インド政府がWikipediaに偏見と不正確さを指摘する通知を発行、「少数の編集者が特定のトピックに悪影響を与えている」との指摘
インド政府が2024年11月5日に、オンライン百科事典のWikipediaを運営するウィキメディア財団に対し、「少数の編集者グループが特定のトピックに影響を与えている可能性がある」と批判したほか、プラットフォーム上の偏見や不正確さに対する苦情を提起しました。
India issues notice to Wikipedia over concerns of bias | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/11/05/india-issues-notice-to-wikipedia-over-concerns-of-bias/
Wikipedia gets notice from IB ministry; asked why it should not be treated as a publisher - Times of India
https://timesofindia.indiatimes.com/technology/tech-news/wikipedia-gets-notice-from-ib-ministry-asked-why-it-should-not-be-treated-as-a-publisher/articleshow/114974749.cms
Indian government issues notice to Wikipedia over bias and inaccuracies - CNBC TV18
https://www.cnbctv18.com/technology/indian-government-issues-notice-to-wikipedia-over-bias-and-inaccuracies-19504067.htm
Wikipedia Under Scrutiny! Indian Govt Issues Notice Over Bias, Demands Answers on Editorial Control
https://www.dnpindia.in/nation/wikipedia-under-scrutiny-indian-govt-issues-notice-over-bias-demands-answers-on-editorial-control/518706/
インドの報道機関であるAsian News Internationalの英語版Wikipediaのページには「インド外務省の事実上の広報部門として活動しており、親政府・反パキスタンのプロパガンダやフェイクニュースを拡散している」と記載されていることに対し、Asian News Internationalは2024年7月に「Wikipediaの記事によって名誉を毀損(きそん)された」としてウィキメディア財団を訴えています。
その後、Wikipediaの英語版に掲載されていた「報道機関とウィキメディア財団の裁判に関する記事」が、インドのデリー高等裁判所による命令を受けて全世界でブロックされる事態にまで発展しました。
ウィキメディア財団が訴えられた裁判に関するWikipediaの記事が裁判所の命令によって公開停止に - GIGAZINE
Asian News Internationalはウィキメディア財団に対し、「ウィキメディア財団は通信社の評判を落とし、その信用を失墜させることを目的とした悪意を持って、虚偽の中傷的な内容を掲載した」と主張。ウィキメディア財団に対し、2000万ルピー(約3600万円)の損害賠償と記事の編集を求めています。
さらにインドの情報放送省はウィキメディア財団に対し「少数の編集者グループが特定のトピックに影響を与えている可能性があり、それが偏った情報につながる危険性がある」との懸念を通知しました。
Govt of India puts Wikipedia on notice. Govt writes to Wikipedia pointing out many complaints of bias and inaccuracies in Wikipedia, points out a small group having editorial control and asks why Wikipedia shouldn’t be treated as a publisher instead of an intermediary: Sources
— ANI (@ANI) November 5, 2024
Wikipediaの特徴の1つとして、インターネットにアクセスできる人なら誰でも記事を編集できる「オープン編集モデル」があります。このオープン性により、世界中の人々が知識を共有し、プラットフォームの構築を促進することが可能です。しかし、デリー高等裁判所は2024年10月に「Wikipediaのオープン編集モデルは、虚偽または誤解を招く情報の拡散につながる可能性があるため『危険』である」と批判したほか、誰もが記事を編集できることは、人々や組織に関する重要な情報について、プラットフォームの信頼性を損なう可能性があると指摘しています。
今回のインド政府による通知は、Wikipediaを単なる「プラットフォーム」ではなく「出版社」として見なすべきかどうかを問題視しています。通常、プラットフォームはユーザーが投稿したコンテンツに対して責任を負う必要はありません。しかし、Wikipediaを出版社と見なした場合、偏ったコンテンツや誤情報に対して法的責任に直面するなどの厳しいルールが課せられる可能性があります。
一方でウィキメディア財団の弁護団は「編集者が特定の基準に従うことを奨励しているほか、有害なコンテンツは積極的に削除しています。Wikipediaでは誰でも記事を編集できるものの、その情報が信頼できるかを確認するシステムが整っています」と主張。しかし、インド政府や裁判所はこれらのルールがどの程度守られているか、情報の真実性を確保するのに十分な編集者がいるかについて依然として懸念を抱いており、2024年9月にはデリー高等裁判所のナヴィン・チャウラ判事が「インドが嫌いで、インドの規制を順守したくない場合は、インドでの事業を停止してください。我々はインド国内でWikipediaをブロックするよう、政府に要請するつもりです」と厳しく批判しました。
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