デザイン

まぎらわしいサイトデザインでユーザーをだます「ダークパターン」いろいろまとめ


ユーザーをだまして判断を誤まるように誘導するような、悪意のあるウェブサイトのデザインを「ダークパターン」といいます。ダークパターンは、ユーザーのプライバシーを侵害したり、ユーザーにより多くのお金を使わせようとしたりするため、問題視されています。そんなダークパターンに該当するさまざまなケースをまとめたサイト「Dark Patterns Hall of Shame(HOS)」が公開されています。

Collection of Dark Patterns and Unethical Design
https://hallofshame.design/collection/

◆しつこい要求
「しつこい要求」は、アプリやウェブサイトで通知や連絡先へのアクセス許可をユーザーに何度も求めるという手口です。ユーザーは何度も拒否しますが、最終的には根負けして許可してしまうケースがよくあります。

HOSはTikTokを例に挙げ、「アップデートや追加情報の通知をオンにすることはユーザーにとってお得です」としつこくアピールしたり、連絡先の連携を許可するまで何度も許可要求を表示したりするのは、まさにこの「しつこい要求」の典型的な例であると指摘しています。


◆羞恥心の植え付け
特定の製品あるいはサービスに登録していないユーザーに対して、罪悪感を抱かせたり恥をかかせたりする手法が「羞恥心の植え付け」です。

MicrosoftはWindows 11のデフォルトブラウザをMicrosoft Edgeにしていますが、このMicrosoft EdgeでGoogle Chromeをダウンロードしようとすると、「Microsoft Edgeはオンラインショッピングには最適のブラウザです」などと訴えるポップアップウィンドウを表示します。これは、ユーザーに「自分は間違った選択をしている」と勘違いさせ、ユーザー自身が愚かな行動を取っているように思わせるものだとHOSは指摘しています。


◆プライバシー・ザッカーリング
プライバシー・ザッカーリングは、サービスあるいはウェブサイトがユーザーを騙し、実際に望む以上の情報を共有させようとすることで、Facebookの創設者であるマーク・ザッカーバーグ氏に由来しています。

HOSは、Samsung.comでのアカウント作成をプライバシー・ザッカーリングの例にあげています。Samsung.comでアカウントを作成しようとすると、4つのチェックボックスが表示されますが、これらのチェックボックスのうち、4つ目の「ニュースや特別なオファーを受け取る(Get news and special offers)」は、選択してもしなくてもいい任意の項目です。しかし、「上記の内容をすべて読んで同意します(I have read and agree to all of the above.)」と書かれた一番下の項目にチェックを入れると、自動的に4つ目のチェックボックスも選択されてしまうとのこと。


◆おとり商法
「おとり商法」は、魅力的な条件を提示してユーザーを誘引し、その後に突然条件を変更します。変更後の条件は、元のページにこっそりと小さく書いてあるものの、ユーザーのほとんどが気付けないため、意図しない契約をさせるというのが狙いです。

◆ローチモーテル
ローチモーテルとは粘着式のゴキブリ捕獲器のことで、ダークパターンにおいては、サブスクリプションサービスの登録は簡単なのに対して、キャンセルするのは非常に困難である仕組みのことを指します。

ローチモーテルで最も有名なケースがAdobeのCreative Cloudで、アメリカの連邦取引委員会はAdobeがオンラインショッピング消費者信頼回復法(ROSCA)に違反したとして提訴しています。

「Adobeのサブスクリプション解約手続きは難しすぎて詐欺的」と連邦取引委員会がAdobeを提訴 - GIGAZINE


◆偽装広告
偽装広告とは、ウェブサイトに掲載されている広告をまるでウェブサイトのUIであるかのように装い、クリックしたユーザーを別のウェブサイトに転送する手法です。HOSは、「羞恥心の植え付け」で例に挙げたMicrosoft Edgeはこの「偽装広告」も利用していると批判しています。

◆隠れたコスト
通販サイトで何かを購入したり新しい有料サービスに登録したりした時、最終請求書を表示する段階になって、事前に提示した金額とは異なる金額を提示する「隠れたコスト」もダークパターンの1種です。

ニュースサイトのThe Globe and Mailは、有料プランについて「24週間で週あたり 1.99ドル(約310円)」という価格をサイトに記載しています。


しかし、プランの登録画面に移行してからよく見ると、「購読開始日に7.96ドル(約1250円)が請求されます」と書かれています。提示している金額は1週間当たりの金額ですが、実際に請求されるのは4週間分、つまり1月分の金額というわけで、これはまさに「隠れたコスト」の手口といえます。


◆こっそりカゴに入れる
「こっそりカゴに入れる」は文字通り、何かを購入して支払いを行う際に、ウェブサイト側が勝手にいくつかの追加アイテムをカートに追加し、ユーザーにカートからそれらを削除させるというもの。

ドメインリセラーのname.comでは、ドメインを購入すると「高度なセキュリティ+プライバシー」という項目がデフォルトでカートに追加されます。気付かずにそのまま購入手続きを進めてしまうと、「高度なセキュリティ+プライバシー」のオプション代も余計に支払うことになってしまいます。


◆ひっかけ問題
ゲーム販売プラットフォームであるGreen Man Gamingで、ゲームを購入した時に表示される画面が以下。「PLACE ORDER」と書かれた購入ボタンの下に、空のチェックボックスがあります。ここには「ウィッシュリストのオファーやその他のお得な情報を電子メールで受け取りたくない場合は、このボックスにチェックを入れてください」と書かれています。


HOSは、これは典型的な「ひっかけ問題」の例だと指摘しています。通常メールの受信を希望する場合はチェックボックスをオンに、希望しない場合はオフのままにします。しかし、Green Man Gamingは逆に「受信を希望する場合はチェックボックスをオフのままに、希望しない場合はオンにする」となるようにデザインしています。「ひっかけ問題」は、ユーザーの習慣や思い込みを悪用したダークパターンだといえます。

◆ミスディレクション
ユーザーの注意を、本来目的としているアクションからそらすテクニックが「ミスディレクション」です。

以下は、ロンドン動物園のチケット購入画面です。ADULT(大人)、CHILD(子ども)、UNDER 3(3歳以下)……とチケットの価格が並んでおり、一番右に枚数を入力し、「Add to basket」のボタンをクリックすれば購入できます。しかし、ページをよく見ると、「Add to basket」のボタンは2つあり、右側の色が濃いボタンは「with donation(寄付あり)」、左側の色が薄いボタンは「without donation(寄付なし)」となっています。


「寄付あり」を選ぶと、入場料に寄付額が上乗せされてチケット1枚の価格が高くなるのですが、何も気付かずに操作を進めると、視線の流れる右側にあってより色が目立つ「寄付あり」のボタンを押してしまう可能性が高くなります。HOSは「このダークパターンの使用は欺瞞(ぎまん)的で操作的」と批判しました。

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in デザイン, Posted by log1i_yk

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