動画

議論をめちゃくちゃにする「不誠実で悪意のある論者」が取る4つのパターンとは?


人は誰しも「良い議論」ができるものではなく、同じように「悪い議論」しかできないような人もいます。そのため、討論の場は、たとえルールや司会が整っていても、相手を辱めるような醜悪な見せ物へと容易に変質し得ます。ディベートの世界大会で2度優勝しハーバード大学ディベート部のコーチも務めているボー・ソー氏が、「不誠実な論者」の典型を以下のムービーで4つに整理しています。

How dirty debaters win against better opponents | Bo Seo - YouTube


議論は良くも悪くもできる人間の性向に左右され、形式は悪意ある参加者に乗っ取られ得るということがよくあります。ソー氏は「2016年の米大統領選討論が示されたように、形式があるからといって健全な議論が保証されるわけではありません」と述べています。


そこで、ソー氏は「不誠実な論者」の典型を以下の4パターンに分類しました。


1つ目は、論点そのものから巧妙に話題を逸らす「Dodger(逃げる人)」です。例えば「気候変動が深刻化しているので化石燃料依存を減らすべきだ」という主張に対し、「あなたは四輪駆動車に乗っているではないか」と返す類いです。同じ領域に見えても論点には答えていません。対処は一貫して原点に引き戻すことです。相手の話題転換を明示化し、「いまの争点は何か」を繰り返し確定させます。


2つ目は、相手の主張をねじ曲げ、別の立場を押し付ける「Twister(ねじ曲げる人)」です。たとえば、「増税には反対だ」という発言に対し「では社会保障を軽視するのか」とすり替えるのが典型。反論すべきは歪められた主張ではなく、もとの自分の主張です。対処は即時の訂正で、「自分は何を言っていないか」「何を主張しているのか」を明確化し、議論の分裂を防ぎます。


3つ目は、相手の提案には無限にケチをつける一方で自分の代案を決して示さない「Wrangler(口げんかする人)」です。常に「それでは不十分だ」と拒否するだけでは議論は前進しません。対処は立場の提示を要求することで、「あなたは何を信じ、何を支持するのか」を問い、主張責任を対等に負わせます。


4つ目は、単発ではなく複数のウソを連ね、相手の注意力を分散させる「Liar(ウソをつく人)」です。ソー氏は、全てのウソを逐一潰すのは得策ではないとした上で、「plug and replace」という対処方法を薦めています。これは、代表的な1〜2件のウソを選び、事実で置き換えて差異を示し、そのウソが議論全体にどう波及しているかを説明するというもの。明確に問題として扱うことで、ウソそのものを可視化できます。


ソー氏は、「これらの型を知り、対処法を体得することは、討論会場だけでなく日常の人間関係や職場でのいじめ、ハラスメントへの抵抗力にも直結します」と述べています。悪意のある論法は放置すれば増長するため、早い内に繰り返し異議を唱え、望ましい会話の規範を立て直すことが重要。ソー氏は「議論を壊すのも人間なら、立て直すのもまた人間です。私たちは道具と姿勢の両方を備え、議論を本来の目的に戻す責任があります」と主張しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
意見の異なる相手と建設的な議論を進めるための「RISAルール」とは?ディベート世界チャンピオンが議論のコツを解説 - GIGAZINE

クレームや議論に直面したとき相手をヒートアップさせない心理学的なテクニックとは? - GIGAZINE

「ホットドッグはサンドイッチなのか?」という長年の議論がついに決着 - GIGAZINE

「実名必須のインターネット」になれば議論の質が向上するのか? - GIGAZINE

有意義な議論や会話を終わらせて誤った論理や結論に導く「思考終了の決まり文句」とは? - GIGAZINE

in 動画,   メモ, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article What are the four patterns taken by '….