取材

人気声優の小清水亜美と杉田智和が実写映画「KOF」を遠慮無く語る


2011年7月2日から劇場公開された映画「ザ・キング・オブ・ファイターズ」で日本語版の吹き替えを担当した不知火舞役の小清水亜美さんと草薙京役の杉田智和さんによる「Cure Cosplay Festival Vol.3」でのトークショーの様子をお届けします。

コスプレ姿で登場した2人は原作となったゲーム版KOFへの熱い思いや収録時のエピソードなどを語ったのですが、「そもそもKOFがアメリカで実写映画化ってどうなの?」というファンが抱える疑問への答えを示唆するような内容となりました。


ザ・キング・オブ・ファイターズ presents Cure Cosplay Festival Vol.3 - Cure主催の新感覚コスプレイベント

映画『THE KING OF FIGHTERS』公式サイト 2011年7月2日劇場公開決定

ステージへ登場した小清水亜美さん。


杉田智和さんは登場と同時に抜刀を決めます。


司会:
杉田さんは吹き替えをやってみていかがでしたか?

杉田智和さん(以下、杉田):
とても楽しかったです。特に嬉しかったのは、出演者がほぼ全員KOFのゲームをやり込んでいるというところですね。「ここではこういうことを言わないんじゃないかな」とか「やっぱり『ラウンドワンファイト』でしょ。『試合開始』なんて言わないよ」と話し合うことができて、原作へうまくリスペクトを寄せられた現場でした。現場はとても良かったです。


司会:
小清水さん、アフレコ時の特に楽しかったエピソードなどはありますか?

小清水亜美さん(以下、小清水):
私がアフレコをさせていただいていた時は、もう皆さんの音声がほぼ入っている状態だったのですが、アメリカ版の役者さんがやっているお芝居の上に日本語で吹き替えをしているのを聞いて「皆さんはこういうニュアンスでお芝居をしてるんだ」と思いました。人によってちょっとずつ吹き替えの仕方が違うんですよ、キャラクターにぐっと寄っているところもあったりとかして。そういうのが面白かったですね。あとアドリブが入ってたりとか(笑)

司会:
アドリブですか?

小清水:
はい。そういうところに、ちょっとクスリとさせていただきつつのアフレコでした。でも、みなさんと一緒に録りたかったです。


杉田:
いやいや、いろいろ事情がありますからね。

司会:
杉田さん、どうでしたか?現場の特に楽しかったところとか。

杉田:
出演者の作品に対する愛情が深いところですね。原作のキャラクターを意識した芝居や台詞等、みんなでアイディアを出しながら収録出来ました。

小清水:
さすがです。


杉田:
そういう妙に深い会議が始まりました。

司会:
せっかくなので、この場だからこそ話せるようなアフレコ秘話があれば是非とも教えていただきたいのですが、何かありますか?

杉田:
収録中に自分が舞台挨拶やイベントで着るコスチュームの話題が上がったんですよ。そして「どれを着れば良いのかな」と考えた結果、映画版の草薙京の格好になりました。当初はゲーム版の格好も候補に挙がっていたという話しを聞いて「えっ、そうなったらどうするの?」なんて思いましたけれど。


小清水:
私も、映画のアフレコをさせていただいた後に「これからいろいろなイベントがありますが、良かったら衣装を着ていただけませんか」というお話しになり、二つの衣装案が上がってきていたんですよ。これと赤い方。

杉田:
ああ、戦う時の衣装ですね。

小清水:
事務所で女性マネージャーさんと二人で「どうしましょう?」と、ちょっと悩んでたんですよ、実は(笑)悩んだ結果、やっぱり皆さんのイメージや夢を壊しちゃいけないよねとなって。あまりにも(肌が)出ちゃうし、出ちゃうと無いのがばれちゃうし、みたいな(笑)


司会:
「赤い方」というのは後ろに置いてあるポップのやつですか?

杉田:
そうですね。

不知火舞の定番衣装のこと。


小清水:
はい、そうです。隠しきれない感じだったので、結果的に劇場版の舞さんと同じ衣装にさせていただいてもよろしいでしょうか、というところで。でも皆さんに「ですよね、分かってました」と言われました(笑)

杉田:
そうだろう。でも、小清水さんは過去にいろいろな作品のコスプレをしてきた歴史があったはず。

小清水:
そうですね、なんだかんだで。初めては何だろう、「LEMON ANGEL PROJECT」とか?


