賭博プラットフォーム「Polymarket」のギャンブラーが「イランのミサイル攻撃の記事を書き直さないと殺す」と記者を脅迫

Polymarketは、さまざまな現実世界のトピックについて仮想通貨で賭けることができる賭博プラットフォームであり、戦争や軍事攻撃に関する賭けが行われていることで問題視されています。イスラエルのオンラインメディア・Times of Israelの記者であるエマニュエル・ファビアン氏が、イスラエルの首都・エルサレム近郊に着弾したイランのミサイルについて報じたところ、「記事を書き直さないと殺す」とギャンブラーから脅迫を受ける事態に発展してしまいました。
Gamblers trying to win a bet on Polymarket are vowing to kill me if I don't rewrite an Iran missile story | The Times of Israel
https://www.timesofisrael.com/gamblers-trying-to-win-a-bet-on-polymarket-are-vowing-to-kill-me-if-i-dont-rewrite-an-iran-missile-story/

'Bone-Chilling': Gamblers ‘Vowing to Kill’ Journalist Unless He Changes Iran War Report to Help Them Win Polymarket Bet | Common Dreams
https://www.commondreams.org/news/israel-journalist-polymarket-threats
2026年3月10日、エルサレム近郊のベト・シェメシュという都市で、イランのミサイル攻撃による大規模な爆発が発生しました。幸いにもミサイルは市街地から500mほど離れた森林地帯に着弾し、負傷者などは出ませんでした。
ファビアン氏はこのミサイル攻撃について、当時の映像付きでTimes of Israelで報じました。ファビアン氏が引用した以下の映像を見ると、確かに森の中で大きな爆発が起きていることが確認できます。
No injuries are reported in Iran's latest ballistic missile attack on Israel, the fourth today.
— Emanuel (Mannie) Fabian (@manniefabian) March 10, 2026
One missile struck an open area just outside Beit Shemesh, first responders say and footage shows.
Sirens had sounded across the Jerusalem area, the West Bank, and parts of southern… pic.twitter.com/j6sovAsDwz
ファビアン氏がこの件について報じた日の午後、アヴィヴという人物から報道内容を訂正するように求めるメッセージが届きました。アヴィヴ氏は、「落下したのはミサイル全体ではなく迎撃ミサイルの破片だった」と他のメディアが訂正したと主張し、「記事の内容が現実を反映していないため、更新していただけるとありがたいです」と述べたとのこと。これに対しファビアン氏は、イスラエル軍から得た情報によると着弾したのは確かにミサイルの弾頭であり、映像に記録されたような爆発は破片だけの落下では起きないと説明しました。
ところが、ファビアン氏への問い合わせはこれだけで終わらず、翌11日にはダニエルという人物から「3月10日のミサイル攻撃に関するあなたの報道の正確性について、緊急のお願いがあります。可能であればご回答いただければ幸いです。あなたによる3月10日のミサイル攻撃に関する報道は不正確であり、それが連鎖的な誤りを引き起こしています」「もし今夜私に返信していただければ私だけでなく多くの人々、そしてもちろんイスラエル国家にも役立つでしょう」というメールが送られてきました。
今回のミサイル着弾では幸いにも負傷者は出ていなかったこともあり、ファビアン氏は「なぜこんなささいなことを重要視しているのだろう」と不思議に思ったとのこと。しかし、ダニエルはその後も繰り返しメールを送り、12日には海外メディアにもファビアン氏の報道が引用されたことを示し、「もう一度お願いします。できるだけ早く対応していただければ、大変助かります。できれば今朝のうちに、本当に重要なことです」と要求したとのこと。
その後も別の匿名ユーザーから同様のメールが届いたり、Discord経由で記事の正確性を疑うメッセージが送られてきたりしました。中には、Xでファビアン氏の投稿に「3月10日のベト・シェメシュへのミサイル攻撃は実際に迎撃されたという連絡をあなたから受け取ったという人がいますが、これは本当ですか?」とリプライを送るユーザーもいたそうです。
不審に思ったファビアン氏がリプライを送ってきた複数のXアカウントを調べたところ、いずれのアカウントもPolymarketでギャンブルに関与していることが判明しました。Polymarketは世界最大級の予測市場のひとつで、ユーザーは仮想通貨やクレジットカードなどを使用して、現実世界のさまざまな出来事について賭けをすることが可能です。
今回ファビアン氏に連絡してきた人々は、「イランがイスラエルを攻撃すると思うか?」というトピックに賭けをしていました。賭けの条件は「イランがイスラエル時間で指定された日に、イスラエル領土に対してドローン攻撃・ミサイル攻撃・空爆を開始した場合、『はい』と判定され、そうでない場合は『いいえ』と判定される」というもの。そして、ミサイルやドローンが迎撃された場合、その破片や残骸がイスラエル領土に落下しても、「はい」の条件は満たさないとされていました。

