サイエンス

蚊が好む花を除去することでマラリア感染を弱められるのではないかとの指摘


蚊媒介感染症に苦しむ地域では、病気を治す方法に注力すると同時に、蚊そのものを減らすというアプローチが行われています。蚊が動物の血以外にも花の蜜を主食としていることに目を付けた研究者らが、蚊が好む花を減らすという方法について調査しています。

Identifying mosquito plant hosts from ingested nectar secondary metabolites | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-025-88933-1


Research taps into sugary secrets of plant nectar to bite back against mosquito-spread disease
https://phys.org/news/2025-02-sugary-secrets-nectar-mosquito-disease.html

ロンドンに開園しているキュー王立植物園のフィル・スティーブンソン氏らは、蚊が好む植物を特定し制限することでマラリアなどの感染症を減らす、新しい植物宿主同定法を発表しました。


いくつかの研究では、蚊が好むという植物を1種除去すると、病気を媒介する蚊の密度が69.4%減少したことが示されているほか、砂糖の供給源が少ない砂漠で糖分が含まれる疑似餌を散布することで蚊を集中的に駆除できることがわかっています。

このように、蚊は動物の血だけでなく植物から得られる糖分も必要とするため、植物を減らすという手段は効果的に蚊を減らす可能性があります。


この手段を強化すべくスティーブンソン氏らが研究しているのが植物宿主同定法です。これは、植物の知識を用いて蚊が好む植物とその分布を正確に特定する手法で、特定の植物だけを効果的に除去することにつながります。

スティーブンソン氏らは、蚊が好むことで知られている植物のランタナ、トウゴマ、キバナキョウチクトウの3種を用い、それぞれの蜜の化学的性質を分析。さらに特定の蚊の体内から食物の代謝物を同定し、それぞれの蜜に存在する固有の二次代謝産物が含まれていることを確認しました。

この「二次代謝産物を検出する」という手法により、これまで特定が困難だった「蚊がどの花の蜜を食べているのか」という情報が簡単に確認できるようになるとのことです。


スティーブンソン氏は、「この研究で、蚊が好む花を咲かせる植物を特定する方法を開発しました。特定した植物を人々の家の近くから取り除くことで、蚊の数を減らし、蚊が媒介する病気の感染を減らすことができるのです」と話しました。

世界保健機関によると、マラリアは世界で年間60万人の死者を出しているとのこと。蚊の個体数を減少させる新しいアプローチが必要とされる中、蚊の生息地の植物を変えることが成功の鍵かもしれないと期待されています。

スティーブンソン氏はまた、「マラリアだけでなく、デング熱、ジカウイルス、西ナイルウイルスなど、蚊が媒介する他の重要な病気の感染動態を理解するためにも、今回の研究が利用できると考えています」と付け加えました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article Pointed out that malaria infections coul….