杉田:
ああ、懐かしいな。

小清水:
あと、コードギアスでも実は制服をちょっと着せていただいて。

杉田:
ああ、あったあった。何で知ってるかは秘密ね。

小清水:
テ、テレビで見たんですか?

杉田:
何で知ってるかなんてツッコんじゃいけないよ、そんなところ。

小清水:
分かりました(笑)

杉田:
うちのハードディスクレコーダーをぶっ壊さないといけなくなるから。

小清水:
壊して下さい、今すぐ!

杉田:
だが断る。……という風に小清水さんとのコンビネーションは心配してなかったんですよ。ただ、そこ以外となると、どうなのかなと。まあ、見ての通りの(ゲーム版とは違う衣装を着た)草薙京なので。あとは映画で確かめてもらうしかないです。まず先に言っておくが「草薙の剣」だから。「草薙の拳」じゃないからね。何とかKOFとして成立させるために努力はしました。さあ、あとは映画館で。


司会:
杉田さんはコスプレ衣装を着てみてどうでしたか?

杉田:
これを作った方にまず愛情を感じています。ちゃんと細部まで作ってあって。コスプレは基本、忍耐と愛情だと思っていますから。

司会:
そうなんですか?みなさん。

杉田:
ただ、衣装を着ていると、かなり暑いです。

司会:
暑いですか?

杉田:
そこは耐え抜いてこそ頑張れるというのがあるので。今日来ていただいている皆さんとか、スタッフの愛情の深さというところでも頑張れますし。なにより、題材が「KOF」ということでモチベーションが相当高くなっています。

司会:
もともと杉田さんはKOFがお好きということで。

杉田:
はい、大好きです。

司会:
どこまでも語れますよね?

杉田:
最初に出た'94からプレイしていました。思い出も含めて、個人的に一番好きなのは'94だったりするんですよね。


司会:
会場内に'94が好きな方はいらっしゃいますか?

杉田:
思い出は尽きないのですが…。

司会:
すごくしゃべりたそうな方々がいらっしゃいますから。小清水さんも満員の雰囲気に……。

小清水:
セルが、セルが居る!

来場していたセル。


杉田:
豊島園なのに完全体が。その横にはイナズマイレブン、イングランド代表はどこだ?

小清水:
すみません、話しの腰を折ってしまって。

司会:
すごくビックリしている表情をされていたので、何がいたのかと思いきや。

小清水:
「ああ!」と。

杉田:
いやー、すごいですね。


司会:
客席側から見ると分からないと思いますが、ステージから見るとすごいんですよね。

小清水:
本当にすごい。

司会:
杉田さんはKOFを良くプレイしていたそうですが、やはりゲームの面白さというところも映画には生かされていますか?

杉田:
そうですね、元が格闘ゲームなのでアクションシーンがどうしても魅力になってくるんですけど、そこはやっぱりゲームの面白さが生きています。「良い動きするわ、この役の人」って。たしかルガールの役者さんってスター・ウォーズでダース・モールをやっていますから。

小清水:
へー。

杉田:
ダースモールといえばあの棒みたいな武器だろと。つまり……そういうことです。「ルガールが棒?うーん、あらゆる格闘技使えるからいいんじゃない」という訳の分からない結論に至りました。あとは見ていただければと思います。

司会:
今日の午前中に行われた先行上映をご覧になったという方々はいらっしゃいますか?……結構いらっしゃいますね。どうでしたか?続きが楽しみという方々は拍手を。(パチパチと客席から拍手)

杉田:
偉い、偉い!

小清水:
ありがたいですね、本当に。


司会:
映画の見どころはたくさんあると思うんですが、特にここを見てほしいというところがあれば是非教えていただければと思います。

小清水:
印象的なシーンも結構たくさんあります。テリーと舞の面白い会話があるんですよ。なので、そこを見ていただきたいなというところと、後はやっぱりアクションシーンという感じですよね。

杉田:
KOFのストーリーに三種の神器が出てくるんですけど、その辺の絡みは映画の中でちゃんとやっています。あとは'97であった八神庵のアレかな。当然アレも入ってるぜというところが注目ポイントかなと思います。庵役の須藤さんとはたまにベルゼバブというアニメで共演するんですけど、そこでは見せられないような激しさがありました。彼は普段おとなしいんですよ、すごく。「おお、ずいぶん変わるね。いいよいいよ!」という感じです。ルガール役の手塚さんも普段はお笑い芸人みたいに気さくな人なんですが、ルガールの時はいかにもルガールという感じになるんですよ。

ゲーム版のルガールは新居利光さんがやっていたイメージがありますが、途中で若本規夫さんに変わって「なんで?まあ、いいけどさ」と。カイザーウェイブのイントネーションで「何でそこでいきなり音程が上がるんだよ!」とか。とにかく、元になったKOFが好きだからこそ楽しめる部分もあり、沸き上がる何かも……沸き上がる何かは言えないけれど。だけど、そういったことも含めて、映画は映画で楽しんでほしいなという本音は確かにあります。

司会:
これまでにもさまざまな作品でご活躍されてきたと思いますが、小清水さんは今回の役だからこそ、演じる上で気をつけたこととかはありますか?