このトピックには3月10日時点で総額1400万ドル(約22億3000万円)以上が賭けられており、期せずしてファビアン氏による「森林地帯にイランのミサイルが着弾したが負傷者は出なかった」というささいな報道が、大金を左右する重要なものになってしまいました。ファビアン氏に連絡してきた人々は「いいえ」に賭けており、賭けに勝つために記事の内容を訂正するよう求めてきたというわけです。
その後もファビアン氏へのメッセージは届き続けました。中には、ダニエルとのやり取りで、ファビアン氏が記事の訂正を約束したかのように文面を書き換えたスクリーンショットを添付し、記事の訂正はいつになるのか尋ねるものもありました。また、ある人物は別メディアの記者に対し、「ファビアン氏に記事を訂正するよう説得してくれ」と頼んできました。この記者はPolymarketについて知りませんでしたが、ファビアン氏の説明を受けて知人を問い詰めたところ、知人はPolymarketで賭けをしていたことを認めた上に、「説得に成功したら賭けで勝った分から報酬を支払う」と申し出たとのこと。
当然ながらファビアン氏は報道の正しさに自信を持っており、これらの訂正要求に応じませんでした。ところが3月14日~15日の深夜には、ハイムという人物からWhatsAppで「影響力を行使しようとした試みを正す時間は、ちょうど30分だ」「3月15日1時までにこれを訂正しなければ、あなたは想像もしていなかったような損害を自ら招くことになるだろう」と脅迫メッセージが届き始めました。
ハイムは何度もWhatsAppで通話を試み、その後も「あなたは自分がどれだけ危険に身をさらしているのか、まったくわかっていない」「あなたは慣れ親しんだ命を失うことになることを承知の上で、何のためでもないのに戦場へ行こうとしている」といったメッセージを送りました。さらに、ファビアン氏が住んでいると思われる地域や両親、家族についても言及し、賭けに負けた富裕層が標的にするだろうと脅してきました。また、弁護士を名乗る人物から「Polymarketで不正操作を行った疑いがあるとして、アメリカの会社から調査依頼が入った」という通話も受けたとのこと。

15日の午後には、ハイムからこれまでに最も露骨な脅迫が届きました。メッセージには「嘘を訂正する時間はあと90分だ。これを実行すれば、人生で自ら招いた最も深刻な問題を1分で解決できる。そして、1週間後には私のことなど覚えていないだろう」「もしあなたがそれを訂正せず、嘘をそのままにしておけば、法律の範囲内であなたの人生をめちゃくちゃにするためなら、どんな代償もいとわない者たちが現れる」「私の知る限り法律を全く気にしない人もいるし、そういう人たちはあなたが稼ぐ金額の約50倍もの損失を被ることになる」「残り86分。あなたの命はあなた自身が責任を持つべきだ」などと、殺害をほのめかす内容が記されていたそうです。
結局、ファビアン氏が証拠提出のために警察署へ行く前に、ハイムの脅迫は時間切れとなりました。警察は現在捜査を進めていますが、16日の早朝にもハイムから「あなたは無責任な行為の代償を全額支払うことになるだろう」「これからの夜は眠らない方がいいだろう。いずれにせよこれから先の数カ月は、決して楽な日々にはならない」といったメッセージが届いたとのこと。ファビアン氏はこれらのメッセージに返信していません。
16日にTimes of Israelの取材を受けたPolymarketは、声明で「Polymarketはエマニュエル・ファビアン氏、あるいは他の誰に対してであっても嫌がらせや脅迫を非難します。このような行為は当社の利用規約に違反するものであり、当社のプラットフォーム上はもちろん、いかなる場所においても許されるものではありません」「予測市場は独立した報道の信頼性に依存しています。ジャーナリストに報道内容の変更を迫る行為は、その信頼性を損ない、市場そのものを弱体化させます」と述べました。
同日にはPolymarketのXアカウントでこれらの脅迫を非難する声明が発表され、関係するすべてのアカウントを停止し、その情報を関係当局に提供したと報告しました。
Polymarket condemns the harassment & threats directed at Emanuel Fabian — or anyone else for that matter.
— Polymarket (@Polymarket) March 16, 2026
This behavior violates our Terms of Service & has no place on our platform. We've banned the accounts for all involved & will pass their info to the relevant authorities.
ファビアン氏は、今回のギャンブラーたちによる脅迫は失敗したものの、他のジャーナリストも同じように行動できるかはわからないと懸念を示しています。実際、過去にはイスラエルの軍事情報が漏れてPolymarketの賭けに悪用された事例や、アメリカがベネズエラのマドゥロ大統領を拘束する作戦を事前に知っていたと思われるアカウントが荒稼ぎした事例なども報じられています。
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in メモ, Posted by log1h_ik
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