800個を超える大量のマンモスの骨が「1万5000年前に作られたマンモス捕獲用の穴」から発見される

マンモスは約400万年前から1万年前頃にかけて、ユーラシア大陸からアフリカ大陸、南北アメリカ大陸などに広く生息していました。そんなマンモスは古代の人類による狩猟の対象になっていたこともわかっていますが、「1万5000年前に作られたマンモス捕獲用の穴」の中から800個を超える大量のマンモスの骨が発見され、考古学者らは「非常に重要な発見だ」と主張しています。

Descubren en Tultepec, Estado de México, contexto inédito de cacería y destazamiento de mamuts
https://www.inah.gob.mx/boletines/8647-descubren-en-tultepec-estado-de-mexico-contexto-inedito-de-caceria-y-destazamiento-de-mamuts

Mexican mammoth trap provides first evidence of prehistoric hunting pits | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2019/nov/07/mammoth-trap-mexico-prehistoric-hunting-pits

Two Traps Where Woolly Mammoths Were Driven to Their Deaths Found in Mexico | Smart News | Smithsonian
https://www.smithsonianmag.com/smart-news/found-mexico-two-traps-where-woolly-mammoths-were-driven-their-deaths-180973522/

メキシコ国立人類学歴史研究所の発掘チームは、メキシコシティの40kmほど北に位置するトゥルテペックで、マンモスを捕獲するために作られた1万5000年前の穴を発見したと報告しました。

また、発見された2つの穴の中からは、少なくとも14頭のマンモスのものである824個もの骨が発見されたそうです。発見された骨の内訳には、8個の頭蓋骨、5個のアゴの骨、100個の椎骨(脊椎の骨)、179個の肋骨が含まれていたとのこと。専門家らは、古代の人々はたいまつなどを持った20人～30人ほどのグループでマンモスを追い、仕掛けた穴に誘導したとみています。

今回マンモスの骨や捕獲用の穴が見つかった発掘現場は、2019年1月にゴミ捨て場の建設途中に偶然発見されたものです。見つかった穴は深さ6フィート(約1.7m)、直径25ヤード(約22m)の規模であり、マンモスの骨が見つかった2つの穴以外にも複数の穴が近くにあった可能性があるほか、ラクダやウマの骨も同時に発見されたとのこと。

発掘チームのリーダーであるLuis Córdova Barradas氏は、発見されたマンモスの頭蓋骨の少なくとも1つにヤリによって付けられたとみられる傷跡がある点を指摘し、今回の発見が重要なものだと主張しています。

「今回の発見以前では、ハンターがマンモスを攻撃したという証拠がほとんどありませんでした。ハンターたちはマンモスを怖がらせて沼地などに誘導して立ち往生させ、死ぬのを待っていたと考えられてきました。今回の発見は、ハンターが直接マンモスを攻撃した証拠です。トゥルテペックの遺跡から、古代人がマンモスを狩って利用しようとしたことがわかります」と、Córdova Barradas氏は記者団に語りました。

穴の中から発見された骨には、骨から肉をそぎ取るためにマンモスの肋骨が使われた痕跡が発見されたほか、人々がマンモスの舌を食べるために、マンモスの頭を上下逆にした痕跡もあるとのこと。さらに、発見された骨にはマンモスの肩甲骨も含まれていましたが、なぜか発見されたのは「右の肩甲骨」だけであり、「左の肩甲骨」が見つかっていないという点が疑問だとCórdova Barradas氏は指摘。古代の人々がマンモスに対し、何らかの儀式的行為を行った可能性があるとCórdova Barradas氏は示唆しています。