目に光を当てて失明につながる網膜の損傷を治療する医療機器をアメリカ食品医薬品局が認可
アメリカ食品医薬品局(FDA)が、医療機器メーカー・LumiTheraが開発した「Valeda Light Delivery System」を用いるValeda療法を、乾燥型の加齢性黄斑変性症(AMD)の治療法として認可しました。AMDは網膜の中心が変性する病気で、進行すると視力を失う可能性がありますが、Valeda療法は目に光を当てて網膜の損傷を修復し視力を向上させる可能性があることが確認されています。
LumiThera Obtains FDA Authorization of Valeda Treatment for Dry AMD Patients to Improve Vision | LumiThera US
https://www.lumithera.com/lumithera-obtains-fda-authorization-of-valeda-treatment-for-dry-amd-patients-to-improve-vision/
LED device treats leading cause of vision loss with light therapy, FDA says | Live Science
https://www.livescience.com/health/medicine
FDA Roundup: November 5, 2024 | FDA
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-roundup-november-5-2024
乾燥型のAMDは、先進国における55歳以上の視力障害の主要原因に挙げられています。Valeda療法は、乾燥型AMDの視力障害患者に対してFDAが初めて認可した治療法となります。
乾燥型AMDではミトコンドリアが機能不全を起こしており、黄色や赤、近赤外に対応する波長の光が当たると、ミトコンドリアの活動エネルギーが生産され損傷を修復する能力が高まることが先行する研究で示唆されていました。
Valeda療法は該当する3つの波長の光を発することで、ミトコンドリアに対して網膜の血流を促進する化学物質を放出するよう促し、同時に、炎症を抑制する可能性があるとのこと。
Our Products | LumiThera US
https://www.lumithera.com/products/
開発元のLumiTheraは初期~中期の乾燥型AMD患者100人を対象として臨床試験を実施。被験者の目のうち91個はValeda療法で治療を受け、54個は偽治療を受けました。治療は週3回、3週間から5週間受けるパターンを4カ月ごとに、2年間にわたり繰り返しました。
治療の結果、Valeda療法の治療を受けた目は、治療前と比べて、視力表で5文字以上あるいは1行上まで見えるようになったとのこと。治療効果は研究の中途および終了時の双方で確認されているため、視力改善は少なくとも24カ月は持続すると考えられます。
また、偽治療を受けた目と比較すると、Valeda療法を受けた目はAMDの進行度合いが低く、症状が悪化したのは偽治療群が24%だったのに対して約7%にとどまりました。
LumiTheraの社長兼CEOであるクラーク・テッドフォード博士は「我々は数年前から、多波長光生体制御装置であるValedaをアメリカの患者に届けるべく努力してきました。乾燥型AMDの患者の視力を改善し、永続的に視力を失うより早期にできる非侵襲的な治療の選択肢ができました。乾燥型AMDの視力改善のためのValedaがFDAの承認を受けたことは、アメリカの患者にとって大きな選択肢です」と述べています。
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