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仮想通貨取引所「Binance」を詐欺罪で起訴することをアメリカ司法省が検討中、取り付け騒ぎを懸念する慎重論も


仮想通貨取引所「Binance」が、未登録の取引所を運営したり取引を操作したりして消費者を欺いたとして、アメリカ司法省がBinanceを詐欺罪で摘発することを検討していると、ニュースサイトのSemaforが報じました。1日の取引量が世界最大の仮想通貨取引所が起訴されれば、2022年11月に破産したFTXのような取り付け騒ぎが発生し無関係な消費者が被害を受けることが予想されるため、当局は起訴以外の方法を含め影響を最小限にする対応方法を模索しています。

U.S. prosecutors worry Binance charges could cause run on exchange | Semafor
https://www.semafor.com/article/08/02/2023/us-prosecutors-worry-binance-charges-could-cause-run-on-exchange

Crypto Is Illegal in China. Binance Does $90 Billion of Business There Anyway. - WSJ
https://www.wsj.com/articles/crypto-is-illegal-in-china-binance-does-90-billion-of-business-there-anyway-2a0af975

Binanceとその創業者であるチャンポン・ジャオ氏は、2023年3月にアメリカの商品先物取引委員会から訴えられているほか、6月には未登録の仮想通貨を売ったとして証券取引委員会(SEC)からも起訴されました。これを受けて、7月に入りBinanceの上級幹部が複数辞任したことが明らかになっています。

規制当局からの訴訟に直面している仮想通貨取引所のBinanceで上級幹部が複数辞任したことが報じられる - GIGAZINE


規制当局が相次いでBinanceを告発している一方、司法当局はBinanceを脱税や制裁違反などの疑いで捜査するにとどめており、目立った動きを見せていません。Semaforによると、SECは司法省と歩調を合わせて民事と刑事の両面から同時に訴追を行うことが多いため、SECが連邦検察に先んじて民事訴訟を起こすのは、特に注目度の高い今回のようなケースでは異例とのこと。

司法省がBinanceへの刑事訴追に二の足を踏んでいるのは、無関係な消費者や投資家に対する影響を吟味しているからだといわれています。そもそも、グレーゾーンの仮想通貨取引所であるBinanceはアメリカ国内からのアクセスがすでに遮断されているため、利用するにはVPNを使って規制を回避しなければなりません。


そのため、「Binanceの起訴で被害を受けるような人々は、元からそのリスクを承知しているはずだ」という見解もありますが、一方でVPNでBinanceを利用したからといってBinanceの悪事に加担しているわけではないとの見方もあります。特に、仮想通貨はもはや金融システムの主流と位置づけられており、その中でも最大級の取引所で取り付け騒ぎが起きれば、パニックが仮想通貨市場全体に波及するリスクもあります。

Binanceの起訴を見送っても、必然的な崩壊を遅らせるだけであり、甘い顔を見せれば事態をさらに悪化させかねないとの指摘もあり、具体的な対応を巡っては司法当局の中でも意見が割れています。

仮想通貨取引所「Binance」とその幹部をマネーロンダリングと制裁違反で起訴することでアメリカの検察が分裂中、司法取引の可能性について話し合っている最中 - GIGAZINE


Semaforに情報を提供した関係者によると、検察は罰金や起訴猶予、あるいは合意による不起訴など起訴以外の選択肢も視野に入れて検討しているとのこと。司法当局がどのような対応に踏み切るかは記事作成時点では不明ですが、Semaforは「消費者への被害を抑えつつ犯罪行為の疑いについてBinanceに責任を取らせるという、妥協案に落ち着くでしょう」とコメントしています。

Binanceが違法な取引をしていると疑われているのは、アメリカだけではありません。The Wall Street Journalは2023年8月2日に、Binanceが仮想通貨の取引が違法なはずの中国で、月に900億ドル(約13兆円)規模の仮想通貨関連資産を取引していることが内部資料から判明したと報じました。

以下は、Binanceの国別の取引を現物(Spot)と先物(Futures)に分けてグラフ化したもので、中国での取引量が2位の韓国に大差をつけて1位になっていることがわかります。


The Wall Street Journalは、「中国はBinance最大の市場であり、一部の超大口トレーダーによる取引を除けば、全世界の取引高の20%を占めています」と述べました。

一方、Binanceの広報担当者はThe Wall Street Journalの取材に対し、「Binance.comは中国ではブロックされており、中国を拠点とするユーザーはアクセスできません」と述べて、中国で秘密裏に取引を行っていることを否定しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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