Amazonが次世代原子炉の「小型モジュール炉」開発プロジェクトに総額750億円超を投資することを発表
Amazonが2024年10月16日、次世代原子炉である「小型モジュール炉(SMR)」の開発プロジェクトを支援するために、3つの新しい契約に署名したことを発表しました。この動きは、AI技術の発達と普及に伴うデータセンターの電力需要増加に対応するものとみられています。
Amazon enlists nuclear small modular reactors in push for net carbon-zero
https://www.aboutamazon.com/news/sustainability/amazon-nuclear-small-modular-reactor-net-carbon-zero
Amazon goes nuclear, to invest more than $500 million to develop small modular reactors
https://www.cnbc.com/2024/10/16/amazon-goes-nuclear-investing-more-than-500-million-to-develop-small-module-reactors.html
Amazonは10月16日の声明で、「本日、私たちは原子力エネルギープロジェクトの開発を支援するため、3つの新しい契約に署名したことを発表します。このプロジェクトには、いくつかの新しいSMRの建設を可能にすることが含まれています」と述べました。
SMRは従来の原子炉よりも小型の次世代原子炉であり、出力は一般的な原発が1基あたり1000MW程度なのに対して、300MW以下だとのこと。物理的な設置面積が小さいため、既存の送電網の近くに配置できる点や、従来の原子炉よりも構築時間が短い点などがメリットだといわれています。
Amazonがアメリカ・ワシントン州の公益事業コンソーシアムであるEnergy Northwestと結んだ契約では、4基の先進的なSMRの開発が可能になります。SMRはEnergy Northwestが建設・所有・運営し、プロジェクトの第1段階では合計約320MWを発電する予定で、将来的には発電量を960MWに増やすオプションもあるとのことです。
また、SMRとその燃料を開発するX-energyに対しては、Amazonが中心となって約5億ドル(約750億円)の資金調達を行いました。X-energyの先進的な原子炉設計は、Energy Northwestのプロジェクトでも使用される予定です。また、5GW以上の新しい原子力プロジェクトをサポートするSMR機器の開発支援も、今回の投資に含まれています。
さらにバージニア州の電力会社であるDominion Energyとの契約では、Dominion Energyが運営しているノースアンナ原子力発電所の付近で行われるSMR建設プロジェクトを支援するとのことです。海外メディアのCNBCは、今回の発表に伴ってAmazonがSMRに投資する金額は5億ドル(約750億円)を超えると報じました。
Amazonは声明で、「カーボンフリーのエネルギー源の創出と保全に加え、原子力エネルギープロジェクトへの投資は、彼らが居住する地域社会に経済的な後押しをもたらすことが期待されています」と述べ、SMRへの投資は雇用創出にも役立つとアピールしています。
Amazon Web Services(AWS)のマット・ガーマンCEOは、「原子力は当社の事業に電力を供給し、顧客の高まる要求を満たすのに役立つ、カーボンフリーエネルギーの安全な供給源です」「気候変動に対処する最も速い方法の1つは、社会をカーボンフリーのエネルギー源に移行させることです。原子力エネルギーはカーボンフリーであると同時に拡張可能であるため、Amazonにとって重要な投資分野です。私たちの協定は、今後数十年にわたってエネルギーを生み出す、新しい原子力技術の建設を奨励するものです」と述べました。
データセンターの電力需要が急増する中で原子力に目を向けているハイテク企業は、Amazonだけではありません。Microsoftは2024年9月、スリーマイル島原子力発電所の1号機を2028年までに再稼働させ、電力供給を受ける契約を交わしたことを発表しました。
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また、Googleは10月に、原子力発電企業のKairos Powerの小型モジュール原子炉(SMR)から原子力エネルギーを購入する契約を締結したことを発表しました。
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