サイエンス

「目の色を変える手術」には失明などのリスクが伴うという指摘


美容整形技術が発展してきた近年では、物理的に目の色を変える手術も可能になっています。しかし、こうした手術には失明や合併症などの多くのリスクがあることが指摘されています。

Eye colour-changing surgeries are nothing to blink at – they could leave you blind
https://theconversation.com/eye-colour-changing-surgeries-are-nothing-to-blink-at-they-could-leave-you-blind-237920


目の色を変えるための手術には、瞳孔の大きさを調節する役割を果たす虹彩にインプラントを埋め込んだり、入れ墨をしたり、レーザーを用いて色素を落としたりといった方法があります。その一例である「角膜色素沈着術」は、眼球の透明な保護膜である角膜に針を刺し、顔料を注入するというものです。この技術の歴史は古く、数千年前からすすなどの顔料の注入が試されてきました。

また、レーザーを使用して虹彩の外装から色素を除去する「色素脱失手術」を受けると、茶色の目が水色や灰色に変化する可能性があります。この手術では、レーザーを使用することで色素と色素を作り出す細胞を焼き尽くすとのこと。なお、色素脱失手術では、虹彩の色を濃くするメラニンの量を増やすことはできないことから、明るい色の目を暗い色の目に変えることはできません。

ランカスター大学臨床解剖学学習センターのアダム・テイラー教授によると、色素脱失手術はもともと、目の色素沈着過剰を治療するために開発された技術で、数回にわたる施術を受けることで変化が永続的になるとのこと。


一方で、角膜色素沈着術も色素脱失手術も、目の最も外側の層に傷をつけることになるため、感染症への重大なリスクを秘めていることが指摘されています。これらの手術を受けた患者からは、角膜の菲薄(ひはく)化や穿孔緑内障や白内障の発症光過敏症の発症視力の低下などが報告されているほか、最悪の場合失明に陥ることも明らかになっています。また、角膜色素沈着術を受けた患者の中には、MRI検査中に目の痛みを訴える患者もいたそうです。

さらに近年では、目の色を変えるために目にシリコンインプラントを挿入するという方法も考案されています。しかし、この手術を受けたある女性は重大な合併症を発症し、視力が最大80%失われるという事態に陥ったことが報告されています。この女性にとどまらず、同様の手術で合併症に感染したと訴える人物は後を絶ちません

テイラー教授は「インプラントを目の中に挿入する手術は、目の形を変えてしまったり、挿入したインプラントが視神経に過剰な圧力をかけてしまったりというリスクがあります。視神経が視力を制御しているため、視神経が圧迫されると最悪の場合失明に至る可能性があります」と指摘しました。


また、テイラー教授は「目の色を変えるような手術を受けて得られた短期的な利益は、あなたを長期的な痛みで苦しめます。これらの手術を受けることを検討している場合、『失明するリスクがある』ということを念頭に置いて考えてください」と忠告した上で、「目の色を安全に変えるための方法は『専門医から処方されたカラーコンタクトレンズを装着すること』です」と語りました。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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