生き物

研究者がボルバキアに感染させた蚊がデング熱を大幅に減らしている


デング熱感染を防ぐため、非営利団体「ワールド・モスキート・プログラム(WMP)」の研究者らは蚊に「ボルバキア」という細菌を感染させて世に放っています。この取り組みの結果が報告され、一部地域ではデング熱が97%減少したことが明らかになりました。

Dengue rates plunged after release of lab-altered mosquitoes – DW – 10/31/2023
https://www.dw.com/en/dengue-rates-plummeted-in-colombia-after-lab-infected-mosquito-release/a-67268943

ボルバキアに感染したオスの蚊は、非感染メスと交配した際に子孫を残すことができなくなる場合があります。WMPは、デング熱、ジカウイルス、黄熱病など、生命を脅かす媒介感染症のまん延を食い止めるため、これらの感染症が多発している地域へボルバキアに感染した蚊を数百万匹散布しています。

感染した蚊は2015年にコロンビアの都市ベロで試験的に放たれた後、研究者たちは近隣の都市メデジンとイタグアに活動を拡大。2022年4月までに、ベロとイタグイでは蚊の約80%が交配によってボルバキアに感染し、メデジンでは約60%が感染したと報告されました。


この感染率が実際にデング熱の発症に影響を与えたかどうかを調べるため、研究者らは2022年7月までに報告された症例数を確認しました。その結果、実験開始の10年前と比較して、各都市でデング熱が最大97%減少したことがわかりました。

コロンビアでの取り組みは世界最大規模で、同様の実験は世界各地で行われています。例えばインドネシアでは、実験によってデング熱の患者が77%減少したことが判明しているそうです。


ブラジルのベルンハルト・ノヒト熱帯医学研究所に勤める生物学者ラファエル・マシエル・デ・フレイタス氏は「一度ボルバキア感染蚊を原生の蚊の個体群に導入すれば、その蚊はそこにとどまり、感染が拡大します。しかし、デング熱を媒介する蚊がボルバキアに適応してしまう可能性が高いことを考えると、この取り組みが永遠に機能するとは限らないという懸念があります」と指摘しています。

報告が行われた時点では、コロンビアやその他の地域で検出されたデング熱の減少が、ボルバキアに感染した蚊のみに起因するものなのかどうかはまだ不明。WMPは今後10年間で事業を拡大するとしており、2023年初めには、年間約50億匹の蚊にボルバキアを感染させる工場をブラジルに建設する計画を発表しました。

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in 生き物, Posted by log1p_kr

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