小清水:
今回の舞さんはゲーム版とはまた違ったセクシーさがあったので、そういったところですかね。あとはアメリカ版の原音、元になった音声を聞いていると、さすがにゲームの不知火舞のままで声を当ててしまうと違和感が出てしまうかなというところがあったので、少しだけマギー・Qさんに合わせて芝居をさせていただきました。他に何かあります?


杉田:
小清水さんが「えっとね、亜美ねー」と……

小清水:
ちょっと!私、そんな風じゃないんだからね(笑)

杉田:
やばい、ちょっとまずいカルマをためてしまったな。これは後が怖い……なんてことはないんだけどさ。ほーら、小清水見ろ。「狼と香辛料」だよ。(会場を見渡す)

小清水:
あっ、ホロだー。ロレンスもいてる。

ファッションショーに出場していたホロ。


杉田:
こんな風に子供をあやすかのごとく、うまいこと扇動する。任せろ!

小清水:
今、転がされましたか?私。

杉田:
いやいや、そんなこと……ほら、あの辺にプリキュアも……あれ、いない?

小清水:
どこどこ?本当だ、プリキュアだー、わー。

ファッションショーに出ていたキュアブロッサム。


司会:
改めて杉田さんにおうかがいしますが、今回の役ならではの気をつかわれた点や、心がけた点などはありますか?

杉田:
なんといっても草薙京ですから。僕は中学生の時に初めてKOFに触れたんですけど、魅力が詰まっているんですよね。皮のグローブでしょ?それにこだわりのある短ランの着こなし。手から炎が出るんだぜという。「ディスティニー」に立ち向かうんだぜ、超かっこいい。そしてライバルは紫の炎ですから。待ってましたという感じで。

当時、KOFは関連書籍がわりと出ていて、覇王マガジンでやっていた「キング・オブ・ファイターズ京」や少年エースでやっていた真行寺たつや先生の漫画が好きで読んでいました。そういった意味で、SNKとして初めての作品のメディア展開がものすごくあったなと思います。既に餓狼伝説龍虎の拳がありましたが、KOFはその後も長く続くシリーズになっていったなと。自分に取っては本当にアニメ・漫画・ゲームで楽しんでいた頃に直撃した作品ですから。「えっ、京?どうする?」ですよ。自分が演じるということで許せない部分がいくつかあって。

司会:
どんなところですか?

杉田:
オリジナルのゲーム音声とは変わるので、正直複雑でした。ただ、頂いた資料を見て「ん?うーん。……頑張る、俺が責任取る!」と。KOFへの思い入れがあるからこそ取れる動きもあると思うので、それをなるべく詰め込みました。でも心の中に「本当に草薙京をやれるの?」という自分もいるので、そういった意味ではうれしいというか、すごいプレッシャーでした。

司会:
これからご覧になる皆さんへ向けて、両人から「ここを見てほしい」というところを是非教えていただければと思います。いかがでしょうか、小清水さん。

小清水:
ええー?

杉田:
「ええー?」じゃないよ、オススメのシーンとかそういうところだよ。

小清水:
今回、舞がなかなかモテる役と言いますか、ちょっと男性を誘惑するようなシーンも含まれているので、そういったところも見どころの一つかなと思っています。


杉田:
「あれ、アンディどこ行ったの?」ってなるよね。

小清水:
そうなの!今回、アンディは出てこない!

杉田:
そういうこと言うなよ。

小清水:
おほほほほ(笑)

司会:
杉田さんは?

