サイエンス

将来の妊娠に備えて卵子を凍結するのに最適な年齢は「19歳」だという主張


卵子凍結(未受精卵凍結)とは、将来の妊娠に備えて若い時に卵子を凍結保存しておくことを指し、妊娠の準備ができたタイミングで卵子を受精させ、妊娠につなげることが目的です。一般に卵子凍結は「35歳までに行うのが望ましい」とされていますが、科学や心理学関連のトピックについて議論されているオンラインフォーラムのLessWrongに、「卵子を凍結するのに最適な年齢は19歳」という主張が投稿されました。

The optimal age to freeze eggs is 19 — LessWrong
https://www.lesswrong.com/posts/dxffBxGqt2eidxwRR/the-optimal-age-to-freeze-eggs-is-19


女性の生殖器系は人体の中で特に老化が速い部位ですが、中でも卵子は特に老化が進みやすいとされています。加齢により卵子の数と質は下がっていき、それに伴って妊娠率は低下して流産率は高くなるとのこと。しかし、比較的若い時期に卵子を凍結して将来に備えておけば、採卵した時点の卵子の質を保つことができるため、子どもを持ちたいと思った時期に質のいい卵子を利用することが可能です。

遺伝子編集技術に取り組むスタートアップを運営しているというジーン・スミス氏は、自身のキャリアや配偶者探しといった理由で妊娠する時期を遅らせたい女性にとって、卵子凍結は最適な選択肢のひとつだとしています。しかし、いつ卵子を凍結するべきかを見誤ると、将来の家族計画に支障が出てしまう可能性があると指摘しています。


スミス氏は、「不妊治療業界では、女性が30代半ば~後半になるまで卵子凍結を待つのが標準的なやり方です。その時点で希望する子ども全員を産む見込みがない場合は、卵子を凍結するようアドバイスされます。しかし、これは良い慣習とは言えません。卵子凍結の効果は年齢とともにほぼ直線的に低下します。従来のアドバイスでは、手遅れになるまで卵子凍結を勧めないことで、女性に大きな不利益をもたらしています」と述べました。

以下のグラフは、アメリカのテキサス大学オースティン校で人口動態や出生率を研究しているマイケル・ジェルソ准教授らのチームが2023年に発表した「(PDFファイル)Age and Infertility Revisited(年齢と不妊の再考)」という論考に掲載されたものです。縦軸が避妊をしていないカップルの月間妊娠率を表し、横軸が女性の年齢を表しています。明らかに若い方が妊娠率が高く、ピークが20歳前後になっていることがわかります。


スミス氏は、「卵子を凍結するのに最適な年齢は情報源や基準によって異なりますが、ほぼすべての情報源で19歳~26歳の間だということで一致しています」と述べ、妊娠率が高い19歳で卵子凍結を行うのが最も良いと主張しました。

しかし実際のところ、不妊治療業界において19歳時点で卵子凍結を勧めるケースはほとんどなく、大抵の場合は「35歳までに卵子凍結をした方がいい」とアドバイスするにとどまっています。その理由についてスミス氏は、卵子凍結には費用がかかるため若い女性やカップルには手が出しづらいことや、不妊治療業界全体が30代半ば~後半の不妊女性を中心に構成されており、卵子凍結を考えている若い女性に対応する準備ができていないことなどを挙げています。

以下のグラフは、生殖補助医療の専門家らからなる団体・Society for Assisted Reproductive Technology(SART)が2019年に発表したレポートに含まれていたもので、縦軸が1回の採卵サイクルで出産に成功した割合を表し、横軸が女性の年齢を表したものです。年齢が上がるにつれて出産成功確率は減っていきますが、そもそもグラフの左端が「<35」となっており、35歳未満の女性がひとまとめにされています。この点からも、不妊治療において若さの重要性が軽視されていることがうかがえます。


また、若い卵子であれば、1回の採卵サイクルで凍結した卵子から複数の胚を作成できる可能性も高まります。そのため、「1回の採卵サイクルで5個の胚を作成して、そのうち1個は今回の妊娠で使い、別の1個は2年後に使う」といったことも可能になります。妊娠率の低下は主に生存する胚の数に起因するため、この違いは大きいとスミス氏は指摘しています。

以下のグラフは、受精卵のスクリーニングサービスを提供するHerasightという企業が発表したもので、縦軸が1回の採卵サイクルで生まれると予想される子どもの数、横軸が女性を表しています。青い実線は予想される子どもの中央値を示しており、加齢につれて生まれると予想される子どもの数が減っていくことがわかります。


スミス氏は、「25歳で卵子を凍結するのと37歳で凍結するのとでは、その差がはるかに顕著になります。この2つの年齢では、卵子採取1回あたりの出産期待率が60%も減少しますが、体外受精業界の誰もこれを教えてくれません」と述べています。また、そもそも35歳になると卵子を凍結してもまったく子どもを持てない確率が10%に達するそうで、30代半ばで卵子を凍結しようと思っても手遅れというケースもあるとのこと。

スミス氏は、「文字通り未成年でない限り、卵子の凍結に関しては早ければ早いほど良い場合がほとんどです」と述べ、将来的に不妊治療を行ったり妊娠時期を遅らせたりしたい人は、なるべく若いうちに卵子凍結を検討するべきだと主張しました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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