取材

「ストリートファイターIV」や「マーヴルVS.カプコン3 フェイト オブ トゥー ワールド」のプロデューサーが開発の裏話を公開


「マチ★アソビ vol.6」のイベントのひとつとして、「ストリートファイターIV」「マーヴルVS.カプコン3 フェイト オブ トゥー ワールド」のプロデューサーを務める新妻良太氏に、ゲーム開発に関する裏話を語ってもらうというトークイベントが開催されました。

格闘ゲームのキャラクターの声優を選ぶ際の基準や、ベガ役に若本規夫氏を起用したことによる不測の事態など、他では聞けない裏話は以下から。CAPCOM:MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds 公式サイト

司会を務めるのは、自称格闘ゲームマニアの声優、市来光弘さん。


ゲストの新妻プロデューサーと、「タツノコ VS. CAPCOM CROSS GENERATION OF HEROES」でロックマンシリーズのヒロインであるロール役を演じた五十嵐裕美さんが登場。


新妻プロデューサー(以下、新妻):
皆さん初めまして。株式会社カプコンの新妻と申します。主に格闘ゲームのプロデューサーをやらせてもらってます。マチ★アソビはアニメ中心のイベントですが、ゲームにも声優さんというのは欠かせないもので、今日は声優さんの選定などについての裏話なんかをお話したいと思いますので、よろしくお願いいたします


大の「ザ・キング・オブ・ファイターズ」シリーズファンとして知られる市来さんが「早速新妻さんに聞いていきたいんですが、僕はどうやったらストリートファイターに出られますか?」と質問、新妻プロデューサーに「まずKOFはどうするの?」といきなり痛いところを突かれます。


「どっちも出たいです」と答えたところ、五十嵐さんに「なんでもいいのか!」とさらに突っ込まれ、「バカヤロウ! いいか、俺はなぁ、たしかにKOFのほうが好きだけど、俺が格闘ゲームを始めた原点はストリートファイターなんだよ!」と逆ギレ。


新妻プロデューサーに「まぁ座りぃや」と諭されます。


市来光弘(以下、市来):
まじめな質問に入ろうと思いますが、まずなぜゲーム会社に入ろうと思ったのですか?


新妻:
もちろんゲームが好きだったというのもあるんですが、ゲーム、アニメ、漫画というカテゴリがある中で、受け手が何かすると反応してくれるという、ゲームのそういった相互的な部分が面白いと思ってゲームの仕事を選んだんですね。


市来:
僕もゲームを作る仕事に携わってみたいという気持ちが、声優という職業を目指した理由のひとつになっているんです

新妻:
最近はゲームに声優さんの声というのは欠かせないものになっていて、アドベンチャーやRPGにも声が入っていますが、僕がやっているような格闘ゲームは、昔からいろんな声を当ててるんですね。

カプコンのゲームって、けっこう社員が声を当ててたりするんですよ。初期の波動拳とか、逆転裁判とか。『異議あり!』とかね。もっと最近のものだと、モンスターハンターのアイル―はサウンドメンバーが飼ってる猫です。そういう部分もあって、声の重要さっていうのはかなり早い段階から認識していたんですね


新妻:
五十嵐さんはやったことあるから分かると思いますが、格闘ゲームってRPGとかほかのジャンルのゲームとはちょっと表現の仕方が違うんですよね。

五十嵐裕美(以下、五十嵐):
やられ1、やられ2、攻撃小、中、大みたいな。あと技の名前を言う時間が決まっていたり。


新妻:
声優さんに説明するのが難しいところでもあるんですが、ストリートファイターの主人公リュウとそのライバルにケンっていうキャラクターがいます。両方とも「波動拳」という技を使うんですが、これが2人ともちょっと言い方が違うんです。リュウの波動拳は下がる声で、ケンのは上がるんです。寡黙なリュウと、陽気なケンっていうキャラクターの違いを、そういう部分でも表現しているんですね。