杉田:
……草薙京。やっぱり八神庵との因縁は映画になっても変わらないかなと。ちゃんと二人が衝突する理由があるんですよね。家柄ももちろんあるんですけども。三種の神器的にはオロチを封印しなきゃいけないからチームメイトとして協力しなきゃいけない、でも個人的には少し仲が悪い。その辺りを見ていただけると面白いかな?あとは、突然ルガールがあるものを握って急に野球みたいなことを始めた時はアメリカンジョークのようなものなのかね。

小清水:
ありましたね。

杉田:
京の刀を見たルガールが「それ、いいじゃねえか」と言いだして「私も何かを呼んでみよう。ん、これだ」みたいな。最初は釘バットが飛んできて、その後は普通のバットが出てきて急に野球が始まるというね。

小清水:
そうだそうだ。

司会:
ええっ。

杉田:
分かんないでしょ?言ってるだけじゃ。「何で野球なの」と。

司会:
何で野球なんですかね。

杉田:
SNKでサッカーといえば得点王というゲームがあったけれど、野球は……「ああ、あったか」みたいな。なぜ、戦うバトルフィールドが用意されているのかという理由も説明されているので、その辺りも映画のポイントとして見てほしいな。「ああ、これなら確かにKOFできるわ」と思うはずです。お楽しみにということで。

司会:
上映前なのであまりネタバレできませんが、もしよければキャラクターのセリフを聞かせていただけないかなと思うんですが、どうでしょうか?(観客の拍手)

杉田:
どうしたんだろー。亜美、緊張してきたー!

小清水:
だから、私そんなんじゃないっつうの!(笑)

司会:
もしよろしければ。

小清水:
それなら、掛け合いのセリフはどうですかね。京くんとの掛け合いは少しだけでしたけど。


杉田:
結構、八神としゃべってたからね。

小清水:
うん、そうなの。庵との話し合いが多かったんですが、物語の確信をついちゃう言葉が多いんですよね。

杉田:
そうなんだよね。

小清水:
ゲーム版の方が喜ばれるのかな?


杉田:
なるほど、ゲーム版も言ってみればオフィシャルだからね、小清水は。

小清水:
「よっ、日本一!」はさっきやっちゃったもんね。映画の中で「あ、こんなところに『日本一!』入ったんだ」という意外なところに入っています。それも見ていただけたらうれしいな、なんて思ってるんですけれど。杉田さん、何かありますか?

杉田:
何だろうな……。ボツになったやつとか?

司会:
それはここだけのレアセリフですね。

杉田:
まあね、ゲームと同じセリフを言うのだってねえ……。うーん、何がいいかな。小清水、むしろ技名とかでいいんじゃないかな。


小清水:
じゃあ、あんな感じでいいですかね。いきます。「花蝶扇!龍炎舞!」こんな感じでよろしいでしょうか。(拍手)


司会:
ありがとうございます。すごい!聞いていて本当に私、鳥肌立ちました。すごいです。では最後に杉田さんからごあいさつお願いします。

杉田:
照明で暑いです。だがそれ以上に、皆さんの会場や作品へのモチベーションがさらに熱いわけですから。燃え上がっている、だって草薙の炎だもの。今回は3分の2ぐらいは仕事なんですけど、残りの3分の1は楽しみに来ているというところがあります。


司会:
ありがとうございました。では小清水さん、お願いします。

小清水:
イベントのステージに上がる前も、ふらっとその辺を走り回ってステキなコスプレイヤーさんの方々を……

杉田:
そう、いなくなったと思って「どこに行ってたんだ」って言ったら。

小清水:
私、「自分がやっている作品のレイヤーさんを探しに行ったの」って言って(笑)

杉田:
「なんですと」と。

小清水:
写真を一緒に撮らせていただいたりとか、「ブログに載せてもいいですか」というお願いにも、すごく快く「いいですよ」と言って下さったり。もう本当にいい方ばっかりで優しいし、本物みたいですごいテンション上がっちゃいました。やっぱり楽しいですね。

杉田:
我々の存在を本当に大事にしてくれます。杉田くんだってね、さっきから「カードキャプターさくら」とか「薄桜鬼」とか目に入ると「んん?」と見ちゃいますから。

小清水:
そう、つい目が行っちゃうんですよね。でも、こんなにたくさんのみなさんに作品が愛されていると思うと、本当に幸せだなと感じます。本業はもちろん声優なんですが、これからもコスプレを頑張っていきたいと思っていますので、みなさんもコスプレを続けていって下さい。どうもありがとうございました。

司会:
ありがとうございました。不知火舞役、小清水亜美さんと草薙京役、杉田智和さんでした。大きな拍手をお送り下さい。ありがとうございました。

杉田:
ありがとうございました。

小清水:
ボディがあめえぜ!

杉田:
よっ、日本一!

司会:
お二人、本当にありがとうございました。

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