EUがアメリカと中国に追いつくため最先端のAIチップ約10万個を備えた「AIギガファクトリー」建設へ

複雑なAIモデルを前例のない規模で訓練・開発するという目的で、最先端のAIチップ約10万個を備えた「AIギガファクトリー」がヨーロッパに建設されることになりました。欧州委員会幹部は「AIにおける主導権争いはまだ終わっていない」とコメントしています。
Commission sets course for Europe's AI leadership with an ambitious AI Continent Action Plan
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_25_1013

AI continent - European Commission
https://commission.europa.eu/topics/eu-competitiveness/ai-continent_en
EU to build AI gigafactories in €20bn push to catch up with US and China | Artificial intelligence (AI) | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2025/apr/09/eu-to-build-ai-gigafactories-20bn-push-catch-up-us-china
2025年4月9日、EUは「AI大陸行動計画」を発表し、AI分野における世界的なリーダーとなることを目指すと宣言しました。
EUは、高度なAIモデルには投資、インフラ、協力が必要だとして、欧州の各企業が集結して以下の目的を遂行すると伝えています。
・欧州全域に少なくとも13のAI工場を設立する。これらの工場はスタートアップ企業や研究者が最先端のAIモデルを開発することを支援する。
・大規模な計算能力とデータセンターを備えたAIギガファクトリーを最大5つ設立する。これにより複雑なAIモデルをかつてない規模でトレーニングできるようになる。AIに2000億ユーロ(約32兆円)を投資するInvestAIイニシアチブから、200億ユーロ(約3兆2000億円)を拠出する。
・クラウドとデータセンターへの民間投資を促進するクラウド・AI開発法を提案する。目標は、持続可能なデータセンターの開発を優先し、今後5~7年以内にEUのデータセンター容量を少なくとも3倍にすることである。

このほか、EU企業のうちAIを活用しているのはわずか13.5%に過ぎないという現状にテコ入れを図るべく、AIの利用を促進する「AI活用戦略」も開始されます。これに伴い、AIのスキルがあるEU域外労働者を移民として受け入れるルートを開放したり、AI研究者を誘致したり、AI教育を行うプログラムを立ち上げたりするなど、人材の強化も実施される予定です。
欧州委員会のヘンナ・ビルクネン副委員長は「AIにおける主導権争いはまだ終わっていない」と述べ、AI開発をリードするアメリカや中国に追いつこうとする姿勢を見せました。

2025年時点で、AI分野ではアメリカが中国を大きく引き離し、圧倒的なリードを保っています。スタンフォード大学が発表した報告書によると、2024年にはアメリカの機関によって40個の「注目すべきAIモデル」が開発されていて、中国は15個ですが論文発表数と特許数でリードしています。一方の欧州では開発されたAIモデルはわずか3個(すべてフランス製)に過ぎず、EUの遅れが目立ちます。
EUは技術投資や人材育成に加え、法整備も行う予定です。今後、2025年6月4日までに、AI大陸行動計画の取り組みをさらに具体化するための2つの公開協議を開始するとのことです。
・関連記事
学生に対して「AIを禁止」するのではなく「AIスキルと批判的思考を鍛える」ためエストニア政府がOpenAIやAnthropicと提携してプロジェクト「AI Leap」をスタート - GIGAZINE
アメリカのヴァンス副大統領がヨーロッパに「AIに対する過度の規制は産業をつぶす可能性がある」と警告 - GIGAZINE
「許容できないリスク」を伴うAIシステムがEUで禁止される - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in ソフトウェア, Posted by log1p_kr
You can read the machine translated English article EU to build 'AI Gigafactory' equipped wi….