レビュー

世界最軽量級ノートPC「FMV Zero」はどれぐらい持ち運び作業向きかをベンチマークや騒音・排熱で計測してみたよレビュー


富士通が2024年10月に発表したノートPC「FMV Zero」は、最も軽いカスタマイズで約634gと世界最軽量級の軽さを実現しています。同じCPUを使用している直近のノートPCだと2024年3月8日発売の「ASUS Zenbook S 13 OLED UX5304MA (UX5304MA-I7321W)」が約1kgなので、同等の性能で600g台に抑えている「FMV Zero」はかなり優秀。実際に触ってみるとノートPCとは思えないほど軽いFMV Zeroですが、実際に持ち運んで作業するのに適しているのか、ベンチマークを計測した上で負荷を上げた時のファン音はどれくらいになるのか、負荷が高い時はどれくらいの温度になるのかを計測してみました。

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14.0型ワイド ノートパソコン(PC) LIFEBOOK FMV Zero(WU4/J3, WU5/J3) :特長 - FMWORLD.NET(個人) : 富士通パソコン
https://www.fmworld.net/fmv/uh_z/

FMV Zeroの外観やスペック情報は以下の記事を見るとよくわかります。

世界最軽量の約634gを実現した驚くほど軽すぎる富士通のノートPC「FMV Zero」フォトレビュー - GIGAZINE


まずはCPU・GPUベンチマークの定番ソフト「Geekbench 6」をFMV Zeroにインストールしました。FMV ZeroでGeekbench 6を開いた画面は以下の通りで、システム情報が記載されています。FMV Zeroはメモリやストレージ、CPUをカスタム可能ですが、今回レビューしたものはメモリが16GB、CPUが「Intel Core Ultra 7 155U」で、ストレージは1TB。OSはWindows 11 Pro(64ビット版)です。


まずはCPUの計測を開始します。「Run CPU Benchmark」をクリック。


緑色のバーが右まで到達したら計測完了。CPUの計測は6分ほどかかりました。


CPUベンチマークを実行した結果、シングルコアのスコアsは2192、マルチコアのスコアは7885でした。過去にレビューしたMicrosoftのハイエンドノートPC「Surface Laptop Studio 2」のCPUベンチマークはシングルコアのスコアは1634、マルチコアのスコアは6283という計測結果だったため、FMV ZeroのCPUは高いパフォーマンスを発揮できると言えます。


シングルコアのベンチマーク結果詳細はこんな感じ。


マルチコアのベンチマーク結果詳細はこんな感じです。


次に、Geekbench 6でGPUを計測します。APIを「OpenCL」に選択。


「Run GPU Benchmark」をクリックします。


OpenCLのGPUベンチマークスコアは15757。CPUでは高いパフォーマンスを記録しましたが、GPUスコアはハイエンドノートPC「Surface Laptop Studio 2」の87486と比べると控えめですが、Surface Laptop Go 3が11809、Surface Go 4では3845と計測されていたのと比較すると、持ち運びしやすい軽量ノートPCとしては十分なパフォーマンス。


スコア詳細はこんな感じ。


次に、APIをVulkanに変更して「Run GPU Benchmark」をクリックして計測。


Vulkanのベンチマークスコアは13662でした。


スコア詳細は以下の通り。


続いて、CPU・2D・3D・メモリ・ディスクの項目ごとに計測できる「PassMark PerformanceTest」でもテストしました。インストールして起動したら「RUN BENCHMARK」をクリックして計測開始。計測には10分程度かかります。


計測した結果、総合スコアは3352で、数字が大きいほど上位となるパーセンタイルは35%。


PC全体のグラフで総合スコアを見たところ、FMV Zeroは「ミドル級の下の方」といった感じでした。


CPUベンチマークのスコアは14003で、パーセンタイルは49%。


グラフで見ると、CPUベンチマークはミドル級の真ん中あたりを記録しました。


2Dグラフィックスベンチマークのスコアは283。パーセンタイルは22%と、2Dグラフィックスは苦手な様子。


グラフで見ると、2Dグラフィックスはミドル級よりローエンドの領域に入っていました。


3Dグラフィックスベンチマークのスコアは2955でパーセンタイルは30%と、低めの計測結果でした。


3Dグラフィックスはギリギリミドル級のスコアといったところ。


メモリベンチマークのスコアは1248でパーセンタイルは5%と特に低く出ました。ただし、今回使用したFMV Zeroは16GBのものでしたが、購入時のカスタムで64GBまで選択可能なため、より高く安定したパフォーマンスを求める場合は32GBもしくは64GBを選択することもできます。


メモリベンチマークの結果は、ローエンドPCの中でも真ん中あたりでした。


最後に、ディスクベンチマークのスコアは24510でパーセンタイルは75%。


ディスクベンチマークはミドル級からハイエンドPCにさしかかる高いスコアを記録しました。


続いては、負荷試験ソフト「BurnInTest」で負荷をかけた状態で、FMV Zeroで負荷の高い作業を行うとどれくらい熱くなるのか、排熱のためにどれくらいのファンの音がするのかを計測しました。

