ホテルの宿泊費やライブのチケット価格に「謎の追加料金」をこっそり上乗せすることが禁止へ
オンラインでホテルの予約をしたり、ライブイベントのチケットを購入したりしようとすると、予約ボタンを押した時にはなかった「リゾートフィー」や、カートに入れた覚えがないサービスの「手数料」が上乗せされてしまい、気づいたら最終価格がやたらと高くなってしまうことがあります。アメリカの連邦取引委員会(FTC)が、こうした不公正な「ジャンク料金」を取り締まる新しい規則を発表しました。
Federal Trade Commission Announces Bipartisan Rule Banning Junk Ticket and Hotel Fees | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2024/12/federal-trade-commission-announces-bipartisan-rule-banning-junk-ticket-hotel-fees
The FTC is officially banning hidden junk fees from hotel and ticket prices - The Verge
https://www.theverge.com/2024/12/17/24323274/ftc-hidden-junk-fees-ban-hotel-ticket-prices
今回規制対象となった「ジャンク料金」とは、支払わなければならないにもかかわらず事前に明示されない不透明な料金のこと。
ジャンク料金があると、広告やサイト上に掲載されたお手頃価格にひかれたユーザーは、決済ボタンを押す直前になってから実はまったくリーズナブルではないのに気づいてがっかりすることになります。
FTCは2024年12月17日に、このジャンク料金の存在を隠すなどして顧客を欺くことを禁止する「(PDFファイル)不当または欺まん的な料金に関する取引規制規則(Trade Regulation Rule on Unfair or Deceptive Fees)」を発表しました。
2025年5月に発効するこの規則では、繁忙期などのシーズンや予約状況などに合わせた価格設定を行う柔軟性を維持するため、ジャンク料金自体は禁止されませんが、企業は大きく分けて2つのことを義務付けられます。
まず、企業はライブイベントのチケット代やホテルの宿泊費を表示したり宣伝する際、すべての必須料金が含まれた合計金額を明確かつ事前に開示しなくてはなりません。
さらに、この合計金額はほかの価格情報よりも目立つように表示する必要があります。つまり、広告で最も目立つ価格の数字は客が支払わなければならない価格の総額となります。料金に関する条件やオプション料金などを表示してはいけないわけではありませんが、支払総額を隠すようなことは認められません。
FTCのリナ・カーン委員長は「人々には、不可避かつ不可解な予算外の料金を後から請求される心配をすることなく、事前にいくら支払うよう求められるのかを知る権利があります。FTCの新規則により、ライブイベントのチケット、ホテル宿泊費、バケーションレンタルなどに関するジャンク料金がなくなり、アメリカの国民は膨大なお金と無駄な時間を節約できるでしょう」と述べました。
FTCはこの新しい「ジャンク料金規制」の制定に向けて2022年から準備を進めており、公募した1万2000件超のコメントを元に2023年10月に草案を発表しました。そして、2回目のコメント募集により集められた6万件超のコメントを元に最終規則が策定され、委員会での投票により4対1で制定が決まりました。
FTCの試算によると、ジャンク料金規制によりチケット代や宿泊費の総額を調べるのに人々が費やしてきた無駄な時間が年間最大5300万時間節約され、これをコストに置き換えると10年間で110億ドル(約1兆6900億円)に相当すると算定されているとのことです。
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