メモ

「2600億円超の仮想通貨がイランに送金された」と報告した従業員をBinanceが解雇


大手仮想通貨取引所のBinanceの従業員が、テロ組織と関連するイランの団体に対し、Binance上で約17億ドル(約2650億円)もの仮想通貨が送金されていることを発見しました。従業員がこの件について報告した後、Binanceは調査に関わった少なくとも4人の従業員を解雇または停職処分にしたと、大手日刊紙のニューヨーク・タイムズなどが報じています。

Binance Employees Find $1.7 Billion in Crypto Was Sent to Iranian Entities
https://www.nytimes.com/2026/02/23/technology/binance-employees-iran-firings.html

Crypto exchange Binance may have funded Iranian entities, reports say | Binance | The Guardian
https://www.theguardian.com/business/2026/feb/23/binance-iran-fund-billions

2017年に設立されたBinanceは、ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨の取引所として急成長を遂げました。しかし、Binanceはマネーロンダリングの場としても魅力的だったため、犯罪者がBinanceを経由して不正な資金を移動させることが相次ぎました。その結果、2023年には規制当局が相次いでBinanceを訴追し、総額43億ドル(約6700億円)の罰金を支払うことになりました。Binanceの創業者兼CEOだったチャンポン・ジャオ氏も、CEOを辞任した後の2024年に拘禁4カ月の実刑判決を受けています。

Binanceのチャンポン・ジャオ元CEOに禁錮4カ月の実刑判決が下される - GIGAZINE


一連の騒動の後、Binanceは違法取引に対する安全対策を強化しており、コンプライアンスチームを編成して仮想通貨犯罪の捜査経験がある元法執行関係者や、仮想通貨取引の追跡経験を持つ専門家などを雇用しました。これらの専門家は公開情報やその他のデジタル捜査ツールを駆使して、仮想通貨ウォレットの持ち主を特定し、世界中の法執行機関と協力しているとのこと。

ニューヨーク・タイムズが閲覧したBinanceの社内記録やその他の関連文書によると、2025年半ばにイスラエルの法執行機関からBinanceのコンプライアンスチームに対し、イランと関連するテロ組織の資金調達ルートについて協議したいとの連絡があったそうです。これを受けてBinanceのチームは、記事作成時点では解散している香港のHexa Whale Trading Limitedという会社を中心に調査を開始しました。


その結果、Hexa Whale Trading LimitedがBinanceを利用して、イランの団体に関連するウォレットへ4億9000万ドル(約760億円)を送金していることを突き止めました。ある時点でイスラエルの当局者らは、Hexa Whale Trading Limitedがイランによる支援を受けているテロ組織に資金提供していると告げたそうです。

また、イランのある人物がBinance上の1500件以上のアカウントにアクセスしており、総額17億ドルもの仮想通貨がテロ組織とつながりがあるイランの団体に流入していることも判明。他にも経済制裁を逃れているとみられるロシアの貨物船団が、乗組員への給与支払いにBinanceのアカウントを利用していることも確認されています。


Binanceの内部調査員らは一連の取引について経営幹部に報告しました。ところが、内部文書や事情を知る3人の関係者によると、Binanceは報告から数週間のうちに調査に関わった少なくとも4人の従業員を解雇または停職処分にしたとのこと。さらに、ここ数カ月でBinanceの制裁担当マネージャーやコンプライアンスチームのリーダーを含む6人以上のコンプライアンス担当者がBinanceを去っており、最高コンプライアンス責任者であるノア・パールマン氏も退職を検討しているとニューヨーク・タイムズは伝えています。

Binanceの最高マーケティング責任者であるレイチェル・コンラン氏はニューヨーク・タイムズへの声明で、従業員が指摘した取引に対処するためにBinanceは措置を講じたと主張。イランとの17億ドル相当の取引に関連するアカウントを削除し、当局に通知したとのことで、コンラン氏は「Binanceが制裁対象となる行為を故意に、監視なしに放置していたとするいかなる示唆も誤りであり、Binanceへの中傷です」と述べました。

また、コンラン氏はイラン関連の取引を調査した従業員が解雇・停職処分にされた件について、コンプライアンスに関する懸念を引き起こしたことが理由ではないと指摘。従業員らは「機密となっている顧客情報の不正開示」に関連して懲戒処分を受けたと説明しています。

しかしニューヨーク・タイムズは、イラン関連の取引について報告して間もなく懲戒処分が下されたという事実が、調査結果と処分が関連しているのではないかという疑問を提起すると述べています。なお、Binanceの内部調査員らはコメント要請に応じませんでした。


Binanceの内部調査では、Binanceの法定通貨パートナーとして運営されていた香港のBlessed Trustという企業のアカウントから、過去2年間で12億ドル(約1870億円)の仮想通貨がイラン関連組織に流れていたことも明らかになりました。調査員らは、Blessed Trustから仮想通貨を受け取っていたイラン関連組織と、アメリカEUがテロ組織に指定しているイスラム革命防衛隊が管理するウォレットとの関連性を見つけたとのこと。

この件についてコンラン氏は、Blessed Trustとイスラム革命防衛隊のものとされるウォレットの間には、複数の中間ウォレットによる3次以上の隔たりがあると指摘。また、Blessed TrustはBinanceの管理下にはないベンダーであり、2026年1月にBinanceはBlessed Trustをベンダーから外したと説明し、2月25日にはBlessed Trustに関する報告書を司法省に提出する予定だとしています。

なお、アメリカのドナルド・トランプ大統領は2025年10月、実刑判決を受けたジャオ氏に恩赦を与えています。この件についてニューヨーク・タイムズは、Binanceはトランプ大統領の一族が経営する仮想通貨関連ベンチャーのWorld Liberty Financialと、緊密なビジネス関係を築いていると指摘しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Binanceのチャンポン・ジャオ元CEOに禁錮4カ月の実刑判決が下される - GIGAZINE

トランプ大統領が有罪判決を受けていた仮想通貨取引所・Binanceの創業者に「完全かつ無条件の恩赦」を与えると決定 - GIGAZINE

仮想通貨取引所Binanceの創設者チャンポン・ジャオ氏がトランプ大統領に恩赦を求める、ただしトランプ大統領保有の仮想通貨ベンチャーとの取引は否定 - GIGAZINE

PayPayマネーでの仮想通貨購入などを実現するべくPayPayがBinance Japanと資本業務提携 - GIGAZINE

仮想通貨取引所「Binance」のコンプライアンス責任者がナイジェリアでの逮捕直前に政府関係者から約1億5000万ドルの賄賂を要求されていたことが明らかに - GIGAZINE

仮想通貨取引所Binanceのチャンポン・ジャオCEOがマネーロンダリングを認め辞任、罰金総額は6300億円超に - GIGAZINE

司法省がBinanceに5900億円超の支払いを要求、仮想通貨取引所に対する史上最大規模の調査がついに終結か - GIGAZINE

仮想通貨取引所「Binance」を詐欺罪で起訴することをアメリカ司法省が検討中、取り付け騒ぎを懸念する慎重論も - GIGAZINE

世界最大の仮想通貨取引所「Binance」は不透明な運営を続けており財務情報や本拠地をひた隠しにしてきたことがロイターの分析で明らかに - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article Binance fires employee who reported over….