サイエンス

人工知能はいつどの分野で人間を追い抜かしていくのか?


AIの進化によって機械が人間に代わって労働を行うという予測が行われていますが、では具体的に、「人間の労働力に変わる機械はいつ現れるのか?」ということで、科学者の予測が調査されました。それによると、2024年に言語の通訳を行える機械、2027年にトラックの運転を行える機械、2031年には販売員に置き換わる機械、2053年には外科医として働ける機械が登場するとのこと。

[1705.08807v1] When Will AI Exceed Human Performance? Evidence from AI Experts
https://arxiv.org/abs/1705.08807v1

調査の対象となったのは2015年のNIPSICMLといった学術会議でAIに関する発表を行った科学者352人。これら科学者を回答者とし、研究者らは「洗濯物を畳む、言語を通訳するなどの特定のタスクを行う能力」および「トラックドライバーや外科医などの特定の職業」といった事柄に関して、AIが人間を上回るタイミングはいつか?ということ、そして進化したAIが社会に与えるインパクトについて質問を行いました。

まず、この調査においては「機械が人間の手を借りずに全てのタスクを人間の労働者よりもうまく、かつ安価に行えるようになること」が、「High-level machine intelligence(高レベル機械知能/HLMI)」という言葉として定義されました。


HLMIが現れるまでにどのくらいの時間がかかるか?という質問に対する回答者らの回答を集計した結果、今後45年以内に現れる確率は50%ですが、今後9年以内に現れる確率は10%ほどだということが判明。

そして、一部の回答者に対しては「人間の全ての職業が全自動化できるとして、あらゆる職業に関して、人間よりも上手にかつ安価にタスクを行える機械がいつ生まれるのか?」という質問も行ったところ、このような機械が現れるタイミングは個別タスクを行うHLMIが実現されるよりもずっと後になると予想されました。具体的に言うと、122年後までに現る可能性が50%、20年後までに現れる可能性は10%とのこと。


それぞれの職業について、「人間を越えるAIが生まれる可能性」が50%になるタイミングの中央値は以下のとおり。なお、それぞれのグラフの色が濃くなっている部分が回答の幅、黒点が中央値となっています。

縦軸は上から「人間が行う全ての職業の全自動化」「AI研究者」「HLMI」「数学の研究」「外科医」「パトナム数学競争」「ニューヨークタイムズのベストセラーを書く」「販売員」「囲碁」となっており、横軸は左から、2016年時点から12.5年区切りで200年後までを示しています。それぞれの職業でAIが人間に置き換わるタイミングを見てみると、人間が行う全ての職業は122年後、AI研究者を越えるAIが現れるのは90年後ごろ、数学の研究者については43.4年後、外科医が37年後ごろとなっています。


さらに、2016年時点から30年後までを細かく現したグラフがこれ。縦軸は上から「販売員」「囲碁」「二足歩行のロボットと人間とのレース」「トラックドライバー」「上位40位のポップ音楽」「ゲームの中で自分のアクションを説明する」「高校のエッセイを書く」「テキストをスピーチにする」「すべてのアタリゲームをクリアする」「どんなLEGOでも組み立てられる」「テレフォン・バンキングのオペレーター」「アマチュアの翻訳家を越えるレベルの翻訳」「スピーチの筆記」「スタークラフト」「洗濯物を畳む」「ワールドシリーズオブポーカー」「アングリーバード」で、横軸は左から、2016年から2.5年刻みに区切られています。


回答者となった科学者の何人かは、いったんHLMIが実現すれば、AIは急速に進化し人間が行う数多くのタスクを行えるようになると考えていたとのこと。この現象は「知能大爆発」と呼ばれています。HLMIが実現した2年後にAIが人間が行う全タスクをより上手に行えるようになるという可能性の中央値は10%で、HLMIの2年後に世界的なテクノロジーの大躍進が起こる可能性の中央値は20%となっています。

また、HLMIが人類にポジティブな影響を与えるのかネガティブな影響を与えるのかという質問に対しては、「よい結果になる」という確率の中央値が25%、「非常によい結果になる」という確率の中央値が20%で、一方「悪い結果となる」が10%、「非常に悪い結果となる」が5%と、比較的ポジティブな見方がされているようです。ただし、回答者の48%は「AIの潜在的な危険性を最小化させる研究を優先すべき」と考えています。

HLMIが実現される時期については、回答者が研究を行っている地域によっても異なりました。以下のグラフの縦軸はHLMIが実現される可能性、横軸は2016年から100年後までを示しており、赤いグラフがアジアの研究者、緑のグラフがヨーロッパの研究者、青いグラフが北アメリカの研究者、紫のグラフがその他の地域の研究者による回答結果を示しています。HLMIの実現可能性については、アジアの研究者が最もポジティブな見方を示しており、北アメリカの研究者は可能性を低く見ている傾向があるようでした。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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