HumaneがAi Pinを廃止し事業をHPに売却、2025年2月末でオンライン機能が停止しデータも全消滅

by Ged Carroll

アメリカのスタートアップ・Humaneが2025年2月18日に、OpenAIのAIを搭載したウェアラブルデバイス「Ai Pin」の販売とサービスの提供を打ち切り、事業をHPに売却することを発表しました。

HP Accelerates AI Software Investments to Transform the Future of Work | Humane
https://humane.com/media/humane-hp

Humane is shutting down the AI Pin and selling its remnants to HP | The Verge
https://www.theverge.com/news/614883/humane-ai-hp-acquisition-pin-shutdown

HumaneのAi Pinは、手のひらに映像を投影するデモンストレーションで話題となったスクリーンレスのウェアラブル端末で、スマートフォンに代わる次世代のAIデバイスとして大々的に発表されました。しかし、2024年4月に発売されると、バッテリー寿命や発熱問題で酷評や返品が殺到し、発売からわずか1カ月あまりで身売りを検討していることが報じられていました。

ウェアラブルAIデバイス「Ai Pin」不振でHumaneが身売り先を探しているとの報道 - GIGAZINE

当時、10億ドル(約1520億円)での事業売却を目指していたHumaneですが、2025年2月18日のプレスリリースで株式の大半をHPに1億1600万ドル(約176億円)で売却することを発表しました。

Humaneのサポートドキュメントによると、既に購入済みのAi Pinは2月28日12時(太平洋標準時)まで通常通り機能するとのこと。サービス終了後も、バッテリー残量の確認などのオフライン機能は引き続き使えますが、Ai PinがHumaneのサーバーと接続しなくなるため、通話やメッセージの送受信、AI機能、クラウド機能など主要な機能の大半が使えなくなります。

また、Humane Centerに保存されていたデータもすべて削除されるため、Ai Pinのユーザーは2月28日までにWi-Fi経由でデバイスを同期し、保存されている写真、動画、メモをダウンロードしておく必要があります。

3月以降、Ai PinはHumaneを通じた通信機能を喪失し、下取りプログラムや交換プログラム、ユーザーサポートも提供されないことから、Humaneは「電子廃棄物リサイクルプログラムを通じてAi Pinをリサイクルすることをお勧めします」と述べました。

HPへの売却は2月いっぱいで完了する予定で、これによりHumaneの独自OSであるCosmOSはHPに買収され、技術スタッフはHPに再雇用されます。また、HPは特許を含むHumaneの知的財産300件以上を取得する見通しとのことです。

Humaneは消費者向けのよくある質問で、「私たちは新たな取り組みに移行するにあたり、Ai Pinを終了させることにしました。今後、さらなる情報をお伝えしていきます。これまでの取り組みを支えていただき、ありがとうございました」と述べました。

元Appleのエンジニアで創業者のイムラン・チャウドリ氏とベサニー・ボンジョルノ氏を含むメンバーは、HumaneがHPに吸収された後はHP社内に新部門を設立する予定です。新チームはHP IQと呼ばれ、同社のPCやプリンター、コネクテッド会議室にAIを導入するプロジェクトを率いるとのことです。