ネットサービス

Wikipediaがたった1人の管理者にめちゃくちゃな言語で編集されてしまう

by Noj Han

Wikipedia管理者の1人であるAmaryllisGardener(アマリリスの園芸家)という人物は「スコットランド語を話せない」にも関わらず、スコットランドのWikipediaで2万3000件以上の記事をたった1人で執筆・投稿し、20万件以上の記事を編集しました。AmaryllisGardener氏が関わったほぼ全ての記事がスコットランド語と英語が混ざった稚拙な文章であることが明らかになり、大きな問題となっています。

Most of Scottish Wikipedia Written By American in Mangled English
https://www.vice.com/en_us/article/wxqy8x/most-of-scottish-wikipedia-written-by-american-in-mangled-english

Shock an aw: US teenager wrote huge slice of Scots Wikipedia | UK news | The Guardian
https://www.theguardian.com/uk-news/2020/aug/26/shock-an-aw-us-teenager-wrote-huge-slice-of-scots-wikipedia

アメリカ在住のアメリカ人であるAmaryllisGardener氏は、2013年頃からスコットランドのWikipediaを編集し始めました。AmaryllisGardener氏は約6年にわたって多くの記事を1人で編集したものの、ほとんどの記事がスコットランド語と英語が混ざった文章で書かれていました。

スコットランド人のUltach氏は、AmaryllisGardener氏によってスコットランド版Wikipediaがおかしくなってしまった状況を発見した1人でした。Ultach氏がRedditで公開した調査結果によると、AmaryllisGardener氏は2018年の時点でスコットランド版Wikipediaの3分の1以上の記事を編集していたとのこと。Ultach氏は「問題はAmaryllisGardener氏がスコットランド語を話せないことです。最善を尽くしているつもりなのでしょうが、かなりのミスがあります。つまり、AmaryllisGardener氏はスコットランド語について何の知識も持っていないようなのです」とコメントしています。


2016年の時点で、AmaryllisGardener氏はWikipediaのトークページでスコットランド人ユーザーから多数の指摘を受けており、「明らかに自分が使っていない言語を、私たちの母国語のように見せかけて文章を書いており、言語に対する侮辱ともとれます」「ネイティブのスコットランド人として言わせてもらうと、AmaryllisGardener氏が書く文章は実際のスコットランド語には似ていません。AmaryllisGardener氏が使用しているのは英語で、スコットランド語にあわせてスペルを少し変えているだけです。これを本物のスコットランド語と見なすことはスコットランド人に対して失礼に思えます」と非難されていました。

Ultach氏は「おそらくAmaryllisGardener氏は、まず記事を英語で書き出してから、辞書を使って個々の単語を調べ、英単語をスコットランド語に置き換えています。対応するスコットランド語が見つからなかった場合は英単語のままにしていたようです」と語り、AmaryllisGardener氏の記事がなぜスコットランド語と英語が混ざった奇妙な文章になったかを分析しています。

多くの非難に対して、AmaryllisGardener氏はメタウィキのページで「正直なところ、他の管理者が私の編集をすべて元に戻し、私の記事を削除し、永久にWikipediaから私を追放しても構わないと思っています。私は良いことをしているつもりでしたが、私の記事が多くの人々を怒らせてきたことはもう分かっています。私が記事を書き始めたときはまだ12歳の子どもで、若いうちから何かを始めると、年を重ねるごとに自分が培ってきたものが役に立たないと気づかされることもあるでしょう。私は自分を擁護する気はありません。ただ、自分や関係者のSNSへの嫌がらせを止めさせたいだけなのです」とコメントしました。


AmaryllisGardener氏が起こした問題は「Wikipediaにおける問題の1つを浮き彫りにしている」とVICEのエドワード・オングウェソ氏は主張しています。オングウェソ氏は「英語・スペイン語・ドイツ語などの主要言語におけるWikipediaには多くの編集者が集まりますが、言語によっては数人の編集者しかいない小規模なWikipediaもあるため、数人の手によってWikipediaに大きな影響を与えてしまう可能性があります」と語りました。

また、Redditでは「AmaryllisGardener氏による被害は予想以上に深刻かもしれない」とも指摘されています。「AmaryllisGardener氏の行為は文化的破壊行為であり、多くの人に『スコットランド語は独自の言語ではなく、恐ろしいほどにこじらせた英語表現である』という誤解を与える恐れがある」「AmaryllisGardener氏は、歴史上誰よりもスコットランド語に大きなダメージを与えた可能性がある」というコメントも投稿されており、Wikipediaを通してスコットランド語の印象がねじ曲げられてしまう可能性が危惧されています。

スコットランド版Wikipediaの管理者らは「AmaryllisGardener氏が関わった記事を完全に削除する」か「スコットランド版Wikipedia全体を2012年の状態に戻す」かの判断に苦しんでおり、ユーザーからは早急な修正が望まれています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
世界で2番目に記事数が多い「ボットが作った」Wikipediaがある - GIGAZINE

Wikipediaにひとりで270万もの記事を投稿した男の正体とは? - GIGAZINE

「Wikipedia上での誹謗中傷」に断固として立ち向かうためのポリシー改訂をWikipedia運営団体が発表 - GIGAZINE

ジャーナリスト派遣団体が「Wikipediaの編集作業に人員と資金を投下した」理由とは? - GIGAZINE

裁判所が「Wikipediaの記事が中傷的だ」として記事内容に加え編集履歴まで削除させる - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.