚後さまざまな職を経て、1974年にフェニックスに引っ越し、大好きであったお酒をやめ1980年に全財産をつぎ込んで自転車屋をスタートさせます。何回か移店を繰り返した後、現在の場所に落ち着き、妻であるリンダさんと出会い結婚。

リンダによると、テッドさんは若かりし頃にしでかした失敗を悔やんでいるとのこと。テッドさんは「私はいい父親では全くありませんでした。すべての責任は私にあります。ジャッキーに責任は一切ありません」と昔の自分を後悔していました。

その後、ストーン氏は、テッドさんの親戚に当たる人物から連絡を受け、テッドさんが家族に自分の過去やもう1つの家族について話したことを聞かされます。事実を聞かされたテッドさんの親戚が、インターネット上でベゾス氏のインタビューを確認したところ、ベゾス氏の笑い顔はテッドさんにそっくりであったそうです。

2005年に撮影されたベゾス氏

By James Duncan Davidson

なお、テッドさんは自転車屋を立ち上げてから、まじめに自分の人生に向き合い、自転車屋の経営・評判ともに良好とのこと。

◆ジェフ・ベゾス氏のコミュニケーション術

ベゾス氏は会議でほとんど話さず、またインタビューなどでも新製品情報など以外について話すことはあまりないそうで、「The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon」に関しても「Amazonの歴史を振り返るには時期尚早である」として一切のコメントを断りました。

そんなベゾス氏の社員に対してのコミュニケーションはかなり強烈だったそうで、Amazonで情報戦略統括役員であったリック・デイゼル氏によると、ベゾス氏は、エレベーターの中で社員を罵倒し解雇を通告したスティーブ・ジョブズや、怒った時には椅子を投げつけるMicrosoftのCEOスティーブ・バルマー氏と同じ部類に入るとのこと。


ベゾス氏が社員に言い放った言葉には「君はなまけているのか?それともただ無能なだけなのか?」「(社員のプレゼンテーションを聞いた後)なぜ、あなたは僕の時間を無駄にするのか?」「もう二度とそのアイデアを聞きたくない。聞けば自殺してしまいそうだよ」など強烈なものばかりが並びます。

しかしながら、「ベゾス氏の指摘や批判はいつも的確であった」とAmazonのサプライチェーンの元副社長であるブルース・ジョーンズ氏は話しています。あるエンジニアチームが9カ月に及んだプロジェクトについてのプレゼンテーションをベゾス氏に行ったときのこと、エンジニアチームが作成した書類に目を通し一言「君たちがやってきたことすべてが間違っている」とベゾス氏は言い放ち、ホワイトボードにプロジェクトの間違いをリスト化して書き出します。技術的な経験が全くないにも関わらずベゾス氏の指摘は正しく、プロジェクトチームは反論の余地なし。ジョーンズ氏によると、ベゾス氏は信じられないほど知的であったそうですが、社員とのコミュニケーションに関しては容赦なかったとのことです。

2006年に撮影されたベゾス氏

By Niall Kennedy

日本でも「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」というタイトルで12月19日から発売予定となっており、こうやって概要を見てみるといかにもノンフィクションとしてはそれっぽい感じになっています。

なお、Amazon関係者によるAmazon上でのレビューでは「ジェフは一度も著者から取材を受けていない」「人物像を作り替えたり重要な事実を欠落させる」「本の内容の80%は正しいが、残りの20%は間違っている」というように書かれているものの、具体的に一体どこがどのように間違っているのかは不明です。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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