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AIの影響を受けやすい職業の傾向や労働市場に変化は見られるのかについてAnthropicが報告


近年はAIの急速な普及により、「AIで代替可能な職種の失業者が増える」「新規採用が滞る」といった懸念が強まっています。チャットAIのClaudeを開発するAnthropicが、AIの影響を受けやすい職種や労働市場への影響についてのレポートを公開しました。

Labor market impacts of AI: A new measure and early evidence \ Anthropic
https://www.anthropic.com/research/labor-market-impacts


近年のAIの普及には目を見張るものがありますが、AIが労働市場に及ぼす影響についての予測は慎重に評価する必要があります。たとえば、雇用がアメリカから海外に移転される可能性を予測した試みでは、アメリカの雇用のおよそ25%が海外移転のリスクがあるとされました。しかし、この予測から10年以上が経過しても、これらの雇用のほとんどは健全な成長を維持しているとのこと。

AnthropicはAIが労働市場にもたらした影響を評価するにあたり、「observed exposure(観察された暴露)」という指標を導入しました。観察された暴露は、理論上はAIによって高速化できるタスクのうち、実際に専門現場でAIの自動化が活用されているタスクを定量化することを目的としたものです。


観察された暴露が高くなる要素としては、「そのタスクは理論的にAIで実行可能である」「そのタスクはAnthropic Economic Index(Anthropic経済指数)で重要な用途がある」「そのタスクは仕事に関連した文脈で実行される」「自動化された使用パターンやAPI実装の割合が比較的高い」「AIの影響を受けるタスクが全体の役割の大きな部分を占めている」といったものが挙げられます。

以下の円グラフは、大まかなカテゴリーごとにAIによるタスクの高速化が可能な程度(青色)と、観察された暴露の程度(赤色)を表したもの。理論的にはAIでカバー可能なタスクであっても、実際にAIが代替している割合はそれほど大きくないことがわかります。理論的にはAIによる実行が可能なタスクが特に多い職種としては、「Management(管理)」「Business & finance(取引と財務)」「Computer & math(コンピューターと数学)」「Legal(法務)」「Arts & media(アートとメディア)」「Office & admin(事務と管理)」などがあります。観察された暴露が多い職種もこれと同様ですが、その割合はかなり低いものとなっています。


Anthropicは、「AIの機能が進化し、採用が広がり、展開が進むにつれて、赤い領域は青い領域を覆うように拡大していきます。しかし、まだカバーされていない領域も大きく残されています。もちろん、木の刈り込みや農機具の操作といった農作業から、裁判で依頼人の代理を務めるといった法的業務まで、AIの手の届かないタスクは依然として多くあります」と述べました。

以下のグラフは、縦軸がアメリカ合衆国労働省労働統計局が2025年に発表した「2024~2034年の職業別の雇用率変化」を、横軸が職業別の観察された暴露を表したもの。全体的に、観察された暴露が大きいほど将来的な雇用率も低くなると予測されている傾向がみられます。


以下の表は、観察された暴露がまったくなかった30%の労働者と、観察された暴露が最も多い上位25%の労働者の特徴を示したもの。観察された暴露が多いグループでは女性の割合が約16パーセントポイント、白人の割合が11パーセントポイント、アジア人の割合が4.4パーセントポイント(約2倍)も高いことなどがわかります。また、平均収入は47%も高く、教育水準も大幅に高い傾向がみられます。


一方で、観察された暴露の違いは、記事作成時点では失業率の差としてはほとんど確認できないことも示されています。以下のグラフ上段は、観察された暴露が大きい上位25%(赤色)と観察された暴露がまったくない30%(青色)について、縦軸が失業率、横軸が年代で表したもの。両グループの間に隔たりはあるものの、2023年のChatGPTリリース前後では推移に違いがみられません。下段は両グループの失業率の差分を表したもので、やはりChatGPTリリースによる影響はみられないことがわかります。


これに対し、22~25歳の若年労働者が観察された暴露の大きい職種に就く割合はやや低下しつつあり、これはAIが雇用に及ぼす初期影響の兆候を示している可能性があるとのことです。

Anthropicは、「AIによる影響が大きい職種は、そのタスクが理論的に大規模言語モデルで実行可能であり、当社のプラットフォーム上で自動化された業務関連のユースケースが観察される程度に高くなっています。その結果、コンピュータープログラマー・カスタマーサービス担当者・金融アナリストが最もAIへの露出度が高いことがわかりました。アメリカの調査データを用いた結果、AIへの露出度が最も高い職種の労働者の失業率には影響が見られませんでしたが、これらの職種への22~25歳の雇用は若干減速しているという暫定的な証拠がありました」と述べました。

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in AI, Posted by log1h_ik

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