サイエンス

自転車で通勤する人は仕事を病気で休む日が少ないという研究結果


通勤が必要な仕事に就いている人の中には、健康や環境のために自転車で通勤しているという人もいるはず。2万8000人以上の労働者を対象にした新たな研究では、車や公共交通機関を使って通勤する人と比較して、自転車通勤の人は病気で欠勤する可能性が低い傾向があると判明しました。

Associations Between Active Commuting and Sickness Absence in Finnish Public Sector Cohort of 28 485 Employees - Kalliolahti - 2024 - Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/sms.70001


Study confirms the benefits of commuting by bicycle in particular in reducing sickness absences | Finnish Institute of Occupational Health
https://www.ttl.fi/en/topical/press-release/study-confirms-the-benefits-of-commuting-by-bicycle-in-particular-in-reducing-sickness-absences

People Who Cycle to Work Take Fewer Sick Days. But Why? : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/people-who-cycle-to-work-take-fewer-sick-days-but-why

健康のためには適度な運動が必要だということはほとんどの人が知っていますが、毎日働いている労働者にとっては運動する時間を確保することが課題となります。そこで、日々の通勤手段を公共交通機関や車から徒歩や自転車に切り替えることで、運動不足を解消する試みが広まりつつあります。


新たにフィンランド労働衛生研究所のチームは、徒歩または自転車による通勤が病気での欠勤リスク低下と関連しているかどうかを調べました。論文の筆頭著者であり、フィンランド労働衛生研究所および東フィンランド大学の博士研究員であるEssi Kalliolahti氏は、「徒歩や自転車によるアクティブな通勤の健康面や環境面での利点については、すでに研究による証拠があります。しかし、たとえば長期欠勤のリスクとアクティブな通勤との関連性については、これまでまったく研究されてきませんでした」と述べています。

研究では、フィンランドの地方自治体に勤める労働者2万8485人を1年間または2年間にわたって追跡して収集した、通勤手段や距離、病気で欠勤した日数などのデータが分析されました。

分析の結果、車や公共交通機関を使って通勤する労働者と比較して、徒歩や自転車で通勤する労働者は病気で欠勤する日数が少ないことが判明しました。以下のグラフは、縦軸が労働者100人が1年間で取る病欠の日数を、横軸が通勤での運動量を示しています。また、左が12カ月間のデータを基にしたグラフで、右が24日間のデータを基にしたグラフです。グラフを見比べると、通勤での運動量が多い労働者ほど、病欠の日数が少ないことがわかります。


最も活発なグループは徒歩または自転車で1週間に30km以上、平均で61kmも通勤しており、これらの人々の平均通勤距離は片道9.4kmでした。このグループの人々は最も運動量が少ないグループと比較して、病欠をするリスクが8~12%低く、10日間以上の長期的な病欠をするリスクも18%低かったと報告されています。

さらに、徒歩通勤と自転車通勤を分けて比較した場合、通勤距離と病欠日数の関連性は、最も運動量の多い自転車通勤のグループのみで確認されたとのことです。研究チームはこの理由について、徒歩通勤者は1週間あたりの運動量が少ないか、強度が不足している可能性があると推測しています。

研究チームは性別や年齢、アルコールの摂取量、社会経済的地位など、病気の統計に影響するその他の潜在的要因も考慮しています。しかし、今回の研究はあくまで通勤と病欠の関連性を示したものであり、直接的な因果関係を示したものではない点に注意が必要です。

論文の共著者であり、フィンランド労働衛生研究所の主任研究員であるJenni Ervasti氏は、「今回の研究結果はアクティブな通勤スタイル、特に自転車通勤を奨励して、投資する追加の理由を提供しています」とコメントしました。


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in 乗り物,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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