DJIのアップデートにより空港や山火事発生地域でドローンが自動停止されなくなり操作は人間の手に委ねられることに
2025年1月13日、ドローンメーカーのDJIがアメリカにおいて、特定エリアの飛行を強制的に禁止する「ジオフェンシング」にアップデートを加えて強制操作を無効化したことを明らかにしました。今後は警告が表示されるのみで、飛行を継続するか中断するかは人間の手に委ねられることになります。
DJI Updates GEO System in U.S. Consumer & Enterprise Drones
https://viewpoints.dji.com/blog/geo-system-update
DJI will no longer stop drones from flying over airports, wildfires, and the White House - The Verge
https://www.theverge.com/2025/1/14/24343928/dji-no-more-geofencing-no-fly-zone
DJI drops geofencing system in US: Drone operators face full risk
https://dronedj.com/2025/01/14/dji-geofencing-no-fly-zone/
Chinese drone maker allows flights over ‘restricted zones’ in US
https://www.aa.com.tr/en/asia-pacific/chinese-drone-maker-allows-flights-over-restricted-zones-in-us/3449438#
ジオフェンシングはDJIが開発したシステムで、有効化されているとドローンは空港や発電所付近など特定の飛行禁止区域に侵入しないよう自動的に減速してその場でホバリングします。
DJIはこのジオフェンシングにアップデートを加え、これまで侵入を完全に禁止していた「制限区域(飛行禁止区域)」を「強化警告区域」に分類し直し、この区域に侵入しようとするドローンのオペレーターに警告を出すのみに変更したとのこと。オペレーターは警告に従い、飛行を継続するか中断するかを選択することになります。
この変更によりドローンの操作は空港等であっても完全にオペレーターの手に委ねられ、最終的な責任もオペレーターが負うことになります。なお、強化警告区域を飛行するにはFAAから許可を得る必要があります。アメリカでの変更はEUでの変更に続くものです。
また、今後「強化警告区域」を含む飛行制限区域は現地の航空機規制当局が定めたエリアに従うことになり、EUであれば欧州航空安全機関(EASA)、アメリカであれば連邦航空局(FAA)のエリアが参照されます。アメリカであれば、山火事など危険な状況や特別な出来事が起こった地域は「一時飛行制限区域」に指定されて飛行が制限されるのですが、この区域も警告が表示されるのみになる模様。
テクノロジー系メディアのThe Vergeは今回の変更についてDJIにいくつか質問しています。
Q:軍事施設、山火事などの緊急地域、ホワイトハウスのような政府庁舎を含む、アメリカ国内のあらゆる場所へのドローンの離陸および飛行を妨げなくなったのは確かですか?
A:はい、このアップデートはアメリカ国内のすべての場所に適用されます。このアップデートにより、DJIが定めたジオフェンシングのデータセットはFAAの公式データを参照するように置き換えられました。以前は制限区域として定義されていた地域は、FAAの指定に基づき、強化警告区域として表示されます。
Q:ドローンの離陸および飛行が依然として妨げられる地域はありますか?
A:ありません。
Q:DJIは、アメリカ政府または特定の政府機関と協議したのですか?それともどこかの指示により決定を下したのですか?もしそうであればどの機関ですか?
A:この変更は、FAAを含む世界中の航空規制当局が進めている、「規則を順守する責任は操縦者にある」という原則に沿ったものです。
なお、DJIのグローバルポリシー責任者のアダム・ウェルシュ氏は「EUでの変更が成功したことを受けてしばらく開発を進めてきましたが、リスク増大の証拠は示されませんでした」と伝えています。
DJIの元政策担当副社長であるブレンダン・シュルマン氏は、実質的に規制が緩和される今回の変更について「これはドローンの安全戦略における顕著な変化であり、特に空域制限や高リスク地域についてあまり意識していないドローンオペレーターに多大な影響を与える可能性があります」と述べ、オペレーターには今まで以上にリスク管理が求められると強調しました。
This is a remarkable shift in drone safety strategy with a potentially enormous impact, especially among drone pilots who are less aware of airspace restrictions and high-risk areas. https://t.co/YJOpe2gcZe
— Brendan Schulman (@dronelaws) January 14, 2025
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