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「AI開発競争でアメリカはもはや中国に追い抜かれつつある」とGoogle元CEOらが警告


Googleの元CEOであるエリック・シュミット氏が委員長を務める「人工知能に関する国家安全保障委員会(NSCAI)」が、AIにおけるアメリカの優位性を確保するためのロードマップを推奨する包括的な最終報告書を発表しました。NSCAIはこの報告書で、アメリカにおけるAI開発や政府組織のAI対応が遅れていると指摘しています。

2021 Final Report | NSCAI
https://www.nscai.gov/2021-final-report/


U.S. Unprepared for AI Competition with China, Commission Finds - Nextgov
https://www.nextgov.com/emerging-tech/2021/03/us-unprepared-ai-competition-china-commission-finds/172377/


Eric Schmidt's National Security Commission on AI issues China warning
https://www.cnbc.com/2021/03/02/us-not-prepared-to-defend-or-compete-in-ai-era-says-eric-schmidt-group.html


NSCAIは、Googleの共同創設者で元CEOのエリック・シュミット氏、Amazonの次期CEOであるアンディ・ジャシー氏、オラクルのCEOを務めるサフラ・キャッツ氏、Microsoftの最高科学責任者であるエリック・ホルヴィッツ氏、Google Cloud AIのCEOを務めるアンドリュー・ムーア氏など、15人の専門家で構成される組織です。2019年度(PDFファイル)国防授権法がアメリカで成立してから、NSCAIはおよそ2年にわたってAIや機械学習および関連技術の進歩を検討し続けてきました。

Two years and many thousands of hours later: the final National Commission on Artificial Intelligence report is here: Please read for where we are and what we need to do. I am so proud of the team and of this work! https://t.co/NW7UlPHvv3

— Eric Schmidt (@ericschmidt)


NSCAIはジョー・バイデン大統領に対して、「AIの研究開発費を2倍以上にし、2026年までに年間320億ドル(約3兆4200億円)に増額すること」「より広範なAIポリシーを管理する新しい組織を設立」「才能あるAI専門家の移住制限緩和」「公務員のデジタルスキル訓練を目的とした教育機関の設立」「アメリカ情報機関における新技術の積極的な採用」を提言しました。


また、NSCAIは報告書の中で「アメリカの技術優位性が今後10年以内に失われる可能性がある」と指摘し、「AIによって制御される自律型兵器を禁止するように全世界に呼びかけるのはやめるべき」「条約を締結しても、中国とロシアが順守する可能性は低い」と主張しました。

中国は2030年までにAI技術関連のトップに立つことを目指していると報じられています。シュミット氏は「今はアメリカが先行しているとしても、やがて中国が追いついてくることを私は懸念しています」「AI技術の開発に大規模な投資を行っている中国とのAI技術開発競争がますます激化します」と主張しています。

自律兵器へのAI活用については、テスラのイーロン・マスクCEOやDeepMindの共同創設者であるデミス・ハサビス氏、Twitterのジャック・ドーシーCEOなど、2500人以上の専門家や実業家が「AIを応用した自律的殺傷兵器の開発を行うべきではない」という誓約書に署名をしたことが報じられました。

「自律的殺人兵器」へのAI活用を禁じる誓約書にイーロン・マスクやDeepMind創業者、著名なAI研究者など2500人以上が署名 - GIGAZINE


シュミット氏の提言は、「AIを利用した自律兵器の開発を禁じるべき」という流れに逆らうものです。シドニー大学でAIを研究するトビー・ウォルシュ教授は海外ニュースメディアのCNBCに対して「危機はより近く、深刻なものになっています。自律兵器は規制されなければなりません」とコメントしました。

ドイツのAI研究者であるサミム・ワーグナー氏は「AI兵器の採用は残忍な狂気であることは誰でも分かることですが、アメリカ政府や中国政府のシンクタンクはAI兵器の開発を『進歩であり、必要なこと』だと主張し続けています。人類はAIの平和利用について真に議論すべきですが、国防総省の工作員やエリック・シュミット氏のような億万長者は全くそんなことを考えていません」と批判しています。

一方で、NSCAIは顔認識技術については慎重な姿勢をみせています。NSCAIの一員であるムーア氏は「中国政府による監視技術の実験について懸念しています。アメリカの企業が顔認識ソフトウェアの技術開発に慎重さを見せていることは喜ばしいことだと思います」と述べています。


さらに、NSCAIはコンピューターチップの自給率を上げる必要性を訴え、台湾の半導体ファウンドリであるTSMCに依存する危険性について警告しています。シュミット氏は「マイクロエレクトロニクスはすべてのAIにとって必要ですが、世界で最も洗練されたチップはもはやアメリカで製造されていません。アメリカは半導体サプライチェーンの回復力とセキュリティの意味を再評価する必要があります」と述べました。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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