あと、「ストリートファイターIV」ではベガを若本規夫さんにやってもらったんですが、ベガの技の「サイコクラッシャー」は技が出てから終わるまでがけっこう早いんですよ。若本さんに「速く言ってください」ってお願いしたんですが、「サァイコォ……」って感じで「長いな」と。「すいません、今のもいいんですけど、もうちょっと巻きでもらえますか?」ってお願いして、「分かりました。サァイコ……」「同じだな」って。結局「ゴメン、機械の力でなんとかなんない?」って言われて、ぎゅっと縮めてるんです。格闘ゲームならではの難しさってあるんですよね。


市来:
格闘ゲームを作っている新妻さん、ぶっちゃけ腕前はどうなんですか? もう「闘劇」レベルだったりするんですか?

新妻:
イヤイヤイヤ……俺と闘うにはあと5人くらい倒す必要があるよ?(笑)

市来:
マジですか? 実は僕「THE KING OF FIGHTERS XIII」の滋賀予選突破したことあります。京都の予選突破した人と闘って負けましたけど。

新妻:
本当のこと言うと、僕はそんなに強くないです。格闘ゲームを作ってる時に、責任者が上手だと、それが当たり前と思っちゃうんですね。カプコンにもキャラクターによっては全国で1位レベルの人もいるんですが、上手な人向けの部分はそういう人に任せて、全員それだと「これくらいできるだろ」ってなっちゃうんです。だから僕は意図的に上手くならないようにしている部分があります。

初心者的に「ここつっかかるんだけど」っていう意見を出して、ゲームのバランスを取っているディレクターと話をしないと、どんどんゲームが難しくなっちゃう。格闘ゲームは特にそういうところに気をつけないと、ユーザーさんを置いてけぼりにしちゃうんです。

五十嵐:
そうなんだよ、市来さん。できるからってね、教えるとき怖いもんね。できる人は、できない人の気持ちが分からないんだよ。

新妻:
ほらね。

市来:
そんなことないよ!


市来:
格闘ゲームの魅力ってどんなところですか?

新妻:
分かりやすく勝敗がつくし、自分が上手くなればなるほど、見返りが大きいゲームなんですね。人とネットワークで対戦したりして勝てるようになったりしたとき、すごく達成感の大きいジャンルなんじゃないかな、と思います。

市来:
本当にそうですよね。連続技とか出せるとすごく楽しくなるんですよね。

新妻:
ただ、そうなったら初心者には優しく教えてあげないとね(笑)

市来:
うん……そうする。


新妻:
市来くんはゲーセン行ってゲームとかするの?

市来:
僕、「スーパーストリートファイターIV」やってますよ。さくらを使ってるんです。ストII時代はケンだったんですけど。

新妻:
なんでケンじゃないの?

市来:
僕、格闘ゲームで女性キャラを持ちキャラとして使ったことが無かったのと、中の人萌えです。

五十嵐:
中の人は誰?

市来:
福圓美里さん。つきあいが長いっていうのもあるんですけど。

新妻:
それはアレだね、同じ事務所の沢城さんに申し訳ないよね。

五十嵐:
そうだよ! キャミィを使えよ!

市来:
いやぁ、沢城さんは神々しすぎて僕が使うには恐れ多いかなと。それに、沢城さんが出てるってことは、五十嵐さんが使うでしょ? だから空けといたんですよ。

新妻:
うまい逃げ方だな(笑) 後は同じ事務所の人っていたっけ?

市来:
サガットの遠藤さんとか。

五十嵐:
そういえば私、サガットコールやりましたよ。他にもさくらの友達とか、ダルシムの息子とか。いろいろやりました。

新妻:
やったやった(笑)

五十嵐:
ダルシムの息子はガイルの娘と文通してるんですよね。

市来:
知らなかった(笑)


新妻:
「ストリートファイターIV」のオーディションには200人くらいの声優さんに来てもらったんですが、当時はまだ「ストリートファイターIV」って言えなくて、作品名は隠してたんですが、オーディションの選考でこの声を当ててみてくださいって紙に「20代男性 波動拳」って書いてあるんですよ(笑)