まず、負荷テストを実施する前のFMV Zeroを撮影してみました。以下は室温22度くらいの部屋で30分ほど電源をオンにして、簡単なブラウジングのみ作業した段階。サーモカメラ「FLIR ONE Pro」で温度測定したところ、本体の温度は熱いところで28.2度、ACアダプターは16.6度程度と、触っても「ほんのりあたたかい」という程度。


以下は、3分間の負荷テストを実施した後の温度です。本体の温度は32.3度、ACアダプターは21.2度まで上昇しましたが、特に熱いところを触っても「あたたかい」の範囲でした。


次に、負荷テストを約15分ほど継続してみました。


15分の負荷テスト後に温度を測定してみると、本体は最も熱い裏面で35.4度まで上昇。ただし、通常よりは熱くなっていると感じましたが、触っても「熱い」となるほどの温度ではありませんでした。また、PCを置いていた机は26.4度と、こちらも熱くなってはいましたが気になるほどではなさそう。


一方で、ACアダプターは46.2度まで熱くなっていました。触って極端に熱いというほどではありませんが、置いている場所によっては影響を与えるくらいに熱くなる可能性があるので、長時間ACアダプターを置きっぱなしにするときは注意が必要。


負荷試験でFMV Zeroをハードに動かしている間、騒音計を「ノートPCを通常作業している時の耳のあたり」に設置して、「作業中にどれくらい排気音が聞こえるか」と測定してみました。結果は37.5dbで、FMV Zeroの排気ファンに耳を近づけると音がしっかり聞こえるものの、作業している体勢からだとほとんど気にならない程度。


また、負荷試験中に騒音計をFMV Zeroの近くに置いてみたところ、ファンに近づけた位置で46~47dBほどでした。


以下は、騒音規制法に関する環境省の資料(PDFファイル)で示されている「区域ごとの工場等の騒音規制基準値」です。静かな環境では昼までは45~50db、夜間では40~45dbの範囲に抑えるように定められていますが、FMV Zeroでは通常の作業している位置からは約37db程度、ノートPCのすぐ近くでも47db程度のため、ある程度静かな環境でも周りから「PCの音がうるさい」と思われる心配はほとんどなさそうです。


負荷試験を行っている状態で、ファンの音はノートPCのすぐ近くだとどれぐらい聞こえるものなのか、騒音計で測定しながらムービーで撮影してみました。

世界最軽量級の富士通のノートPC「FMV Zero」は持ち運んで作業に適しているのか負荷テスト中の騒音を計測してみた - YouTube


ベンチマークの結果と騒音・排熱の計測結果を総合すると、FMV Zeroは驚くほどの軽さで十分なスペックは発揮できるため、持ち運んで簡単なブラウジングや作業をするにはオススメ。ただ、高いスペックを要求する作業や高負荷のソフトを使う際などは、うまくできない可能性があるため注意が必要です。ファン音や排熱なども快適で、触ってみるととにかく軽くて取り扱いやすいノートPCのため、ビジネス用やライティング用の持ち運びしたいノートPCを求める人にはかなりオススメです。

FMV Zeroの仕様は以下の通り。「WU5/J3」のウルトラライトモデルと「WU4/J3」のハイパフォーマンスモデルがあり、公式ページによると、「WU5/J3」の約1TB SSDを選択した場合が14.0型ワイド液晶搭載ノートPCとして最軽量とのこと。

 WU5/J3WU4/J3
特徴世界最軽量 約634g
カーボンファイバーボディ
長時間バッテリー
バックライト付 キーボード
プロセッサCore™ Ultra プロセッサー(シリーズ1)
OSWindows 11 Pro / Windows 11 Home
CPUインテル® Core™ Ultra 7 155U
インテル® Core™ Ultra 5 125U
メモリ64GB / 32GB
16GB / 8GB
ストレージ約2TB / 約1TB / 約512GB / 約256GB
ディスプレイ14.0型 ワイド(ノングレア液晶)
バッテリー稼働時間

動画再生時:約6.0時間
アイドル時:約15.0時間

動画再生時:約11.5時間
アイドル時:約30.0時間

質量約634g~約639g約888g


FMV Zeroは富士通WEB MARTから購入可能で、OSやCPU、メモリ、ストレージなどをカスタム可能。価格は19万5500円からで、カスタムによって値段が変わります。なお、14.0型ワイド液晶搭載ノートPCとして世界最軽量となる約634gはWU5/J3に約1TB SSDを選択したもので、価格はそれ以外をカスタムしないと23万9700円です。最軽量モデルは富士通WEB MART限定で購入できます。

[富士通WEB MART] LIFEBOOK WU5/J3 カスタムメイドモデル : 富士通パソコン


また、FMV Zero WU5/J3はAmazonでも購入可能です。Amazonでは最低価格が19万2400円で、ストレージを約256GBまたは約512GBのもののみ選択可能です。

Amazon.co.jp: 【公式】 富士通 ノートパソコン FMV LIFEBOOK WU5/J3 UHシリーズ AZ_WU5J3_Z731 : パソコン・周辺機器

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in レビュー,   ソフトウェア,   ハードウェア,   動画, Posted by log1e_dh

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