Amazonの極秘インターネット衛星「Kuiper」の詳細が少しだけ明らかに

Amazonが2019年に発表し、2025年4月にようやく最初の量産型衛星を打ち上げたことで本格的に始動した人工衛星インターネット網「Kuiper」の詳細が、少しずつ明らかにされています。
We finally know a little more about Amazon’s super-secret satellites - Ars Technica
https://arstechnica.com/space/2025/05/we-finally-know-a-little-more-about-amazons-super-secret-satellites/
Atlas V Kuiper 1
https://www.ulalaunch.com/missions/next-launch/atlas-v-kuiper-1
2025年4月29日、Kuiper用の人工衛星27基が打ち上げられ、Amazon初の人工衛星インターネット網の実用試験が開始されました。
Launching Amazon’s Project Kuiper: ULA’s rocket transports satellites to LEO pic.twitter.com/SM7hUUSo4q
— ULA (@ulalaunch) May 1, 2025
Amazonはこうした衛星についてあまり多くを明かしていません。打ち上げの際も、Amazonは通常スパイ衛星にのみ許されるレベルの機密保持を要求し、打ち上げを担ったロケット製造業者のユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は打ち上げ数分後にミッションのライブビデオ中継を終了しました。Amazonは人工衛星の写真やイラストをほとんど公開しておらず、これは他の欧米企業の慣例に反するものだとテクノロジー系メディアのArs Technicaは指摘しています。
しかし、衛星の基本的なデザインを確認するには十分な映像は公開されています。ULAが公開した映像からは、Kuiperは台形をしていて、太陽電池アレイを折り畳んで打ち上げられるため、OneWebの衛星によく似ており、SpaceXのFalcon 9ロケットの中で1つずつ積み重ねられるように平らに設計されたStarlinkの人工衛星とは大きく異なることがわかります。
人工衛星インターネット市場ではSpaceXのStarlinkが先陣を切っていますが、Ars TechnicaはSpaceXとKuiperには共通点があると指摘します。Kuiperの責任者であるラジーブ・バディヤル氏は2018年までSpaceXの衛星担当バイスプレジデントを務めていた人物で、Kuiperの正式発表の前年に技術担当バイスプレジデントとしてAmazonに入社しています。このため、設計思想に共通点がある可能性があります。
一方で技術的には異なる点があります。StarlinkとKuiperはレーザー衛星間リンクを使用してインターネット信号をノード間のネットワークに中継するものですが、StarlinkはKuバンドと呼ばれる周波数帯を使用するのに対し、KuiperはKaバンドを使用します。また、Starlinkの人工衛星の方が部品点数が少なく、SpaceXのロケットに最適な大量輸送を実現できる一方、Amazonはよりオーソドックスな設計を採用していて、さまざまなロケットに搭載できる柔軟性を備えているほか、人工衛星を軌道上で早く拡散させることにも向いています。

ULAが発表したもう一つの情報はKuiper衛星の質量を推定するのに役立ちます。Kuiperが打ち上げた27基の衛星は、ULAのアトラスVロケットで打ち上げられた中で最も重い荷物で、ULAによるとアトラスVが軌道に送り込んだ荷物の総量は約15.4トンだったそうです。Ars Technicaは「このことを考えるとKuiper衛星の質量は537~571kgということになります。これは、StarlinkのV2 Mini Optimizedと呼ばれる衛星の推定質量とあまり変わらないものです」と指摘しました。
Amazonは今後数年間でさらに数千基の人工衛星を打ち上げる予定としています。準備が完了すると、第一世代に当たるKuiperの人工衛星群は3232基の構成となり、高度約640km未満を縦横に周回する98の軌道面を構築することになります。
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