サイエンス

現代人が絶え間なく「音楽」を聴いていることの影響とは?どうやって音楽と付き合っていくべきなのか?


現代人の多くは、日常的に「気分が上がる音楽」や「リラックスできる環境音」を聴いており、中にはほぼ1日中イヤホンやヘッドホンを着けたままという人もいます。中国の西安交通リバプール大学で人間の認知機能と音楽の関係について研究しているヴィクター・ペレス准教授が、現代人が絶え間なく「音楽」を聴いていることの影響や、音楽とうまく付き合っていく方法について解説しました。

What the constant sound of modern life is doing to our minds
https://theconversation.com/what-the-constant-sound-of-modern-life-is-doing-to-our-minds-276486


◆人間と音の関わりの変化
人間の歴史の大部分において、音はさまざまな意味や感情、生存に関わる瞬間と結びついていました。たとえば、自然や動物などが立てる音は身の安全を確保したり資源を手に入れたりする上で重要で、儀式や祝祭などで奏でられる音楽は共同体とのつながりを深め、感情を高ぶらせる機会のひとつでした。

ところが近年では、音と人間の関わり方が変化しているとペレス氏は指摘しています。多くの現代人は「仕事用のプレイリスト」「勉強用のアンビエントトラック」「通勤時のポッドキャスト」「心を落ち着かせるためのBGM」などを日常的に聴いており、ほぼ絶え間なく何かしらの音に接しています。


もはや音は集団的なものではなく、個人的で持ち運び可能なものとなっています。また、音を聴く目的も集中力のアップやストレスの軽減などに変わっており、多くのプラットフォームでは「deep focus(深い集中)」「workflow(ワークフロー)」などのラベルが付いた、集中力アップや生産性の向上を目的として設計された音楽が配信されています。

こうした現代の音楽環境には良い面もあるそうで、ペレス氏は「忙しい職場や家庭では、聴覚環境を整えることでコントロール感を取り戻し、特に聞き取りやすい会話からの雑音を軽減することができます」と述べています。その一方で、連続した音は回復や内省を促す「静寂」を奪ってしまう可能性があると指摘。「連続した音の風景の中で失われてしまうのは静寂だけでなく、考えるための空間です。毎日ノンストップの音楽・会話・その他の音にさらされることで、気づかないうちに思考・判断・対処の仕方が形作られている可能性があります」と述べました。


◆音楽が認知パフォーマンスにもたらす影響
人々はタスクのパフォーマンスを向上させるために音楽を聴く場合がありますが、音楽が脳にもたらす効果は状況によって異なります。たとえば、反復的な作業や複雑性の低いタスクでは、音楽が集中力を高めて退屈を軽減することでパフォーマンスが向上します。しかし、言語・問題解決・新しい学習などを必要とするタスクでは、音楽を聴くことで注意力が奪われたり、持続的な思考が困難になったりするケースがあるとのこと。

これまでの研究では、歌詞がある音楽は読書・筆記・言語的推論といった比較的難度の高いタスクの妨げになる可能性が高いことが一貫して示されています。別の研究では背景音が大きい場合、発話情報を保持しつつ競合する音をフィルタリングする「聴覚ワーキングメモリ」のパフォーマンスが低下する可能性が示唆されています。

ペレス氏は、音楽がタスクに必要とされる要求と競合してしまうと、外見上のパフォーマンスは変わらなくても精神的な努力や疲労が増す可能性があると指摘。「こうした変化は徐々に蓄積するため、その影響が顕著に現れることはまれです。むしろそれらは、「どれだけ忍耐強く考えられるか」「どれだけ素早く判断するか」「答えが明確でない時にどう対処するか」といった思考のデフォルトを形作ります」と述べました。


◆より幸福に音と関わるための「3つの原則」
ペレス氏は音と認知に関する自らの研究に基づいて、自分の音環境をデザインするために重要な「3つの原則」をアドバイスしています。

1:思考の種類によって音を変える
ペレス氏が提唱する1つ目の原則は、自分が取り組んでいるタスクや思考の種類によって音を変えるというものです。

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in 無料メンバー,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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