盗まれたiPhoneを探してエクアドルの「泥棒市」に行ってきた
鋭利な刃物でカバンをざっくり、まったく気づかないうちにカバンの中身をごっそりと持っていかれ被害総額は約17万円……。海外では日本以上に犯罪に対する警戒が必要ですが、南米エクアドルにてiPhone盗難の悲劇に出くわしました。盗られたモノを取り戻すべく「泥棒市」へ乗り込みました。
こんにちは!世界新聞特命記者の清谷啓仁です。世界一周中のわたくし、現在、エクアドルの首都キトにいます。今後はコロンビア、そしてアマゾン河を下ってブラジルへと突入していく予定です。
キトの旧市街は世界遺産に登録されています。
こちらはキトで泊まっていた宿、1泊5ドルです。
キト市内にはたくさんの教会がありますが、その中でも素晴らしかったのがバシリカ教会。
バシリカ教会から世界遺産の街並みを一望。
夜景もキレイですねぇ。
そしてエクアドルといえば赤道!
この時は翌日起きる悲劇を知る由もなく……。
南米全般の治安は気休めにも「安全」とは言えず、エクアドルも例外ではありません。外務省「海外安全ホームページ」でも「首都キト市やグアヤキル市においては、強盗等の凶悪犯罪が依然として高い水準で発生しています。その被害は日本人を含む外国人旅行者にも及んでいます」と記載されているほどです。
ある日、バスに乗ってホテルに帰ろうとすると、ホテル方面のバスが同時に2台来ました。僕は後ろのバスに乗りましたが、これが運命の分かれ目に……。
実際の乗車率はこの3〜4倍くらいでした。
こうやってカバンを前に抱えてつり革につかまっていました。
バスに乗ること15分。降車直前、カバンを確認すると……
えっ……!?
カバンが……
き、切られてるー!!
落ち着け、落ち着け。まずは被害状況の確認を……
・iPhone
・デジタルカメラ
・現金
・カバン
・書類など
被害総額、約17万円。
おそらく、こんな感じでカバンをざっくり切り裂き……
手をつっこみ……
僕の大切なモノを奪っていったんでしょう。くそっ!!
それにしても、犯人はどこにいたのでしょうか。恐らく犯人は背後にいて、吊革につかまって立っていた僕のカバンに手を回して……注意はしていましたが、まったく気がつきませんでした。まさにプロの技……さすがに腹が立ちましたが、犯人の顔を見ていないので怨みようがありませんでした。
忘れもしない被害現場。「犯人は現場に戻る」と言いますが、被害者だって同じです。
すぐに警察に相談し、事故証明書を発行してもらいました。
絶望感に打ちひしがれていると、ある考えが脳裏を過りました。「あそこなら……もしかしたら……」
中南米の各国には「泥棒市」という非合法極まりない市場があります。主に電化製品などの盗品が売りに出されていて、極希に自分の盗られたものを見つけることができると聞いたことがあります。一縷の望みに賭け、泥棒市へと行ってきました。
こちらが泥棒市……いざ、奪還!
腹立たしいですが、わりと賑わっています。
携帯電話はもちろん……
イヤホン
電池パックまで……。
このランダム感が泥棒市です。
iPhoneやデジカメを目にするたびに、自分のモノかどうか確認しました。「何を探してるの?」と呑気に聞いてくる店員に、「アホか、俺のiPhone探してるねん!」と無意味に吠えていました。八つ当たりってやつです。
2日通いましたが、結局見つけられず諦めることに……。
しかしいつまでも落ち込んではいられません!僕はまだ旅を続けないといけない。傷ついた相棒を修理しなければ!
街中を探し回り、ようやく見つけた裁縫屋さん
事情を説明すると、快く引き受けてくれました。
カバンと一緒に心の傷が癒えていくのを感じます……。
やった……。
カバンが……
な、直った!!
これまでも何度か犯罪に巻き込まれた旅人の話を耳にしていましたが、「まさか自分が」という思いでいっぱいでした。海外では用心するにこしたことはありません。このレポートで誰かの被害が未然に防げるのなら幸いです。
文・取材:清谷啓仁
監修:世界新聞
・関連記事
エクアドルからペルー国境まで自転車旅行者狙いの強盗を回避するためアンデスの山々を走破 - GIGAZINE
空港での荷物窃盗犯をiPadを利用した囮捜査で特定 - GIGAZINE
iPhone泥棒を目撃した10歳児、すかさず自分のiPhoneで写真を撮り逮捕につながる - GIGAZINE
ディズニーすら恐れないエクアドルの道端に置かれたゴミ箱がシュール - GIGAZINE
エクアドルのバナナ博士が語る「バナナにバナナ狩りがない理由」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