サイエンス

マンモスだけじゃない科学者が復活に挑戦している6種の絶滅動物


アメリカのバイオテクノロジー企業が2024年3月に、ケナガマンモスと最も遺伝的に近いアジアゾウのiPS細胞を作成することに成功したと発表するなど、絶滅した巨大動物を科学技術で現代によみがえらせる計画が着々と進んでいます。そんなマンモスを含め、科学者らが復活に向けて取り組んでいる6種の絶滅動物を、科学系ニュースサイト・Live Scienceがまとめました。

6 extinct species that scientists could bring back to life | Live Science
https://www.livescience.com/animals/extinct-species/extinct-species-that-scientists-could-bring-back-to-life

絶滅動物の復活は、その種の動物のDNAサンプルを近縁種の卵細胞に移植する「核移植」というプロセスで行われます。2003年には、2000年に絶滅が確認されたアイベックスの亜種・ピレネーアイベックス(ブカルド)の核移植により赤ちゃんが生まれ、肺の欠陥で死ぬまで数分間生きました。

それから核移植の技術は着実に進歩しているとのことで、Live Scienceは「2030年代までにはかつて滅び去った動物が再び地上を歩くのを見ることができるかもしれない」と予想し、科学者らが復活の検討を進めている絶滅動物を6つ紹介しました。


◆1.マンモス
ケナガマンモスは7万~1万年前の最終氷期に生息していた動物で、北極海に浮かぶウランゲリ島には4000年前まで最後の生き残りが生息していました。絶滅の原因は氷河期末期の気候の変化や人間による狩猟、個体群の遺伝的多様性の減少であるとされています。

北極の永久凍土からは、保存状態が良好なマンモスのミイラが発見されており、そこからDNAを抽出して現代のゾウの卵細胞に核移植すればマンモスを復活させられるかもしれません。


アメリカのバイオテクノロジー企業・Colossal Biosciencesは、2028年までに最初のマンモスの子どもを誕生させると宣言しています。

マンモス復活を目指すバイオテクノロジー企業がアジアゾウのiPS細胞作成に成功しマンモス復活に一歩近づく - GIGAZINE

by Steve Jurvetson

◆2.ドードー
ドードーはマダガスカル島に浮かぶモーリシャス島の固有種で、大型の飛べない鳥でした。しかし、1598年に始まったヨーロッパの植民地化によりネズミや猫、猿などの外来種が島に持ち込まれたことや、森林伐採、人間によるドードー狩りで1681年に絶滅しました。1世紀もたたずに瞬く間に絶滅に追いやられたことから、ドードーは人為的絶滅の象徴とされています。

生きたドードーは絶滅しましたが、保存状態のいい標本が残されており、2022年には科学者らがデンマークにある標本からドードーのゲノムを復元することに成功しました。

Colossal Biosciencesはドードーの復活も目指しており、同社のベン・ラム氏はLive Scienceに「いいニュースは、ドードーのDNAは卵の中で自己完結しているので、マンモスのように妊娠と出産が必要な動物に比べて復活がはるかに早く、簡単なことです」と述べました。

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◆3.フクロオオカミ
フクロオオカミは背中にしま模様を持つ肉食の有袋類で、かつてはオーストラリア全土に生息していましたが、3000~2000年前に姿を消しました。オーストラリアの南東沖に浮かぶタスマニア島には、フクロオオカミの最後のグループが生き残ってましたが、島に入植したヨーロッパ人が家畜を狙うフクロオオカミを駆逐したため絶滅し、1936年に動物園にいた最後の個体が死にました。

オーストラリア・メルボルン大学のアンドリュー・パスク教授によると、世界中の博物館にフクロオオカミの標本が存在しており、中には保存状態が非常にいいものもあるとのこと。2017年にはパスク教授らのチームがフクロオオカミの完全なゲノムを解読し、2023年には別の研究チームがRNAの抽出に成功していますが、フクロオオカミの復活にはDNAの断片化など克服すべき課題がまだたくさんあるとパスク教授は述べています。


◆4.リョコウバト
リョコウバトはかつて北米で最も数が多かった鳥類で、17世紀より前にはアメリカの鳥類総数の25~40%を占めていたとされています。しかし、ヨーロッパからの移住者が食用としてリョコウバトを狩ったため徐々に数を減らしていき、1914年にはマーサと名付けられた最後のリョコウバトが死にました。

各地の博物館にはリョコウバトの標本が数十体残されており、研究者らはそこからDNAを抽出して配列を解析しましたが、断片化が激しいためリョコウバトが元の姿のまま復活することはまずないといわれています。


そのため、リョコウバトの復活を目指すバイオテクノロジー企業・Revive & Restoreはリョコウバトに最も近い近縁種であるオビオバトにリョコウバトのゲノムを導入し、リョコウバトに近い鳥を生み出す計画を立てています。同社によると、2025年には第1世代を卵からふ化させ、野生への試験的な放鳥を開始することを目指しているとのことです。

◆5.オーロックス
家畜牛を含むすべての牛の祖先といわれているオーロックスは、かつては北アフリカやアジア、ヨーロッパの全域にわたって生息していましたが、人間の乱獲と生息地の破壊によって数を減らし、1627年にポーランドの保護区の森に住んでいた生き残りが死んだのを最後に絶滅しました。


オーロックスのDNAのほとんどは現代の牛に受け継がれているため、科学者らは遺伝子操作ではなくオーロックスに似た特徴や行動を持つ個体を選んで繁殖させる「戻し交配」でオーロックスの復活に挑戦しています。

オランダのオーロックス復活プロジェクトを指揮するタウルス財団(Taurus Foundation)の理事で生態学者のロナルド・ゴデリー氏によると、この計画で既に6世代以上の牛が作出されており、オーロックスによく似た牛を誕生させる目標にかなり近づいているとのことです。

◆6.クアッガ
クアッガはサバンナシマウマの亜種で、シマウマよりも後ろ足のしま模様が少ないのが特徴です。珍しい毛皮を求める狩猟者や、野生動物が放牧の邪魔になると考えた畜産業界によって野生のクアッガは絶滅し、1883年には飼育されていた最後のクアッガが死にました。

クアッガの骨格はわずか7体しか残っていませんが、その骨髄や剥製の標本からDNAを抽出し、シマウマの卵細胞に導入することでクアッガのクローンを作ることができるかもしれないと、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者は述べてます。


また、オーロックスと同様にしま模様が少ないシマウマをかけあわせて「クアッガの特徴であるしま模様の遺伝子を復活させる」ことを目的にしたプロジェクトも進められていますが、「生まれてくるのは結局シマウマなのでその資金を別の保護計画に使った方が有意義」と批判する声もあるそうです。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1l_ks

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