ネットサービス

Wikipediaの「中国人編集者一斉BAN」の裏には何があったのか?


フリーのインターネット百科事典「Wikipedia」を運営するウィキメディア財団が2021年9月に、中国語版Wikipediaの編集者7人のアカウントを一斉に凍結させました。この一件にはどんな原因があったのかを、IT系ビジネス雑誌のFast Companyが報じています。

Chinese Wikipedia's fights are the front line in a global war
https://www.fastcompany.com/90692176/chinese-wikipedia

Beatings, Doxxings, Harassment: the War Over Chinese Wikipedia - Slashdot
https://news.slashdot.org/story/21/12/18/1850229/beatings-doxxings-harassment-the-war-over-chinese-wikipedia

ウィキメディア財団のコミュニティ・レジリエンスおよびサステナビリティ担当ヴァイス・プレジデントのマギー・デニス氏は9月の声明で、編集ボランティアの個人情報にアクセスできる権限を持つ7人のアカウントを凍結し、12人のアカウントを降格処分にしたと発表しました。デニス氏は、「この決定は中国語版Wikipediaの編集者の身の安全を守るため」としていますが、情報が少ないため「処分を受けた編集者が中国政府とつながっていた証拠はない」とも説明しています。

Wikipediaが「中国人編集者の身の安全を守るため」に一部の編集者アカウントをBANに - GIGAZINE


今回、9月にアカウントを凍結されたユーザーの1人であるTechyan氏が、Fast Companyの取材に応じました。Techyan氏によると、同氏が所属していたユーザーグループ「中国本土ウィキペディアン(Wikipedians of Mainland China:WMC)」は、単に中国政府の擁護が好きなユーザーの集まりだったとのこと。中国ではWikipediaにアクセスするのが違法とされていますが、WMCは親政府的なスタンスだったので、比較的容易に監視網をくぐりぬけてWikipediaにアクセスすることができました。

WMCは個人的な理由で中国政府を擁護する活動を行うグループでしたが、Wikipediaで意見を通すために他の編集者への脅迫や嫌がらせを行うことがありました。また、2018年にはコミュニティ内での暗黙のルールをめぐって、オフラインでのミーティングの際に暴力事件が発生したこともあります。Fast Companyによると、こうした問題が前述の編集者アカウントの一斉凍結につながったと見られるそうです。


Techyan氏はFast Companyの取材に対し、2018年のミーティングやその際の暴力事件のことはほとんど覚えていないと回答。ウィキメディア財団による処分は、香港や台湾の敵対者らの政治的な申し立てに基づく差別と検閲に相当すると主張しました。

Wikipediaを追放されたTechyan氏らは目下、中国語版Wikipediaから記事をコピーした独自のオンライン百科事典を立ち上げており、そこには既に40万件もの記事があるとのこと。このサイトは中国政府の規制に従っているので、中国国内からでも合法的にアクセスできるサイトになっているそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
中国がついに全言語のWikipediaへのアクセスを遮断へ - GIGAZINE

Wikipedia創始者が中国によるWikipediaへのアクセス封鎖についてコメント - GIGAZINE

中国が2万人のスタッフを雇って「中国版Wikipedia」を作成へ - GIGAZINE

Wikipedia創設者が検閲を解除させるために中国へ直談判に - GIGAZINE

頻繁に寄付をお願いしてくるWikipediaの運営組織はかなり潤沢な資産を持っているとの指摘 - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.