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ソフトバンク支援の配車アプリ「Namma Yatri」が手数料ゼロのビジネスモデルで革命を起こす


インドで人気の三輪車タクシー、いわゆる「オートリキシャ」の配車アプリとして2022年にスタートしたNamma Yatriが、インドの配車サービス業界に革命とも言える収益構造の変革をもたらした経緯を、非営利のテクノロジー系メディア・Rest of Worldが取材しました。

Uber and Ola are copying India’s fast-growing ride-hailing app - Rest of World
https://restofworld.org/2025/uber-ola-copy-india-zero-commission-ride-hailing-app/

Bengaluru: Namma Yatri Partners With Kapture CX To Transform Ride-Hailing Experience - News18
https://www.news18.com/auto/bengaluru-namma-yatri-hits-25-market-share-partners-with-kapture-cx-to-transform-ride-hailing-experience-9102872.html

Namma Yatriは、インドの決済スタートアップ、非営利団体、地元のドライバー組合など、複数の草の根団体の協力によって生まれた配車サービスで、アプリはソフトバンクの出資を受けたフィンテック企業のJuspayが、非営利団体のFoundation for Interoperability in Digital Economy(デジタル経済における相互運用性財団)と共同で開発しました。

Namma Yatriのビジネスモデルは、最初にドライバーがプラットフォームに少額のサブスクリプション料金を支払った後は手数料がゼロになり、乗客が支払った運賃の全額をドライバーが受け取ることができるゼロコミッションモデルです。

by Angus

サブスクリプション料金は地域によって異なりますが、ほとんどの州では「1日25ルピー(約43円)を支払えば使い放題」か、または「最初の10回まで1回当たり3.5ルピー(約6円)を支払えばその後は無料」というプランが適用されています。

2022年にベンガルールでNamma Yatriのサービスが始まると、UberやOlaといった配車アプリが課す高額な手数料に悩まされていたドライバーたちの間で一気に広がり、毎月100%という驚異的な成長を遂げて、1年にも満たないうちにベンガルールのオートリキシャ配車市場の25%を占めるまでに成長しました。


ベンガルールのドライバーが組織するオートリキシャ運転手組合(ARDU)のT・M・ルドラムルティ組合長は、Rest of Worldに「これこそ自分たちのアプリだと感じましたし、お客様も気に入って、他のお客様に広めてくれました」と話しました。

Namma Yatriの成功を受けて、競合サービスもビジネスモデルの見直しを余儀なくされており、記事作成時点ではOlaやRapido、そしてUberといった競合他社もNamma Yatriと同様のサブスクリプションプランを採用しているとのこと。

by Adam Cohn

ただし、競合サービスが同じ料金プランを導入し始めたことや、ほとんどのドライバーが元から複数のアプリを使っていることなどにより、Namma Yatriは差別化に苦労しており、Rest of Worldが取材した10人近くのドライバーたちのほとんどは、Namma Yatriと他の配車アプリとの違いをあまり実感していないと話しました。

また、オープンソースの取り組みが競争力を制限していることもあり、収益の改善という課題もあります。調査会社・Tracxnの調べによると、データが入手可能な2023年11月から2024年3月までの期間のNamma Yatriの収益は2億2000万ルピー(約3億8280万)だったのに対し、純損失は3億3000万ルピー(約5億7410万円)だったとのことです。

ドライバーからの支持の低下や競争の激化といった逆風に直面しつつも、Namma Yatriは海外展開や、男性中心の職業であるオートリキシャドライバーとして積極的に女性を採用するプログラムの開始など、新しいビジネスチャンスに目を向けています。

by Milaap.org

ベンガルールでシングルマザーのドライバーとして活躍しているプシュパラタさんは、他の女性への運転指導で毎月3万ルピー(約5万2000円)を稼ぐ傍らで、運転代行で毎日500ルピー(約870円)の収入を得ているとのこと。

プシュパラタさんはRest of Worldに、「夫を亡くした後、家事手伝いなど色々な仕事を試しましたが、私には運転の方が性に合っているようです」と話しました。

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in ネットサービス,   乗り物, Posted by log1l_ks

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