仮想通貨取引所Binanceのチャンポン・ジャオCEOがマネーロンダリングを認め辞任、罰金総額は6300億円超に

大手仮想通貨取引所・Binanceが、マネーロンダリング対策を怠った銀行秘密法違反を認めて、合計43億ドル(約6300億円)の罰金を支払うことに合意しました。同様に罪に問われていたCEOのチャンポン・ジャオ(趙長鵬)氏も有罪を認め、CEOを辞任しました。

Office of Public Affairs | Binance and CEO Plead Guilty to Federal Charges in $4B Resolution | United States Department of Justice
https://www.justice.gov/opa/pr/binance-and-ceo-plead-guilty-federal-charges-4b-resolution

Binance Announcement: Reaching Resolution With U.S. Regulators | Binance Blog
https://www.binance.com/en/blog/leadership/binance-announcement-reaching-resolution-with-us-regulators-2904832835382364558

Binanceは2017年設立の仮想通貨取引所で、多くのアメリカ人ユーザーを獲得したこともあって、すぐに世界最大規模に成長しました。

アメリカ人を対象にサービスを提供する金融サービス事業者は、財務省の金融犯罪捜査部(FinCEN)への登録や、マネーロンダリング防止対策(AML)の実装が求められますが、裁判所文書によればBinanceはこれを無視。また、取引照合用システムが経済制裁措置を定めた法律である国際緊急経済権限法(IEEPA)に違反する取引を行うと認識していたにも関わらず、アメリカの顧客が経済制裁対象地域の顧客と取引するのを妨げる仕組みを導入しなかったとのこと。こうした行為は銀行秘密法違反にあたります。

さらに、アメリカの法律を順守する代わりにBinanceからアメリカのユーザーをブロックし、アメリカ向けの取引所・Binance.USを設立しました。ところが、実際にはVIP顧客はBinanceへの接続が維持され、ジャオCEOらはVIP顧客がオフショア法人の口座を新設して資産を移管できるように支援したそうです。

司法省は数年がかりで調査を行い、アラブ首長国連邦(UAE)在住のジャオCEOを刑事告訴するか、あるいは調査内容の解決金として40億ドル以上(5900億円以上)の支払いを求めていました。

司法省がBinanceに5900億円超の支払いを要求、仮想通貨取引所に対する史上最大規模の調査がついに終結か - GIGAZINE

最終的に、BinanceとジャオCEOは有罪を認めました。

ジャオ氏はCEOを辞任し、Binanceは25億1065万588ドル(約3720億円)の没収と18億547万5575ドル(約2680億円)の刑事罰金、合計43億1612万6163ドル(約6400億円)を支払います。また、独立したコンプライアンス監視を3年間行い、マネーロンダリング対策および制裁コンプライアンスプログラムを改善、強化することに合意しました。Binanceはアメリカ商品先物取引委員会やFinCEN、財務省外国資産管理室とも問題解決で合意しており、司法省はこの決議に対して18億ドル(約2670億円)を拠出します。

なお、Binanceは適時かつ自発的に不正行為を開示しなかったものの、調査への協力やコンプライアンスプログラム改善措置などで一定の信用を得ており、罰金は量刑ガイドラインで定められた下限から20％減額されています。それでも、仮想通貨をめぐっての罰金としては最高額クラスだそうです。

Binanceもこの決定を受けてニュースリリースを発表し、成長過程で誤った決定を下してしまったものの、過去の責任を負いつつ生まれ変わったことを表明しています。ジャオ氏の後任のCEOには、地域市場のグローバル責任者だったリチャード・テン氏が就任します。

ジャオ氏は「私は間違いを犯したので、責任を取らなければいけません。これはコミュニティにとっても、Binanceにとっても、私自身にとっても最善の選択です」と述べました。なお、この6年半のあいだジャオ氏はまったく休暇を取らなかったとのことで、今後はブロックチェーン、Web3、DeFi、AI、バイオテクノロジー分野の投資家になるという予定を記しています。