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YouTubeやX(旧Twitter)などの言論の自由を守ってきた「通信品位法第230条」を廃止する超党派の法案が提出されるとの報道


SNSなどで、ユーザーが生成したコンテンツに関するプロバイダーの法的責任を免責する「通信品位法第230条」の失効を目的とした法案が、アメリカ議会に提出される見通しだということが判明しました。この法案の可決により通信品位法第230条が廃止された場合、YouTubeやFacebook、イーロン・マスク氏が所有するX(旧Twitter)などのインターネット企業が保護を失い、民主主義の基盤となっているオンラインの言論や表現の自由が脅かされることが危惧されています。

Section 230 May Finally Get Changed as Lawmakers Prep New Bill — The Information
https://www.theinformation.com/articles/exclusive-section-230-may-finally-get-changed-lawmakers-prep-new-bill

Lawmakers are trying to repeal Section 230 again | The Verge
https://www.theverge.com/news/634189/section-230-repeal-graham-durbin


Congress Wants to Kill Section 230: Why That Law Is Important for Businesses
https://www.inc.com/chris-morris/congress-wants-to-kill-section-230-why-that-law-is-important-businesses/91165122

海外メディアのThe Informationは2025年3月21日に、法案の進展に詳しい議会関係者の話として、「早ければ3月下旬にも、通信品位法第230条(以降、第230条)の失効を2027年1月1日とする法案が、民主党のディック・ダービン上院議員と共和党のリンゼー・グラム上院議員によって議会に提出される予定です」と報じました。


1996年に制定された第230条は、SNSの投稿や動画サイトのコンテンツなど、プラットフォーム上でユーザーが発信したコンテンツに対するプロバイダの責任の免責を定めた条項です。この規定により、インターネット上の言論の自由が保護されてきたことから、第230条は条文の単語数にちなんで「インターネットを作った26の言葉」とも呼ばれています。

その一方で、第230条の反対派は、インターネット企業の裁量を大きく認めるこの法律により暴言や嫌がらせなどの違法コンテンツが野放しになったり、逆に違法ではないコンテンツが独断的に削除されたりしていると批判しています。


法案を提出した議員らは、第230条を完全に撤廃してテクノロジー業界に壊滅的な打撃を与えるつもりではなく、インターネット企業に差し迫った廃止日を突きつけることで、現代に即した新しい規制に真剣に取り組むよう圧力をかけるのが目的だとしています。

ある議会補佐官はThe Informationに「法案には、インターネット企業を交渉のテーブルに着かせる狙いがあります。もし彼らが交渉のテーブルに着かず、意味のある改革が合意に至らなければ、第230条は最終的に廃止されることになるでしょう」と述べました。

トランプ大統領はかねてから第230条を廃止する意向で、第1次政権下の2020年には、当時TwitterだったXへのトランプ大統領の投稿に「誤解を招く可能性がある」とのラベルが付けられたことを契機に、第230条の見直しを指示する大統領令に署名しています。

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もし第230条が廃止された場合、あらゆるテクノロジー企業が、インターネットユーザーによって生成されたあらゆるコンテンツに対する民事訴訟の対象になる可能性があります。その結果、無益な訴訟が乱立して多大な経済的損失が発生することが懸念されるほか、企業体力に乏しい小規模な事業者はユーザーの投稿を禁止せざるを得なくなり、大企業がさらに肥大化することも予想されます。

中道左派のテクノロジー系ロビー団体・Chamber of Progressの創設者であるアダム・コバチェビッチ氏は「ほとんどの議員は、第230条の撤廃はテクノロジー企業への罰だと考えています。しかし現実には、第230条がなければインターネットはディズニーランドのようにあらゆるものが事前に審査されなければならない消毒済みの世界になるか、もしくは責任が放棄されて何も審査されない4chanのようになるかのどちらかでしょう。いずれにせよ、どちらもあまりいい結果ではないと思います」と述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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