サイエンス

今後6年でマンモスを復活させるプロジェクトが16億円超の資金調達に成功

b Tim Ereneta | Flickr

保存状態のいい化石から収集したマンモスのDNA配列をアジアゾウのゲノムに挿入し、「象とマンモスのハイブリッド」を作成するスタートアップ「Colossal」が立ちあがりました。マンモスのように毛に覆われているというこのハイブリッド生物を繁殖させ、北極圏に解き放つことで、地球温暖化を低速化できると考えられています。

Geneticist George Church gets funding for lab-grown woolly mammoths
https://www.cnbc.com/2021/09/13/geneticist-george-church-gets-funding-for-lab-grown-woolly-mammoths.html

Bioscience firm claims will bring back extinct woolly mammoth
https://phys.org/news/2021-09-bioscience-firm-extinct-woolly-mammoth.html

マンモスの復活について研究しているのはハーバード大学のジョージ・チャーチ教授。GIGAZINEでは2017年にもチャーチ教授の研究について記事化しています。

マンモスを今後2年以内に復活させることに成功するという研究者の予測 - GIGAZINE

by FireHawk Hulin

マンモスの復活はまだ実現していませんが、チャーチ教授は2021年9月13日、起業家でありAI企業Hypergiantの元CEOであるベン・ラム氏と共にColossalというスタートアップの立ち上げを発表しました。Colossalはアジアゾウを北極圏の気温に耐えられるよう遺伝子操作し、マンモスに似た新しいタイプの動物を作りだすことを目標としています。

マンモスを復活させ北極圏に解き放つことで、メタンが閉じ込められている永久凍土の融解を遅らせることが可能であり、地球温暖化をスローダウンすることができるとチャーチ教授らは説明しています。マンモスの復活プロジェクトは過去15年で10万ドル(約1100万円)の資金を調達していましたが、営利企業であるColossalの立ち上げにより、ラム氏と投資家たちから1500万ドル(約16億5000万円)の出資を得ることに成功したとのこと。


チャーチ教授とラム氏が出会ったのは2年前、チャーチ教授の研究室をラム氏が訪れたことが始まりでした。遺伝学を研究するチャーチ教授は100以上の特許を取得し、これまでに20以上の企業を立ち上げたという経歴を持ちますが、マンモスのプロジェクトについては他のプロジェクトに比べても資金提供が少なかったそうです。ラム氏はチャーチ氏と実際に話をする中で、プロジェクトの関与を決め、巨額の資金提供を実現したという流れとなっています。

左側の人物がラム氏、右側がチャーチ教授。


投資家の一人であるリチャード・ギャリオット氏は、「絶滅した生物が復活するという驚きはありますが、『絶滅した生物を復活させる』ということは、この技術の始まりに過ぎません。同様の技術は人類が抱える多くの問題を解決すると考えています」「合成生物学により、石油やプラスチックの浄化から炭素分離など、大規模な問題に対処できる新しい生命体を作り出すことができます。また、組織の拒絶反応と人工子宮の問題を解決することは、全ての人の長寿化にも役立ちます」と述べています。

ギャリオット氏の人工子宮についてのコメントは、「遺伝子組換えしたゾウを人工子宮の中で育てる」という計画に由来します。Colossalは2017年に発表された人工子宮「Biobag」のようなものを使って遺伝子組換えしたゾウを育てる予定です。

人工子宮「Biobag」で羊の胎児を育てることに成功 - GIGAZINE


チャーチ教授は今後6年で、遺伝子操作したマンモスを生み出すことを予定しています。6年というタイムラインが攻めの姿勢であることはチャーチ教授も認めるところですが、「これまで人から同様の質問を受けた時、『わかりません、出資がないから』としか答えられませんでした。しかし今はそうではありません。6年という数字も不可能ではないのです」とチャーチ教授は語っています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by darkhorse_log

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