かざすだけでいろいろなデータの送受信ができるNFC内蔵リング「NFC Ring」

ソニーとフィリップス(現NXPセミコンダクターズ)が共同開発し国際標準規格として承認され注目を集めている近距離無線通信技術「NFC」。そのNFCをリング(指輪)に内蔵することで、手のひらをかざすだけでさまざまな情報の送受信ができる「NFC Ring」が現在、Kickstarterで出資募集中です。

NFC Ring by John McLear — Kickstarter
http://www.kickstarter.com/projects/mclear/nfc-ring

NFC Ringのコンセプトがよく分かるムービーがこちら。


NFC Ringには、公開情報を保持する領域と……

個人情報を保持する領域があります。

NFC Ringを指にはめて、その手をかざすことで、Wi-Fiパスワードの設定、WebサイトのURL保存、友達とのデータ共有などなどさまざまな操作が可能に。

bitcoinを貯めることで、ショッピングも可能。

NFC Ringのデータは、個別にカスタマイズすることができ……

専用アプリはオープンソースで提供されます。

NFC Ringの優れたところは「誰かに知られても構わない情報」と「公開できない個人情報」の両方の情報を保存でき、かつそれぞれを簡単に使い分けることができるところです。

どのような仕組みで、2種類の情報を使い分けることができるのかがこちらのムービーを見ればよく分かります。

NFC Ring Security Design - YouTube


薄く黄みがかっている部分が「Public」エリア。この部分には、サイトのURLなどの他人と共有しても構わない情報を保存します。NFC Ringを指にはめたときに手の甲側に位置するため、Publicエリアのデータは握り拳でパンチを出すような感じでカードリーダーにかざすことで送受信が可能です。

下の黒い部分が「Private」エリア。Publicエリアよりも狭いことが分かります。この部分にはドアの施錠解除キーやスマートフォンロックの解除キーなど他人に知られると困る個人情報を保存します。NFC Ringを指にはめたときに手のひら側に位置するため、手を開いて手のひらを露出した状態で机の上に置くなどの特殊な場面を除けばPrivateエリアは基本的に外部からアクセスがされにくい位置にあります。

NFC Ringは、セキュリティ上、PublicとPrivateの両方にNFCリーダー(データ読み取り装置)からのアクセスがあった場合、エラーとして扱いデータの送受信を行いません。これによりPrivateエリアにある個人情報が誤って読み取られることを防ぎます。

このようにPrivate側から非常に強い信号を受けたため信号がPublicにも到達してしまうという場合もエラーとなりデータの送受信はされません。

実際に、NFC Ringを使って玄関ドアのロックの解除を行っているムービーがこちら。

Using an NFC Ring to unlock a Door - YouTube

手のひらをドアにかざすと……

Privateエリアに保存されたドアロックキーが読み取られ、ロックが解除され、ドアを開けることができます。

このようなパンチスタイルでNFC RingをリーダーにかざすとPublicエリアの情報が読み取られるため鍵は解除されません。

別の角度から。手のひらをドアにかざすと……

ロックが解除されドアを開けることができます。

やはりパンチスタイルではドアのロックは解除されず。

NFC Ringの開発者John McLearさんは、NFC Ringのオープンソースプラットフォームを構築することで、サードパーティメーカーがNFC Ringを採用した商品の開発が可能だと考えています。また、McLearさんは今後もNFC Ringを改良していくことを計画しており、2014年にはNFC Ringを好みの外観にカスタマイズ可能にすること、2016年には安全な支払い機能を実現する、などのロードマップを描いています。

このプロジェクトに22ユーロ(約2860円)出資するとNFC Ring1個とアプリをゲットすることが可能です。ただし、SamsungのGalaxy S4とZ10で使うには「ALPHA MAN SIZE RING」という12mm幅のNFC Ringでないとダメで、こちらは25ユーロ(約3250円)の出資が必要であることに要注意。なお、事前に指のサイズを伝えることで、指に合ったリングが出荷されます。出資の締め切りは日本時間2013年8月19日午後9時30分です。