五十嵐:
バレバレ(笑)

新妻:
分かる人は分かっちゃって、ガイルには「30代後半 ソニックブーム」って書いてあったんだけど、安元さんからは「昔からやってるんで、ソニックブームって昔の言い方でいいですかね?」って先回りされちゃって、「じゃあそれでお願いします」って(笑)

五十嵐:
独特な言い方多いですよね。

新妻:
「ウソ英語」っていうのがあって、日本語の言い方じゃないんだけど、英語っぽい言い方で、しかも短く言うみたいな。他のジャンルとはちょっと違うスキルが必要だったりします。アニメとはちょっと違った部分がありますね。

でも、選ぶ時は声の質さえ合ってれば、あんまり迷うことなく選ばせてもらいましたね。少なくとも僕はそういう基準で選ばせてもらいました。なので、五十嵐さんも当時養成所の1年目だったんだけど、声を聞いてすごく良いなってことで、ロックマンのヒロインのロールちゃんをやってもらったんですね。

五十嵐:
初イベントの時は、ガルマ・ザビとかガッチャマンの森功至さんと一緒にゲームしたんですよ(笑)

待合室にいたのが、森さんと水木一郎さんと私っていう空間で、一緒にお弁当を食べさせてもらいました。

新妻:
でもあそこで気に入られてね。

五十嵐:
森さん、ご自分でもプロダクションをやられているので、「ザビ家に来ないか」って(笑)


市来:
現在新妻さんが作っているゲームってどんなものなんですか?

新妻:
最近格闘ゲームばっかり作ってたんですが、ちょっと実験的なゲームを作ってみようということで、任天堂の3DS用に「謎惑館」っていうゲームの制作をやってます。ヘッドフォンでやるゲームなんですが、3Dの立体視に3D音響を組み合わせて、新しい技術を使って実験的なゲームになってます。

市来:
3D音響ですか?

新妻:
従来の左右から聞こえるステレオ音響じゃなくって、もっと立体的に聞こえるんです。

市来:
それはキャラクターいっぱい出るんですよね?

新妻:
出ますよ。

市来:
声優さん必要じゃないですか?

五十嵐:
来たよ(笑)

新妻:
出たい?

市来:
出たくないわけないじゃないですか!

新妻:
じゃあ自分の一番得意な必殺技やってよ。KOFでもいいよ。

市来:
俺の中の狼を起こせばいいんですね……。じゃあ、「ザ・キング・オブ・ファイター」の主人公、草薙京のセリフを。全力で叫びます。

「遊びは終わりだ!!」


会場:
おお~

五十嵐:
なんで今こっち見てどや顔したの(笑)

新妻:
惜しいな、今のどや顔が無かったらな……。

市来:
えっ、えっ、違いますよ、「どうですか?」っていう不安な顔ですよ! どうですか? 俺、「謎惑館」に出れますか?

新妻:
分かりました。出しましょう。枠はいっぱいありますから、なんとかしましょう。

市来:
炎とか出せますか?

新妻:
出せねえよ(笑)

市来:
発売はいつですか?

新妻:
発売は夏を予定しています。


新妻プロデューサーから、カプコン関連商品のお土産が用意されていました。


「戦国バサラ」「モンスターハンター」のグッズ。


「マーヴルVS.カプコン3 フェイト オブ トゥー ワールド」のポスターとクリアフォルダ、ペンダント。


新妻プロデューサー、市来さん、五十嵐さんとじゃんけんをして、勝ち残った人にセットでプレゼントされました。


最後のひとつには新妻さんから「マーヴルVS.カプコン3 フェイト オブ トゥー ワールド」のソフトも一緒にプレゼント。


最後に新妻プロデューサーから「今日はお昼の炎天下に集まってくれて、ありがとうございました。僕もマチ★アソビに来れて良かったと思います。これからも皆さんの期待に応えられるように頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします」との挨拶でイベントは終了しました。

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in 取材,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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