空港での荷物窃盗犯をiPadを利用した囮捜査で特定
iPhoneやiPadなどApple製品にはiCloud経由で現在地を追跡できる機能があります、アメリカのABCニュースがこの追跡機能を使って、飛行機に積み込んだのになくなってしまう荷物がどこに行ったのかを追跡、盗んだ犯人の特定に成功しました。
ABC News Tracks Missing iPad To Florida Home of TSA Officer - ABC News
TSA Agent Found With ABC IPad: Brian Ross Blotter Investigation - YouTube
アメリカの空港では、以前からアメリカ運輸保安庁(TSA)の保安係によって乗客の荷物が盗まれるという事件が起きており、ABCニュースが取材を行っていました。
今回、ABCニュースでは実際に盗難はあるのかを確認するため、iPadを預けてちゃんと返ってくるかどうかをテストしました。10カ所の検問所のうち9カ所では、TSAの係員はガイドラインに従って行動し、iPadケースに所有者の名前と電話番号が書かれていたことから連絡を入れてきました。現金も入っていましたが、こちらも無事に手元に届きました。
しかし、オーランドの空港ではiPadは返ってきませんでした。映像にはiPadを手にする係員の姿が映っています。
iPadの現在地がどこなのかをトラッキングしてみると……
検問に預けてから2時間後には空港ではなく、アンディ・ラミレスという係員の自宅へ移動したことが確認されました。
ABCニュースの取材チームは15日間待ってからラミレスの家を訪問。
iPadを返すように伝えましたが、ラミレスはなくなったiPadのことは知らないとしらを切り、「検問所でなくなったのであれば、遺失物取扱所へ持って行かれているだろう」などと返答。当然ながら、オーランド空港の遺失物取扱所にはその日にiPadを取り扱った記録はありませんでした。
取材チームはiPadにアラームを鳴らすようにするコマンドを送信。
すると、ラミレスの家の中から音が鳴り響き、ラミレスはようやくiPadの引き渡しに応じました。最初はTSAの制服を着ていましたが、このときには脱いでいます。
「妻が買ってきたと言っていたものなんです」と説明したラミレスですが、奥さんは「そんなことは言っていない」と否定。取材チームが、検問所でiPadを持ち去るところを撮影していて、iPadを追跡してここまで来たことを伝えると、ラミレスはドアを閉めてしまい、以後の質問には答えなかったとのこと。
TSAによると、2003年から2012年までの間に381人の職員が窃盗で解雇されており、今年もすでに11人がクビになっています。この解雇数は職員全体の0.5%にあたります。
ラミレスはこれが発覚してすぐにクビになっており、TSAは「窃盗に関してはゼロ・トレランス方式を採用し、乗客から盗みを働くようなあらゆる職員は解雇する」と声明を発表しています。
下院運輸委員会のジョン・マイカ委員長はTSAに対してたびたび厳しい姿勢を見せていますが、今回も「これは氷山の一角に過ぎない。これは一般の人々、そして航空システムに対する不法行為だ」と非難しています。
ちなみに、iCloudによるデバイス追跡機能はかなり優秀で、新幹線内で紛失したiPhone 5が基地で一晩を過ごしたのち新大阪駅に届けられたという経験をした人もいます。
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